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2011年7月 3日 (日曜日)

7/2放送のHNKスペシャル「果てなき苦闘・・・」の石井医師

ビデオ録画してあったNHKスペシャルを見て感動した。なににかというと、石巻赤十字病院の災害対応を統括する石井医師の活躍だ。この災害対応に、監査人が今回の東京電力のような前例のない対応を迫られるケースを重ね合わせてみると、なんとも味わい深い話になる。

石巻市の事前の計画で同病院は、地域医療機関146と連携して地域の災害対応を行う拠点病院にすぎなかった。ところが146すべての医療機関が被災し機能を停止し、石巻市20万人の災害医療を一手に引き受けることとなった。それだけでも大変なことなのに、被災して機能が低下している行政を補完し、避難所の衛生・医療状況の評価、食料の調達、上水の供給など、たった3か月の間に医療機関の役割を超える対応を行ったという。下記に記憶に残った石井医師の言動を記載する。

①全国から120名の医師が応援に来るという・・・
「今この瞬間にもどこかの避難所で人が死んでると思う。それくらいの危機感がないと危ないですね。いかにこの限られた医療資源を投入するか早く決めないと。」

②石井医師の言葉ではなくナレーションだが・・・
「本来避難所の実態を調査すべき市は被災しています。医師自らが調査をするという災害医療の常識を超えた作戦を石井医師は提案したのです。300以上の避難所すべてを調査するローラー作戦が始まりました。」

③食料はあるのに避難所に届いていない。宮城県庁にて・・・
「7万人分の食糧が不足している。市に食べ物を送ったからあとはよろしくというレベルじゃない。もっと大きな力で石巻地区の食べ物の配給システムの確立をお願いしたい。」

④簡易な上水施設を避難所に設置して・・・
「これは行政の仕事だからやりませんとか、医療だからやりますとか、食料だからやりませんとか言ってる場合じゃないんです。お互い知恵を出し合ってこの国難を乗り切らなきゃいけない。」

⑤同じ災害が過去にあるわけじゃない、被害を事前に想定できるわけじゃない・・・
「そもそもマニュアル化して災害対応というのはいいのか。その場その場で考えるのであって心だと思うんですよね。」

「人の命を救う」という大きな目標を達成するために、当初計画を臨機応変に変更し(もしかしたら無視し)、事前に与えられた役割に拘らず、その状況に最も合った選択を行っていく判断力と行動力。これを監査人の立場に置き換えれば、今回の東京電力のような前例のない対応が必要なとき、淡々とルールに定められた開示を行えばよいと考えるか、より大きな目標である適正な情報開示ができるためにどうすればよいかと考えるのでは大きく結果が異なる気がする。石井医師はもちろん見事な判断で後者の対応を行った。

なぜこのブログにこの話題が? と思われた方が多いと思うが、これは監査の世界では「準拠性の枠組み」と「適正表示の枠組み」と呼ばれる大きなテーマなのである。東電が損害賠償額の見積もりを2011/3期決算に織り込まなかったことについて、一つの視点を与えてくれる。具体的にはまた後日・・・。

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