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2011年7月 9日 (土曜日)

ジミー(金融庁)の言い分と会計学者の意見

(両氏の立場)
冒頭から僕の勘違いをみなさんにお詫びする。田中弘教授と石川純治教授は、それぞれIFRSに対して否定的な立場と肯定的な立場と予想していたのだが、読んでみると、表現は相当に違うが主張は近いところが多いのではないかと思った。両氏ともにIFRSに慎重な立場であった。

 

(石川教授の本の良さ)
人によって好みがあるかもしれないが、僕は石川教授の「変わる会計、変わる日本経済」(日本評論社)の方が好きだ。幅広く多方面から論じているし、反対・賛成の両面の説明をしてくれている。時事問題の説明も明快だ。もし読まれる方がいたら、こちらをお勧めする。田中教授の本は読み物として面白い反面、一方からの主張が強く、誤解を生むかもしれない。

(石川教授の主張)
田中教授は時価主義を真っ向から否定し取得原価主義への回帰を主張しているように思えるが、石川教授は最近の時価主義と伝統的な期間損益重視の会計理論をうまく融合させられないか、その道を模索しているように思えた。いずれにしても、資産負債中心のB/Sで損益計算をしてしまうIFRSの発想は、金融経済中心の資本主義、即ちアングロ・アメリカ(英米)の国益を担った考え方で、日本のように物づくり、実物経済中心の資本主義国は、別の道がある、或いは、アングロ・アメリカ流の考え方に修正を求める必要がある、という主張であったと思う。そして現実的な政策論に陥りやすい実学としての会計学は、いまこそ、それぞれの国や会計基準(IFRSや米GAAP、日本基準)の発展プロセスに踏み込んで本当に会計理論に立脚した研究・主張を行うべき時としている。

(ジミーの言い分)
僕はここで、会計学者の主張とジミーの発言が意外に共通していることに驚いた。先に僕は「ちょっとその前にジミー(金融庁)の言い分(6/28)」に次のように書いた。
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(自見金融担当大臣が発言した)「会計基準が単なる技術論だけでなく、国における歴史、経済文化、風土を踏まえた企業のあり方」とは、国としての個性を重視する考え方、「世界で唯一の高品質な会計基準」とは反対の考え方を取り入れたのだろうか。この点についての企業会計審議会の議論には注目が必要と思う。即ち、単に基準設定への日本の影響力を高めたいというIASBへの牽制の趣旨なのか、それを超えた意図があるのか・・・である。
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その後6/30に開催された企業会計審議会では、冒頭自見大臣が「これまで以上に幅広い議論を期待する」と述べたという。そして2009年の中間報告時に決着していた議論を蒸し返し、逆戻りさせるような発言が多く出されたという(アイティメディア株式会社のIFRSフォーラムのHP)。

さて上記の「国における歴史、経済文化、風土を踏まえた企業のあり方」は、やけに大袈裟で抽象的であるが、ふと、こういうことかと思った。
 ・国における歴史 = 近年金融を中心に経済を発展させてきた米英と、製造業中心できた日本
 ・経済文化、風土 = アングロ・サクソン流の企業も売買価値で測る金融経済に対する日本の実物経済
 ・~を踏まえた企業の在り方 = 一時点の時価を重視し短期的思考になりやすい英米と日本の長期的経営

みなさんはどう思われただろうか。石川教授のキー・ポイントは減価償却制度で、ここによく表れているという。その話はまた次回に回したい。僕の意見はその石川教授の説明の後に述べるので、多分、次々回になると思う。

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