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2011年7月 4日 (月曜日)

日英サッカー審判の違い

もうひとつ、このブログらしくない記事を経由してから、東京電力の件に戻ろう。僕はこのブログの冒頭で「ルールには支配者がいるらしい」と書いた。そして、それを好ましくないと感じている。しかし、IFRSは勝手が違いそうだと思っている。そこに通ずる話だ。

以下は僕が最終出勤日の帰宅直前に監査法人でお世話になったみなさんに送った最後のメールの一部だ。
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もしお時間のある方は、このリンク先の記事をお読みください。日経電子版のスポーツ記事です。

簡潔に要約すると、サッカーの審判の日・英の違いを書いてあります。Jリーグの審判は個々のプレーを正確に判定することに重きを置き、プレミアリーグの審判は観客が試合を楽しめるよう試合が途切れなく流れることを重視します。その結果審判によるゲーム運びはだいぶ変わってきます。ルールは同じなのにです。
どちらがよいかというと、この記事も私もプレミアリーグの審判の方がよいと思っています。記事ではプレミアリーグの審判の求めるものを「美」、Jリーグを「精度」と書いていますが、私はショービジネスの目的に照らしてルールを解釈・運用するのがプレミアリーグ、個々のルール運用の正確に積み上げると結果として目的を達成できると考えているのがJリーグ、と思っています。

私が監査法人で働いている間にも、日本社会も株式市場も我々監査業界も、すべからく多くのルールで縛られるようになってきました。ルールはますます高度化し複雑化しています。蜘蛛の巣のように張り巡らされたルールに抵触しないよう気を使っていると、本来の目的へ向かう気持ちが疎かになっていたり、貴重なタイミングを逸したりすることがあります。この現象は曲がり角を迎えた日本経済、国力の衰えが目立つ日本にとって果たしてプラスなのでしょうか。

共通ルールといえば、IFRS、監査基準(監査アプローチ)、などと我々も多くに接しています。それぞれ重要な目的がありそれを達成するために設定されたルールなのですが、我々はその重要な目的を達成するためにルールを解釈し運用できているでしょうか。細部の積み上げに時間を費やしていないでしょうか。それが我々の、或いは我々のクライアントのグローバルでの競争条件を不利にしていないでしょうか。偉そうなことを書きましたが、こんな問題意識を持っています。
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多くの方から、このメールの末尾に記載されていた僕の個人メールアドレスへ返信をもらった。「何を言いたいのか良く分からなかった(が、とにかく頑張れ)」と。このブログを読まれているみなさんもそうかもしれない。

くどくなるが、僕が言いたいのは「ルールが同じなら同じ結果が保証される」わけではない、それが現実だと。だからより詳細なルールを決めようとするのがアメリカ、そして日本も然り。そうじゃなくて原則を決めて、あとは個々の状況に応じてより大きな目的を果たせるようルールを運用しようとするのがIFRSであり、そういう能力(≒常識)を社会として持っていこうよ、そして個人が責任を持ってルールを解釈しようよ、というのが僕の考えである。そうすればIFRSに限らず、社会ルールはシンプルで分かりやすく親しみやすくなる。もっと自由で効率的な社会になる。

果たしてIFRSは本当にそうなっているのか。それをこれからみなさんとこのブログで検証していきたい。まずは東京電力の件を次回に見てみよう。

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