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2011年8月13日 (土曜日)

IFRS財団評議会の戦略レビューの報告について(2.アドプション の3)

=アドプション、コンバージェンス、コンドースメント=

 

IASBは各国と連携するしかない。任せることは任せ、自らの役割と分担する。皆さんのプロジェクトでも各部署のメンバーに課題を与え、それを取りまとめていくのと同じだ。

 

IFRS財団の役割・・・IFRS適用状況のモニタリング

・各国の規制当局の役割・・・IFRSの国内基準としての権威づけ、監査制度の整備

・各国の会計設定主体の役割・・・国内の状況に合わせたIFRSの適用

 

アドプション、コンバージェンス、コンドースメントは、このうちIFRSの国内基準としての権威づけの話だ。ただ、どうもこれらの言葉の使い方は人によって異なるようで、なかなか理解が難しい。そこでこれらの言葉とは関係なく、国内基準として権威づけるためのパターンをいくつか記載してみる。

 

 IASBが新しい基準を発行したら、一切国内の手続を経ずに国内基準とする。
・・・内閣府令や会社法に採用すべき会計基準をIFRSと指定してしまう。

 IASBが新しい基準を発行したら、一定の国内手続きを経て国内基準とする。
・・・企業会計基準委員会/財務会計基準機構(ASBJ/FASF)等の審議や承認の後にその都度内閣府令等に適用を指定する。このプロセスは審議や承認の手続きに様々なパターンが考えられる。

 IASBが新しい基準を発行したら、それに相当する国内基準を発行する。
・・・発行される国内基準について、IFRSの逐条訳のようなものから、意訳まで、その程度はいろいろあるだろう。

 IASBが新しい基準を発行したら、既存の国内会計基準の体系に組込むよう国内会計基準を改定する。
・・・例えば、日本では2011/4/1以降開始事業年度より企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及びその適用指針が独立した規定として発行されたが、IFRSではIAS1号の一部、IAS8号の一部などに記載されている。国内基準とIFRSの体系が異なる状況を温存している。

 

みなさんがすでにご想像の通り、①が典型的なアドプションで②もアドプションに含めていると思う。もしかしたら③もIFRSの各規定と国内基準の規定の対応が明確で、内容的にも同等であると国内会計基準設定主体が主張すればアドプションに入るかもしれない。④はコンバージェンスの典型例(日本の例)。ではコンドースメントとは?

 

IASBはある国の会計基準がIFRSに準拠しているという場合、IFRSの各会計原則とその国の会計原則がどのように対応しているか明確にするよう求めてくる。米国はその整理作業を終えているようだが、IFRSの規定だと抽象的すぎて訴訟社会である米国の社会風土に合わないようだ。米国でIFRSを運用するには、米国に合った形、より細則ベースのものが必要になると判断しているのだと思う。僕は③の形でIFRSを米国の風土に合わせて細則ベースにしたものを米国は目指しているのではないかと思っている。IASBFASBMoUプロジェクトを進めているわけだが、IASBは細則を望んでいないので、両者は一字一句相違しない共通の会計基準は採択できない。英語圏でどこまで表現の相違を認めるか、いま、両者とも将来のIFRSの運用を考えていくうえで、非常に重要な難しい折衝をしている最中なのではないだろうか。

 

日本も米国のやり方を見て、日本の風土に合う形でIFRSを日本に取り入れるのは良いが、細則主義の部分で米国を真似したり、米国を後押ししたりをしないよう気を付ける必要がある。IFRSが細則を決めれば決めるほど、日本でIFRSを適用するのに型にはめられて無駄が生じるからだ。IFRSは趣旨を表現してくれればよい、あとは日本のことは日本でやる、ぐらいにできると一番良いと思う。

 

また仮に②のパターンを採用するとしても、IFRSの規定の精神をどのように日本の実情・実務に取り入れるかは、各国の会計基準設定主体、そして各企業およびその監査人の判断に任されている部分が多いのではないかと思う。或いはそう主張していくべきだ。分からないからもっと細かく決めてくれとIASBに要求するのは違う気がする。

IFRSの解釈はIASBやIFRIC(国際財務報告基準解釈指針委員会)しかしてはならないが、各国の実情に合わせた導入は各国がやる。その解釈と導入の線引きは、各国の会計基準設定主体や企業、監査人のやる気と実力次第で変わってくるというのが僕の考えだ。

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