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2011年9月 6日 (火曜日)

IFRS開発に日本は参加するのか、しないのか(3の3)~純利益、包括利益

昨日の僕のブログは人によっては非常に不満だったに違いない。そんなことは分かっていると。効用があるとしてもそれ以上に大きな不満があると。業績が外部要素に攪乱されて本業の良し悪しが見えてこないじゃないかと。

 

IFRS上、次のような区分を設けて損益計算書(包括利益計算書)の表示ができる。

(純利益)

 ・継続事業

 (・営業活動による項目)

 (・財務活動による損益項目)

 ・非継続事業

(その他の包括利益)

 (・退職給付会計の数理計算上の差異)

 (・売買有価証券以外の評価差損益、売買損益)

 

特徴、注目点は以下のようになると思う。

 特別損益区分がなくなり、その代りに継続事業・非継続事業という区分が加わっている。即ち、事業の非継続という観点からしか非経常的な損益を区分表示することを認めない。

 日本基準では特別損失に計上していた減損損失も営業活動による項目の一部。

 (上記のように区分表示する場合、)投資有価証券の売買損益は純損益にならない。

 

さらに純利益の中に売上総利益を表示できるのかとか、退職給付会計以外の見積もり要素の強いものを純利益の外側に出せないか、などということも考えられるが、できるものもあれば、できないものもある。

 

まず「その他の包括利益」に計上できるものはIFRSにおいて指定されており、指定されていないものは純損益を構成する(IAS1号第88項)。退職給付会計の数理計算上の差異はその他の包括利益へ集計されるので、製品原価計算や純損益に影響することはない。

 

売上総利益や営業利益の表示は可能だ。但し、純損益に「異常項目」という意味の区分を設けたり、「異常項目」として独立表示することは許容されないが、例えば単に営業費用の内訳として減損損失を独立表示することはできる(というかそうしなければならない)。発生頻度の低い損失、期によって発生額が大きく変動するような項目や見積もり項目は読者のために独立表示させるべきだ。ただ「経常利益」といった損益区分は「異常項目」を区分表示することにつながるので設けることはできない。なにが異常でなにが異常でないかの判断に関する恣意性を排除するための措置だ。また、特別項目に計上されている項目も、事業上のリスクを反映したもので、それが外部要素だろうと内部要素だろうと経営者が対処すべきという意味では営業費用の項目と同じだ。

 

最初に戻ると、業績の変動が大きくなるというが、それは包括利益の部分であり、営業利益や純利益は従来以上に、本業の状況を表示するのではないだろうか。また営業利益の内訳としてだが、従来の特別損益項目を独立表示することは可能だ。

 

純利益を作るための投資有価証券売買は意味がなくなるが、むしろ一時的に業績を良く見せるための無駄な取引を抑制できるので、会社のためになると思う。株を売れば利益が出る、そう思うと本業の改善に本腰が入らないし、今年の見栄えに気を盗られず来期の業績づくりを考える方が良い。

 

確かに今までと全く同じではないが、それは改善と言えないだろうか。リスクを定量化してすべてテーブルに載せたうえで本業の利益の表示もできる。ただ、以前も記載した通り、純利益とその他の包括利益の定義がないなど改善すべき余地もまだまだある。日本では「経常利益」が重要な経営指標として普及していた。その日本だからこそ、もうちょっと違う切り口でもっと良い案をIASBに提案できないだろうか。

 

 

なお、しばらく通信環境の悪い地域へ出向くため2週間ほどお休みしたいと思う。例によって震災地域へ行く予定だ。IFRSは会社に一定のリスク管理(リスクの識別と対応)を暗に求めている。しかしそれはJ-SOXでも内部統制の基本要素、全社的内部統制として求められてきたものだ。再開後はこれらについて、それが実施可能で会社のためになるのかについて検討してみたい(が、また何か動きがあればそちらに気が向いてしまうかもしれない)。

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