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2011年9月 1日 (木曜日)

IFRS開発に日本は参加するのか、しないのか(2)~見積もりは化粧

前回書いた通り取引をただ集計しても会社の実態を表わす財務諸表にはならない。そこに「経営者の見積もり」という仕上げ、即ち化粧を加える。「化粧」というと従来は「粉飾」を意味する隠語だったが、僕の意味は少し違う。良い化粧とやってはいけない悪い化粧があるものの、見積もりは化粧であり、化粧にこそ経営者や会社のスタンスや能力が現れていて高い情報価値があると最近僕は思っている。

 

若い女性は男性に素顔を見られることに恐怖心があるというが、それは素顔と自分の期待が相違しているからだろう。化粧によって自分を期待へ近づける。それを他人に見せて自分を理解してもらう入り口にする。会社の決算は取引を集計しただけの試算表では債権や在庫の評価も行われておらず、問題点の所在や業績の良し悪しも不正確だ。本当の会社の姿とは違う。本当の姿に合うように修正、即ちお化粧をし、それによって会社の実態を説明するわけだ。

 

やってはいけない化粧というのは本当の自分自身と異なる印象を相手に与える化粧だろう。顔は人の一部でしかないが、通常顔を見ながらコミュニケーションするため顔の印象は重要だ。あとから顔の印象と性格その他が全然違うと嘆くのは男性の常だが、企業財務の場合はそれが、投資家、株主、債権者等、時には経営者自身となる。男性は嘆きながらそれも楽しみの一つと自己解決して人生を送れるが、投資家等はお金が絡んでそうはいかないから適切な情報開示が必要だ。よって会社が行う化粧は、単なる取引の集計だけでは表現できない企業の実態を、より正確に見せるために行う。必要なら厚化粧も厭わない。そこに化粧をする人のセンス、能力が現れる。日常的に会社をどう見ているか、どういうスタンスの経営をしているかを垣間見ることができる。とても価値のある情報だ。

 

決算の場合、化粧は部分ごとに行われ、最後に全体の印象を確認する。中には全体の印象を決めてから部分の処理を決めることもあるかもしれないが、例外であるべきだ。逆に女性の場合は全体の印象を決めてから個々のパーツに入るのではないだろうか。それが許されるのは男性の潜在意識に騙されても綺麗な方がよいという気持ちがあるからで、投資家等はそうではない。この点は重要な相違点で、女性の化粧と同じと考えてはいけない部分だ。もし、経営者や投資家等に「騙されてもよいから綺麗に見せてくれ」という気持ちが芽生えたら、それは非常に危ない状況だ。会社の危機、経済全体の危機だろう。

 

さて、その化粧法が会計基準で、それを国際的に統一しようとするのがIFRSであるが、日本人と欧米人で化粧法が同じでよいかという問題がある。「金融経済化した英米に有利な会計基準」というIFRSを批判する言葉を聞くとまさにこの点に思い当たる。

 

しかし現実には日本人がミス・ユニバースで優勝・準優勝することもあるし、国際的に活躍するモデルもいる。日本製の優れた道具や化粧品も使っているかもしれないが、基本的にはその人の個性に合う調整をしているだろうと思う。原則主義ならそれが可能、それが原則主義の良い点だと思う。だから日本としては細かいことまでIFRSに決めてもらってはやりにくい。日本はIFRSの開発に参加して、原則主義を維持すべきことを主張し、原則主義でも新興国で有効にIFRSが機能するよう良い仕組みを提案していくべきだ。それにはIFRSの趣旨をしっかり理解して、まず日本で実際に合った基準の適用・運用を行える環境を作り、維持することの意思表明が重要だと思う。

 

「このグローバル化した社会で、今更お歯黒に戻ることはないだろう」というのが僕の意見だ。「お歯黒が日本の伝統で、国際社会からも評価される」という意見には現代の男性としては与できない。すでに日本でも会計ビックバンの以前から「芸能人は歯が命」と言われ、白い歯の方がよいとされている。(ちょっとふざけ過ぎか? 済みません。次はまじめにやります。)

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