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2011年9月 2日 (金曜日)

IFRS開発に日本は参加するのか、しないのか(3の1)~経営上の判断と会計基準

会計基準と経営者の判断の関係について数回にわたって書いてみたい。どうもこのあたりがIFRSやコンバージェンスによる最近の会計基準に対するアレルギーが生じているのではないかと思われるからだ。会計基準の開発や実際の運用、監査をするにあたっても重要な視点を与えてくれる気がする。

 

まず会計基準は企業を生かすものであって殺すものであってはならない。道具に過ぎないから。しかし、減損会計や退職給付会計など多額の損失を生じる可能性のある会計基準については、企業活動を阻害するとか、企業を殺すとまで言われることがある。また金融機関が貸出金について厳しい評価をすると貸出先を潰すと言われることもある。

 

次に実施困難、手間のかかる会計基準も評判が悪い。特に今回のIFRSに対する逆風は、研究開発費や時価のない株式等への公正価値の適用など、実施困難と思われる基準に対するものなのだと思う。

 

「ここまでやる必要があるのか」というのが過去監査人としての僕に投げかけられた印象的な言葉だ。みなさんの中にも何度もこの言葉を言ったり、逆に聞かされたりした方がいるに違いない。実はこっそり僕自身が呟いていた言葉でもある。しかしなぜそれをクライアントに勧めてきたか。新しいことに取り組むかどうかは、やってみて良かったと思えるかどうかだが、そのことを次回以降に書いてみたい。

 

細則主義に陥ってはいけない理由がここにある。しかしそれには財務諸表を作成する側も、監査する側も、そして読者サイドもある種の覚悟が必要だ。したがって重要なテーマだ。

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