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2011年9月16日 (金曜日)

災害ボランティアの貢献とその活用(1/3)

前回少し記載したが、震災地域へ行って昨日戻ってきた。被災地で監査人や会計士として役立つことはない。僕の価値は肉体労働力だ。しかし、帰り際に次回は現場リーダーをやってもらいたいと依頼されたので、また行くことになりそうだ。まだ肉体は若いのだろうか。

 

さて、前回(7/23掲載の「東日本大震災の「復旧」と東北人(番外編)」)と同様、今回も再び番外編でIFRSは出てこない。その代り僕が体験したいわゆる災害ボランティアがどんなもので、ボランティアにどんな価値があるか、地方自治体、特にわが町静岡はそれを活用できるかといったことについて、僕の思うところを3回にわたって記載したいと思う。1回目はまず現状説明だ。

 

=現地の様子=

僕が行ったのは仙台市の東方、石巻・松島の手前の七ヶ浜町だ。車で30分、1時間の範囲に、被災直後に悲惨な状況が報道されていた仙台市若林区、津波が襲う様子がテレビで再三放映されていた仙台空港のある名取市があり、車で十数分のところにはイオンの屋上から津波に襲われる様子が撮影されユーチューブに動画が投稿されて話題になった多賀城市や同じく塩竃市がある。七ヶ浜町もやはり十メートルを超える津波に襲われた。リアス式海岸というほどではないが、小高い丘が海にせり出す地形で海岸が七つの浜(正確には八つらしい)に仕切られていることからこの町名になっているそうだ。丘の上は津波を免れたが平地の住宅の多くは全壊、半壊の被害を受けている。人口は約2万人、面積も狭く車で5分も走れば突き抜けてしまう小さな町だが、東北電力の火力発電所があるせいか、スポーツ施設等が充実しており自治体としては裕福な印象を受ける。しかし、これらの施設はグラウンドを瓦礫の集積所にされたり、仮設住宅が建設されたり、僕がお世話になったボランティア・センターとして利用されたりしている。地震のひび割れでいまだ使用できない施設もある。

 

=ボランティアの仕事=

僕が行っていた先週から今週にかけての期間、ボランティアは平日でも200名ぐらい、土日ではその倍ぐらいが来ていた。前回7月の倍ぐらいに増えている。大学生が夏休みでたくさん参加していることも一因だが、多賀城市や塩竃市のように県外ボランティア受入れを止める自治体が増える中、七ヶ浜町は県外ボランティアを一貫して歓迎し続けていることも大きい。もちろん宮城県内からきている人も多いが、日本全国北海道から沖縄までの人が来ている。外国人もいる。そして仕事は、被災者からリクエストの多い全壊住宅跡地の瓦礫除去や半壊住宅の壁抜きなど力仕事がほとんどであるが、被災者の引越し手伝い、写真など津波に流された遺留品の洗浄、仮設住宅等にある集会所での被災者のメンタル・ケア、ボランティア・センターの雑用などだ。僕は仲間から「おまえは顔が怖いので被災者と接しないように」と忠告されていたので、今回も前回ももっぱら力作業をやってきた。

 

=ボランティアの分類=

ボランティアは便宜上、団体と個人に分けられる。団体は①会社などの組織でまとまって来る人たち、②旅行会社や大学生協などのツアーを利用してくる人たち、③西本願寺など宗教団体の宿泊施設やレスキューストックヤードなどの災害ボランティア団体が確保した宿泊施設・移動手段を利用してくる人たちがある。これ以外に④全くの個人で直接ボランティア・センターに来る僕のようなボランティアが常時二~三十人いる。①の中には半ば会社命令に準じたケースもあるだろうが、基本的には個人が自発的に①から④の枠組みを利用してボランティア・センターへ来る。

 

ハードなのは②のうちの旅行会社の弾丸ツアーだ。夜行バスで中国地方や関西、中京方面から来て午前中に到着し、翌日の午後にはまた夜行バスで戻っていく。作業の熟練度は低くとも、作業態度は真摯だ。このように1日、半日、数日という人が多いので、僕のように1週間単位で来る人は割と長期とみなされる。しかし、③や④の人たちの中には、数か月に及ぶ長期間ボランティア活動を行う人々がいる。地元の人もいるが、県外の人もいる。こういう人たちがボランティア・センターの運営をサポートし、現場リーダーを引き受ける。

 

さて、みなさんも弾丸ツアーなら土日を利用して被災地へ行くことが可能だ。弾丸ツアーを利用するかどうかは別として、テレビや人伝えでなく、ご自身が一度現地に足を運んでみることを僕はお勧めする。増税議論など色々有権者が判断しなければならないことは多い。

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