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2011年9月22日 (木曜日)

038.内部統制理解の問題点

2013/7/22、一部字句訂正等を実施。

 

2011/9/22

IFRSが前提としている内部統制とは、内部統制報告制度が想定している内部統制のことであるべきだが、実際には相違している、残念ながら相違してしまったと思う。その最も大きな点はリスク評価と対応という内部統制の構成要素に対する理解不足、対応不足にある。このことが制度導入後に提起された「内部統制の過大負担」批判にもつながっているように思う。

 

みなさんもよくご存じのように内部統制報告制度は米国のワールドコム、エンロン事件等の流れ、日本の西武鉄道、カネボウ事件等の流れで導入されたものである。それは粉飾決算を防ぐ体制を構築することがテーマであった。西武鉄道は株主構成の開示に虚偽表示があった。カネボウは債権や棚卸資産などの資産評価、連結プロセスに大きな不正があった。これらを防止するという観点から内部統制報告制度が制度化され、多くの企業は真面目に導入したと思う。

 

しかし、その流れの中で日本の内部統制の枠組みは若干間違った理解がなされたような気がする。特に次の点である。

 

〇僕がこのブログで強調している重要な決算項目である「会計上の見積もり」への対応はあまり重要性のあるもの、奥の深いものとして理解、対応されていなかったように思う。

〇内部統制を正しく理解するためには、内部統制の目的、各基本要素、加えて「内部統制の構造」への理解が必要だ。「内部統制の構造」は、例のCOSOキューブで現わされる。当然各基本要素も重要性、位置づけが異なるがそのように理解されていただろうか。特にリスクの識別と対応は重要で、経営の根幹だ。

〇内部統制は経営活動と一体、その一部であるべきなのに、内部統制報告諸制度のためにわざわざ経営の外側に出っ張った部分を作ってしまったのではないか。逆に言えば内部統制の構築とは経営それ自体の高度化でなければならない。

 

内部統制の経営者評価や監査を「間違いさがし」レベルに落し込んでしまってないだろうか。3点セットは非常に有益なツールだが、米国流の細則主義の先兵のような役目をさせてないだろうか。そして最も重要なポイントは、会社の経営計画策定能力、正しい意味での計画遂行能力は高まっただろうか。

 

ちなみに、これもよくご存じだと思うが、日本の内部統制の枠組み(2007年2月、2011年3月)は、1992年に公表されたCOSO(米国のトレッドウェイ委員会組織委員会)のフレームワークをベースにしている。古いものなのでCOSOのフレームワーク自体が、あまり見積もり項目の重要性やリスク管理の重要性を強調したものになっていない。その後COSOは2004年にこれを拡張する形で「エンタープライズリスクマネジメント・フレームワーク」を公表したが、日本の内部統制の枠組みは一応それを考慮したものとされている。しかし注意が必要なのは、日本の枠組みはリスク管理の重要性がそれほど明確に強調された形にはなっていないことだ。

 

もし、内部統制の構築時にリスク管理と見積もり項目の関係、リスク管理と経営との関係が明確に理解されていたら、その後のIFRSに対する論調も変わっていたのではないか。内部統制への評価も、もっと価値のあるものに感じてもらえていたのではないか、そんな気がする。そういったことも含めて暫くリスク管理(Risk Management)の体制について記載していきたい。

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