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2011年10月26日 (水曜日)

10月17日の企業会計審議会~日本の戦略

思い付きのレベルで恐縮だが、僕の結論から記載する。

 

A. 日本はIFRS開発に積極的に参加し、IFRSが細則主義にならないように気を配り、企業環境が様々な国々の統一基準として原則主義を支持していく。各国の(というか日本の)会計基準設定主体等の自主性を確保し、各国の(というか日本の)実情に応じて(IASBと相談しながら)IFRSを適用していくと主張していく。

B. 日本は、IASBが比較的手薄になっていると思われる製造業に関連する分野を中心に基準開発を主導することを目指す(試験研究費、原価計算、原価・費用明細レベルの開示など)。金融商品系の分野では議論をリードするというより、次々に新金融商品を開発したり、深刻な問題を抱えたりしている欧米が妙な妥協をしないようチェックする立ち位置が良いと思う。

C. いわゆる実業分野(vs.金融)でリードする立場から、新興国の会計基準設定主体や規制当局とコミュニケーションを深め、新興国の制度やIFRSの運用が日本企業に馴染みやすいものになるよう影響力を持つことを目指す。

 

考えては見たが、日本が独自の道を行くことで良い結果を得られるとは思えなかった。その理由は、資金調達・投資のグローバル化のほかに、ちょっとくどくなるが「会計の目的」の正しい理解が日本に根付いていないと思われることだ。企業の実情を忠実に表現することの重要性、問題解決にあたって実態を理解・把握することの重要性をしっかり認識していれば「確定決算主義」を有難がることはないはずだ。会計基準によって従業員の福利厚生が低下するなどとは考えないはずだ。そのように考える人がいてもよいが、そのような考えに支持が集まるはずはないと思う。しかし、残念なことに現実はそうでもないようだ。

 

日本が独自の道を歩めば、会計基準に余計な役割を負わせ、企業の実態が歪んだ形で表現され、経営者にも、投資家にも、債権者にも良いことはないだろう。企業の姿が見えにくくなれば経営がうまくいかず従業員も幸せにはなるまい。結局は税金の負担能力も、公平に計算することは難しくなると思う。問題の原因と結果をしっかり分けて考えないと、ポイントを押さえた問題解決は難しい。したがって、日本経済のためになる、経営者と投資家に有益な会計基準の開発も難しい。

 

結局、IFRS開発に参加する場合も、この点を誤解したままだと他国と議論できないと思う。議論の前提が異なるからかみ合わないのだ。しかし、企業会計審議会で会計に関する日本の戦略を議論することでこの点が確認できれば、日本の代表が国際的な議論に割って入っていきやすくなるし、ほかの問題にも自ずと道筋が見えてくる。連結先行とか、連単分離といった議論もシンプルに整理されるはずで、その結果、企業の負担は軽く、財務諸表はシンプルで読みやすくなるに違いない。僕はこの点にとても期待している。

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