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2011年10月20日 (木曜日)

10月17日の企業会計審議会~議論の進め方

10/17に企業会計審議会が開催され、金融庁のホームページにはその資料が掲示されている。議事録はまだ開示されていないが、そこはIFRSフォーラムの記事(http://www.atmarkit.co.jp/news/201110/17/fsa.html)を参考にして、勝手な感想を記載したいと思う。最初の感想は、議論が終わるのはいつになるかということだ。事務局から改めて提示された論点が10個あり(末尾に掲載)、前回より具体的な表現になっているので議論が進捗しているのかと思ったら、そうではないようだ。というのは、討議資料1の冒頭を見るとその10個の論点は前回提示された11項目のうち最初の2項目についてブレークダウンした旨の記載があるからだ。これは果てしない・・・。

 

(ロードマップ、スケジュールの明示)

ということで、まず、結論を出すまでのロードマップを示していただきたい。期限のない議論というのは滅多にあるものではない。あったとしてもなるべく議論の全体像を見据えられるように進捗管理の努力をすべきだ。結果的に予定通りでなくても構わないが、目標は明示すべきだ(もちろん予定が変更されればその理由の開示はしてほしい)。少なくとも2012年に何らかの報告を出して、上場企業が我が国の会計制度の将来を見通せる情報を提供すべきだし、方向性はどうあれ2009年6月中間報告の実行過程にあることを内外に示す必要がある。

ブログ、会計上の見積もりはしっかりした事業計画から導き出されるものだが多く企業はこ部分弱いのではないか、と記載した。工程表、ロードマップは、プロジェクト計画策定の第一歩、基本であり、目標を阻害するリスクを顕在化させないために必須と思う。この企業会計審議会の議論を成功させるために、即ち、この議論があらぬ方向へ行ってしまうとか、企業がIFRS対応に過大な負担を負わされるとか、日本が海外からの信用を落とすといったリスクを防ぐために絶対に必要だ。

 

(集中討議)

委員会のメンバーには、現時点で日本にとって一番良い結論を出すという共通目的のもと、もっとスピーディーな議論の進め方をお願いできないのだろうか。この委員会の委員は、それぞれ高度な知識や経験を持った方々であり、いわば日本代表チームのメンバーだ。そういう方々が2か月に1回2時間の議論ではいかにも間延びしている気がする。例えば「分からないところを次回までに事務局が資料にまとめる」やり方がされているように思えるが、これは生産的だろうか。参加者が事前に自分が活躍できる分野の会議資料(事実関係や考え方、主張)をまとめてくるといったことはできないだろうか。そして方向性が出るとか、不明点がはっきりするとか(事実関係)、対立点がはっきりするとか(主張)、何らかの成果が出るように、できれば1週間ぐらい、少なくても2~3日の集中討議を繰返し実施するというのはどうだろうか。

企業会計審議会には、ふん、と鼻で笑われそうな気もするが一応記載すると、プロジェクトの成功にはメンバー間の良好な人間関係、チームワークが必要だ。そのためにぶつかり合うことも必要になるだろう。集中討議でお互いの主張と人間性までをも理解しあい、我が国経済を元気にするための最良の道筋をまとめていただけることを希望する。

 

(海外視察のレポート)

海外視察についてはそのレポートを作成し開示していただくことを希望する。かつて経団連がオーストラリアへIFRSの導入状況について視察へ行ったときの報告を興味深く拝見したことがある。このメンバーを中心に視察に行かれるのだから、国の素晴らしい財産になると思う。

 

(「ゴーイング・コンサーン」の中身)

25記載どう中身ない日本メーカはIFRSないという主張ついったしかし、これが非常に重要な議論の要素になっている。例えば日本基準を肯定・評価し、堅持すべきという主張の根拠であり、日本的経営の強みとも結びついているようだし、どうも税法の確定決算主義を肯定するのにも使われているような気がする。従業員の待遇改善にも関連しているのではないだろうか。「国における歴史、経済文化、風土を踏まえる」ことを掲げて始まった6/20以降の議論でこれが最も重要な要素になっていると思う。しかし、この内容が相変わらず分からない。この内容をはっきりさせてから議論する必要はないだろうか。

 

 

以上は、議論の進め方について記載した。議論の中身については次回以降に記載したい。金融庁事務局は今回、以下の論点を掲げた。これらについてと、もし他に気がつくことがあればそれも記載していきたい。なお、IFRSの前提となる内部統制についての検討が途中になっているが、また折を見て続きを記載するつもりだ。

 

(以下、金融庁事務局が提示した論点を転載)

 =諸外国の情勢・外交方針と国際要請の分析=

① 金融危機以降、世界の金融・経済情勢が大きく変化する中において、会計基準のあり方を議論するに際して、留意すべきことは何か。

② 国際会計基準の適用等に係る各国の対応はその国情を踏まえ様々である。こうした中、我が国における会計基準のあり方については、各国の状況も見つつ、様々な選択肢を考慮し、戦略的に検討を進める必要があると考えるがどうか。

③ 各国・地域において、IASBの活動に対する様々な取組みが行われている中で、我が国のこれまでの取組みをどのように評価するか。今後どのような戦略をとるべきと考えるか。また、その際、アジア太平洋地域の各国との連携、日米欧の三極における我が国の地位を確保するための戦略等について、どう考えるか。

④ 我が国の戦略を実行していくに当たって、基準設定主体、作成者、利用者、監査人、取引所、規制当局等の利害関係者に求められる役割は何か。

⑤ 今後予定している海外視察において、追加調査が必要と考えられる事項はあるか。

⑥ その他、国際的な動向等について、論点とすべき事項はないか。

 =我が国の会計基準・開示制度全体のあり方=

① 単体財務諸表に係る会計基準は、会社法・税法や我が国固有の商慣行等と関連が深く、そのあり方についてはより慎重な検討が求められると考えられるがどうか。

② 日本基準における連結と単体の関係とは別に、開示制度上、連結では米国基準、IFRSを採用可能としつつ、単体については日本基準とするという意味で、連結と単体の分離が生じている。これまで運用されてきた中で、大きな問題は生じていないと考えられるがどうか。

③ 連結財務諸表と単体財務諸表については、情報提供機能・利害調整機能といった機能面において相違がある。日本基準における連結と単体の関係については、上記のとおり、「連結先行」の考え方が示されてきているが、この「連結先行」についてどう考えるか。

④ その他、会計・開示制度、連結と単体との関係等について、論点とすべき事項はないか。

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