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2011年11月21日 (月曜日)

【オリンパスの粉飾】-11/18、19の日経電子版の記事に関連して

多くの方がすでに読まれたと思うが、もし、下記の見出しに見覚えがなければ日経電子版のこれらの記事をお読みいただけるとありがたい。

11/18 オリンパスはなぜ、一線を越えたのか

11/19 オリンパスが問う、「問題先送り」の経営風土

18日の記事はオリンパスが粉飾に手を染めていく様子と企業が本業から離れていく怖さが、19日の記事はこの事件からの教訓(特に企業統治面)が記載されている。今日はこれらの記事を参考に会計面からコメントを記載したい。

 

18日の記事は1985年のプラザ合意による急激な円高から始まっている。当時10月決算だったオリンパスは、本業の業績悪化をカバーするための土地の売却取引を行い、1996年10月決算を乗り越えた。これが財テクに手を染めていくきっかけになったという。19日の記事は、タイトル通り問題先送り体質が日本企業にないか問うている。

 

短期的な利益を求める取引、即ち、年度決算を取り繕う取引は、これほどまでに経営者に魅力的に映る。日本の製造業は長期的経営を標榜しているといわれるが、確かにそれを踏み外すと恐ろしいことになる。オリンパスが良い例だ。ただよく見受けられるのは「長期的経営=含み益」という発想だ。業績が悪くても含み益を吐き出して利益をよく見せればよい、そういう考え方だ。オリンパスもこれに嵌ってしまった。

 

僕には投資家、株主、そしてその代理人と自認するアナリストやマスコミが、もっとそういう目を持って決算を見てほしいと思う。経営者が減益や赤字決算に怯えるのは、一に役員や従業員が減益や赤字決算に慣れてしまうことの怖さ、そして減益や赤字になると、上記利害関係者からの批判、叱責が怖いのだ。しかし、意外と知られてないのは、決算を取り繕うことの怖さ。最終利益をよく見せれば利害関係者からの追及が柔らかくなる。しかし、それで事業が改善されたわけではない。問題が先送りされただけだ。たまに益出し取引を非難する株主も見かけるが、配当が出るなら良いという利害関係者があまりに多い。もっと前段階で、厳しく、かつ、長期的な視点で、経営者を叱咤、激励してほしい。

 

財テクに嵌っていくプロセスも、同じ経営者心理が働いている。その効果も同じ。本業は何も改善されていないのに、利害関係者が責任追及しないので問題が先送りされていく。オリンパスでも、こういう構図の中で、1991年の営業特金解約時の有価証券等の甘い評価が行われたことは容易に想像される。有価証券で損失を出せば非難されるから出すのを止めようと思ったのだろう。資産評価を甘くしてはいけない。経営者は、高い意識で勇気をもって厳しく資産評価を指示してほしい。資産には事業の結果が蓄積されるので、悪いものもそこに溜まる。それを理解し、反省することが対応策につながる。利害関係者はすでに終わった期の赤字云々より、経営者のそういう姿勢を見て欲しい。経営者が事業上の問題に対処する姿勢がそこに現れる。過去のことより、その経営者で業績の回復が期待できるかどうか、その方が重要な関心事であるはずだ。

 

意外に思われるかもしれないが、利害関係者が日本の経営風土に与える影響は大きい、経営者を育てるのは利害関係者だ、そんなふうに僕は思う。監査人にとっても同様だ。株主総会に監査人が出席することが多いが、株主からの質問は非常に刺激的に感じる。

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