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2011年11月 3日 (木曜日)

IFRSの資産~売上と売掛金

(P/L中心主義の日本基準とB/S中心主義のIFRS)

僕は売上計上基準という言葉を使うとまずはP/Lの基準、日本基準をイメージする。日本の収益認識は実現主義で行われ、要件は財・役務の提供と対価の受取りだ。一方IFRSはB/S中心主義であるため、売上の認識もB/S項目の売上債権の成立によって認識される。即ち日本基準でいうところの対価の受取りだ。基準だけの比較をすると両者には大した差はないように見えるがそうなのだろうか。

 

もっと細かく実務を見ていくと両者の性格の相違が見えてくる。

 

(発送基準)

より具体的には例えば発送基準では、製品・商品を発送したときに売上を計上するが、これだと対価の受取りがまだ行われていない。しかし、多くの場合返品等はあまりなく、ほとんどは得意先に到着すればほどなく受領されるため、多くの会社で利用されている。と言いたいところだが、実際は税法で規定された基準であるため、多くの会社に利用されている。返品が多い、出荷してから何か月もたたないと検収されない、そんな製品・商品さえも出荷基準で売上計上されるのをよく見ることがあった。

果たして発送基準は実現主義の会計処理と言えるのか。このように感じた人は多分すごく多いと思う。でも税法に規定されていて、昔から採用しているし楽だから、ということで採用され続けてきた。

しかし、IFRSがそこに揺さぶりをかけてきた。相手が支払いの意思を見せてない段階、即ち検収を受けてないのに売上を上げられるのかと。売掛金が成立してないじゃないかと。

 

(出荷基準を止めた会社)

ある会社ではハイテク機器の生産設備を製品として販売していた。製品は受注して生産を始めてから、得意先の技術者が工場を訪れ、技術的なポイントをチェックしたり、改善要求を受けたりした後出荷され、得意先の生産ラインに組込まれ、実際にラインで稼働させてから検収を受ける。しかし、会社は得意先の技術者のチェックが終わっていることを条件に出荷時に売上計上していた。

国内の得意先に納めているうちは、それでも出荷してから数か月程度で検収を受けていたが、輸出をするようになって売掛金が年単位で長期に滞留するようになった。海外得意先は、設備が生産ラインに組込まれてその得意先の製品がラインをどんどん流れて生産されているにもかかわらず、検収を上げないのだ。さらに検収を上げても全額支払わず、一部保留する。商慣行が国内とは違うのだ。

 

こんな状況でIFRSが導入されるかもしれないという話題が会社の耳に入った。監査法人からはいつも売上計上基準がおかしい、改善した方が良いといわれている。そういう目でもう一度会社の実態を振返ってみると、売上債権の入金は滞っている、営業は製品の出荷を急がせるが得意先の意思かどうか疑わしい、出荷してから検収までの期間が長期化している、技術者の渡航費用が増加している等々・・・。そして、その会社は売上計上基準を出荷基準から検収基準へ変更した。

 

(金を生むか・・・B/S中心主義の視点)

既に起こっている話だから、IFRSを導入するために売上計上基準を変更したわけではない。しかし、IFRSが一つの視点を与えてくれて、自分の会社を新しい目で見てみると、今まで普通だと思っていたことが普通じゃない、改善すべきだと見えてくる。そういうことが大事だと思う。そしてそのIFRSが与えた視点というのは「お金を生むものが資産」ではないかと僕は思っている。出荷しただけで計上された売掛金は、お金を生む状態になっておらず、それが会社に良い影響を与えていなかったということに気が付いたのだと思う。

 

雑誌などで「出荷の翌日に売上を計上すればよい」みたいな話が書いてあったりするが、決してIFRSを形式的にとらえてはいけない。出荷だけで売上を計上することが、得意先に対する関心を薄めてしまったり、得意先からサービスが良くないと思われたり、得意先から管理がルーズで扱いやすいと思われたりする原因につながっていないかよく見直してみることが大事だ。検収書があればいいのか、そうではない、得意先が製品やサービスに満足することが重要だ。満足したからもらえる検収書でなければ会社にとって意味がない。そういう実態を備えた「金になる売掛金」が成立していなければ、IFRSで売上を計上することはできない。(日本基準でも本来はそうあるべきなのだが。)

 

ところで、この「お金になる売掛金」ではない売掛金がIFRSでも認められるケースがある。それは進行基準による売掛金だ。ただ、ご存じの方が多いと思うが、IASBは進行基準について売上計上を制限する方向で見直しを行っている最中だ。

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