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2011年12月29日 (木曜日)

IFRSの資産(まとめ)~将来キャッシュフローの見積もりへ臨むスタンス

この記事が2011年最後の記事となるが、みなさんがこれを読むのは新年明けてからかもしれない。一年の計を新たにしたみなさんの清々しい心境に合う記事になるだろうか。新年の最初から読む記事ではない、などと怒られないことを願いつつ僕は年を越したいと思う。

 

前回、前々回で、見積もりの影響の大きさ、客観的な見積もりの難しさ(特に事業計画に関連するもの)を記載したつもりだ。すると、IFRSによる決算は見積もり次第で良くも悪くもなり信頼することができない、という話につながってくる。確かに将来は不確実性に満ちており、この心配は的を得ている。しかし、財務諸表の作成者側からすると信頼できないとは失礼な話だ。

 

とはいえ、実際こんなに重要な見積もりを客観的にできるか不安もあると思う。それでIFRSになにか書いてないか、書いてあれば頼りたくなるが、読み始めると直ぐにいろいろ厳しい制約がることに気付く。ところが、さらに読んでみると見積もりの根拠次第で例外が許容されている。例えば将来キャッシュフローの見積もり期間には、最長5年という厳しい制約があるが、延長の可能性が残されているし、将来キャッシュフローの成長率についても逓減が原則だが絶対ではない。では、どういう根拠ならそういう例外が許容されるかだ。

 

契約条件からキャッシュフローを見積もったり、評価技法を用いて公正価値の見積もりを行う場合に、仮定を置いたり、評価技法や割引率を選択したりする。そして減損会計では回収可能額を見積もるために適切な事業計画が必要となる。見積もりが客観的な根拠を持つには、これらの仮定の置き方、評価技法や割引率の選択、事業計画の策定に対し、適切な根拠を持つ必要がある。しかし、これらの根拠の完全な説明は難しい、特に事業計画は・・・。

 

例えば、減損の兆候が見られたものについて速やかに改善計画を策定し、期末日には予算管理である程度改善効果の確認ができる状況にしていれば、客観的な説明が行える可能性が増す。しかし、期末日までに効果が出なかったら会計上の見積もりの基礎にする事業計画は、現状の延長線上の慎重なものにせざるをえない・・・か。

 

見積もりは必ず事後確認、差異分析が必要だ。それを効率的に行うには予算管理と連携させるのが良い。そして、見積もりが実際と相違した理由がいい加減ものではないことを確認していく必要がある。もし事業計画を達成できないことが多ければ、その会社は見積もりのスタンスをより慎重なもの、厳しいものに直していく。それが新しい見積もりにも間接的な根拠、信頼感を与えることになるし、事業管理の改善にも役立って事業の成功率を高めることにつながる。

 

というわけで、決算のための机上の事業計画ではなく、実際に即した事業計画の策定と慎重な見積もりの態度を醸成すること、即ちリスク管理の能力を高めることこそが、将来志向的な会計基準であるIFRSを導入する会社側のメリットだと思う。

 

27日の記事に記載した「将来予測は投資家が自らの責任で行うべきで企業が提供すべきではない」という日本の会計基準の伝統的な態度は、「企業は楽観的な将来予測を戒め、現実に即した、慎重な将来予測を踏まえた期末日現在の情報を提供すべき」へ変わっていくかもしれない。

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