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2011年12月 6日 (火曜日)

【オリンパスの粉飾】第三者委員会の振舞

この件に関連して、最近目についたニュースを挙げてみた。

 マイケル・ウッドフォード氏の来日、取締役会主席、日米捜査当局への協力、取締役辞任

 第三者委員会調査報告書の事前リーク?記事(反社会的勢力の関与否定、1999/3期飛ばし開始、損失最大1300億円)

 首謀者3名取締役・監査役辞任、菊川氏不正を最近知ったと証言

 上場維持を望む声(海外ファンド等)

 EC(欧州委員会)オリンパスを監査失敗事例に

 

これらからなんとなく読み取れる国内の雰囲気は、オリンパスが海外企業に買いたたかれることを防ぐためか、オリンパスに対して寛大な扱いを求めている人たちがいて、その方向へ流れが向かっている感じだ。流れの行先は、上場維持、現経営陣の延長でのオリンパス改革、オリンパス(や大王製紙)だけの特殊問題として扱い新たな規制は最小限に、という感じではないだろうか。となると監査人への処置も寛大な対応か。

一方海外は、EC(欧州委員会)が厳しい。タイミングの悪いことにリーマンショックの反省をしているところ、ちょうど監査制度改革等(相当ドラスティックなものになるらしい)を検討しているところにこの事件が入ってきた。またフィナンシャルタイムズ紙(英)も関心が高く、盛んに報道しているようだ。少なくても、規制強化で迷惑を被るだろうヨーロッパ経済界からは、この件の対処について厳しい目で見られるのではないか。また、日本企業の情報開示に関する閉鎖的体質、日本の企業統治制度(会社法)の遅れなどという、日本企業全体の評判を下げるような内容の報道は気になるところだ。

 

さて、この事件に関して、守られるべき国益は何か。そしてオリンパスにとって何が望ましいか。当たり前の結論で申し訳ないが、まずは投資家の利益で、次にオリンパス以外の日本企業の利益だ。そしてオリンパスにとって望ましいことは、自分や自分の周りの一部の人々の利益をあたかも会社の利益のように考えてしまう人を取締役から追い出して、本当に社会の公器としての会社の利益を考えられる経営者を招くことだろう。

 

ここで、いくつか気になっているのだが、一つだけ書いておきたい。第三者委員会のことだ。

 

振返ってみると、上記の国内の雰囲気づくりは、第三者委員会からのリーク?記事によるところが大きいような気がするのだ。まず、上場廃止かどうかが話題になって、反社会勢力に金が渡っていると金融機関や東証が厳しい判断になるだろうという見方が出ると、第三者委員会から「闇勢力の関与は見られない」と情報が流され、粉飾の内容が悪質だということについては「1999/3期に飛ばし」と既に過去のことであると強調するような情報が、また「損失の最も大きい時は1300億」とか「すでに損失は処理済」といった、状況が改善されたかのごとくの情報がでるという具合だ。損を出したこと自体、そして、それを隠蔽していたことが悪質だというのに、問題のすり替えだ。

 

まさか第三者委員会は最初からオリンパスの上場を維持するために業務を請け負ったわけではないだろう。まさか第三者委員会は現経営陣とつながってるわけはないだろう。だが、そう疑いたくなるように、世間の関心に合わせて一定方向に進むように選択的に情報が出されて、適時開示され、新聞記事になってくる。

 

第三者委員会は独立の立場から真相を究明し、再発防止に役立てることが目的のはずだ。まずは全体像が見えるように真相究明があって、それから様々な判断が行われるのが筋なのに、最初から上場維持が目的になって、会社と第三者委員会が吊るんで見えるようなこのやり方は、海外からはどう映るのだろうか。もちろん国内投資家の目だって同じだ。

 

第三者委員会の第三者とは、現経営陣からも独立していることを意味している。そう見えない場合は、敏感な海外投資家は第三者委員会を疑うし、第三者委員会を疑えば1214日に提出されるオリンパスの中間決算や過年度有報等の訂正報告書も信頼されない。監督官庁や東証はとりあえずこれを受けるしかないだろうが、海外投資家は日本の株式市場全体に対して信頼感を持てるだろうか。また、日本企業一般のガバナンスを疑う見方もあるときに、再発防止策に効果があると信じてくれるだろうか。海外資金が入ってこなければ日本企業の株価は下がって一般投資家まで損害を被るし、海外企業は日本企業を買い叩くことができる。

 

ちょっと話を大袈裟にしたが、第三者委員会の立場とはこれほどに難しいものだ。このように世間の注目が集まった事案について、寛大な方向へ誘導したり、また寛大な判断をすることが、いや「寛大」と感じられること自体が、一般投資家や他の日本企業にどのような影響を及ぼすか。上記は僕の少々穿った見方である。みなさんも日常生活で「第三者」の役割を求められることがあると思うが、これが、「第三者」についてじっくり考えてみる機会になったら嬉しい。

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