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2011年12月 7日 (水曜日)

【オリンパスの粉飾】第三者委員会の報告書の概略

昨日早朝にアップした記事で、この件に関連したニュースを列挙して、情報のアップデートをしたつもりだった。しかし、早々に第三者委員会からの報告書が公表されたので、一気に陳腐化してしまった。そして今日はオリンパスの現社長である高山氏から、今後の方針について会見が開かれるという。その会見を待ってからこの記事を書いてもよかったのだが、元社長のウッドフォード氏が「期待以上」と言ったという報告書が気になって、急いで読んでみたので感想を記載する。

 

直感で感じたのは、「これは会計士がドラフトしたレポート」ということだ。第三者委員会のメンバーは殆ど弁護士だが、法律論的なものには触れず、何が起こったか、ポイントとなる事実を記載し、経営的な問題点が浮き彫りになるようまとめられている。

 

 1980年代の財テク時代のこと

法律論的に片づけようとすれば、この時代は無視されてもよいのだが、あえてこの時代から初めていることを僕は評価する。冒頭に、当初は2006年頃からのM&Aに関連した調査を依頼されたが、その後1990年代からの損失先送りについても調査対象に含めるよう会社側から依頼内容の変更があった旨記載されている。

 

しかし、第三者委員会は1980年代の下山社長時代の財テクにのめり込んだことについても踏み込み、そして早期に財テクの失敗を清算しなかったことへの経営責任を問うている。この点こそが、他の多くの企業に対する警鐘、教訓となって生かしていくべきところだと僕は思う。

 

だが、本当はもっとこの部分へ踏み込んで欲しかった。「営業特金解約時に会計基準で許容されるから、或いは拡大解釈して行った甘い判断」にもっとフォーカスして、さらに厳しいコメントを入れて欲しかった。また、1990年代の資金運用で損失を膨らませていく実態も知りたかった。なぜなら、失敗を隠そうとすればするほど損失が拡大する泥沼の実態が生々しく明るみになれば、それがいかに企業にとって悪いことかがはっきり理解できるからだ。これは他の一般企業にとっても大きな教訓だ。しかし、第三者委員会としては、短期間に報告をまとめなければならず、要約版の16ページから17ページの表現が限界だったのだろう。そこが少し残念だ。

 

 1998年からの飛ばしとM&A

隠れ損失の飛ばしの仕組みは3つのルートがあって、それがM&Aで捻出された資金で穴埋めされていく様子が記載されている。複雑なものが分かるように配慮された文章だ。だが、もともと複雑なのでやはり読むのは大変だ。ここに多くの紙面を割いている。読まれる方は気合を入れて。

 

ただ、気をつけなくてはいけないのは、ファンドの資金不足は充足し解消したが、オリンパスが抱えている含み損を今までの決算ですべて実現したとは書いてないことだ。14日までに提出される有価証券報告書の訂正報告書や第2四半期報告書に十分注意が必要だ。

 

短期間の調査でこれだけの複雑な資金の流れを把握できたのは、首謀者たちの(一部かも知れないが)協力があったからに相違ない。裏帳簿も首謀者たちから自主的に提出され、それが役立ったのだろう。この態度が歴代の社長が関わってきた不正にも拘らず、第三者委員会が「会社ぐるみではない」と言い切る自信につながったのかもしれない。また、反社会勢力の関わりについては短く認められなかった旨の記載があるだけだが、そう書けるのも、調査の中で首謀者たちを信じてよいと思える心証をつかんだからだろう。

 

 関係者の責任

取締役、監査役、監査法人は当然のこととして、M&Aに関連して会社が設置した第三者委員会についても責任を問うている。僕は昨日の記事で第三者委員会の振る舞いについて記載したが、「第三者」の立場は非常に難しい。監査法人も含め、「第三者」の立場をとることについてもっと真摯な姿勢で臨むことが必要だ。

 

 再発防止策

旧経営陣の一新が明確に記載されたこと、経営監視委員会の設置が提案されたことに特徴があるが、何より「意識改革」が重要としているのには全く同感だ。いくらいい形を作ってみても、それぞれの役割が果たされなければ屋上屋を重ねるだけだ。役割を果たすには、人が自覚を高めていくしかない。不正や甘い判断はどの会社でも起こりえる。厳しい競争社会、生活環境で魔がさすことは誰にでもある。しかし、そこで踏みとどまる勇気を持つこと、他人のやっていることに踏込む勇気を持つこと、そして、自分の役割が単に会社組織の一部ではなく社会的意義があることを自覚することが、もっとも良い結果を生む。そうみんなで信じられるようになりたいと僕も思う。

 

 情報開示

27ページに「したがって、法令等に基づく開示は当然として、投資者にとって重要・有益かどうかという尺度で開示を促進すべきである」とある。これは、正にこのブログでも主張した「適正開示の枠組み」だ。制度はそうなっている。実務が早くそれに追いつかなければならない。

 

さて、第三者委員会の報告書は、要約版と言っても24ページに及ぶものであり、時間のない方がすべて読むことは難しい。余分なことも書いてあるが、上記が概略、イメージの把握に役立てば幸いである。

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