ちょっと休憩-representation
日経新聞が1/22朝刊で「予測できた危機をなぜ防げなかったのか?」(マックス・H・ベイザーマン、マイケル・D・ワトキンス著、東洋経済新報社)を推奨していた。英語のタイトル「PREDICTABLE SURPPRISES」は、「それ分かってたんだよ~、でもやっちゃった」みたい語感があって、親しみと戦慄を覚えたので購入して読んでいる。原著は2004年に発刊されたもので、9.11同時多発テロやエンロンの粉飾事件など、その当時のアメリカの国家的な大問題(既に起こったもの、潜在的なもの)を題材にしている。政治資金規制法の問題は、ウォーターゲート事件までさかのぼっている。それらは防げなかったのか、これから防げないのか、それはなぜか。日本向けには、福島第一原発の事故やオリンパスの粉飾事件があったこの時期に翻訳されたものらしい。
内容も濃いうえに、日本語も難しくて、いまそれにかかりきりになっている。アメリカの大粉飾事件であるエンロン事件に関しては、その前後の監査人の独立性に関する監査法人ビック5(当時)とSEC(米国証券取引委員会)の戦い、日本の内部統制報告制度の基になったサーベンズ=オックスリー法の成立の経緯や規制の概要など、僕の関心を引く内容が満載だ。特に監査法人の監査先に対するコンサルティングを禁止する問題を「予測できた危機」の一つに挙げて論じているところは、EC(欧州委員会)でも改めて議論中でもあり、考えさせられる(まだ同意はしていないが)。
というわけで、暫くそちらに集中しようと思う。ちょっと、いやもしかしたら、かなりブログのペースが落ちますのでお許しください。
さて、いまは有用な財務情報の2本足のうちの1本である「忠実な表現」のシリーズを記載中なのでそれに戻ると、今回はその忠実な表現の英語である「faithful representation」について軽く一言記載したい。
「faithful representation」は、「representation」であって「presentation」ではない(頭に「リ(re)」がついている)。両者を辞書で比較してみたが、「representation」には何かを代表する権利を持って話をするとか、事実を踏まえたものや裏付けがあるものを説明するといった語感があるようだ。一方で「presentation」は「説明」という行為に焦点が当たっている言葉のように感じた。もしかしたら「faithful」は強調に過ぎず、「representation」だけでも「忠実な表現」という意味なのかもしれない。ということで、「忠実な表現」には「リ(re/裏)」がついているのでお間違いなく。
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