有用な財務情報とは~質的特性
これは基礎中の基礎、あまりに当たり前だけにマニアにしか注目されない、みんなが読み飛ばしてしまうところじゃないだろうか。ところが重要だ。これはIFRSの「概念フレームワーク」の資産や負債の定義の前に書いてある。
質的特性とは、財務情報として開示すべき情報かどうか、どのように開示するかを識別するために利用される「ものさし」のようなものと考えられる。次のものがあるとされている。
- 基本的な質的特性(fundamental
qualitative characteristics)
☆目的適合性(重要性)、☆忠実な表現
- 補強的な質的特性(enhancing
qualitative characteristics)
★比較可能性、★検証可能性、★適時性、★理解可能性
その結果、IFRSに基づいて開示された情報は、「基本的な質的特性」を有していることになるし、「補強的な質的特性」も有していれば言うことはないが絶対条件ではないということになっている。え~っ! IFRSは比較可能性が命ではなかったのか、検証可能性の乏しい情報を開示していいのか!!等々信じがたいことことになっている。
以前記載したように「適正表示の枠組み」の制度であるIFRSは、「要求された最低限の開示」を行えばよいという受動的な対応では済まされない。従来以上に「利用者に適切に理解してもらう」ことを目指さなければならない。そのとき何が適切なのかを判断する尺度のようなものがこれらの質的特性ということになるだろう。したがって、とても重要なことだ。しかし、とても抽象的でこれだけで具体的な判断ができるだろうか。それは無理だ!
というわけで、これからこれらについて掘り下げていきたい。
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