原発反対!
1/23のNHKのクローズアップ現代「原発賠償 遠い生活再建」、そして被災者と東京電力の和解案(第三者機関の紛争解決センターによるもの)を東京電力が拒否したという週末のニュースを見て感じたことを記載したい。原発事故関係に限らず東日本大震災の被災者への対応は遅れるばかりだが、事故からもう10か月以上経過した今でも被災者は先が見えない状況に置き去りにされている。
僕は、3.11以降も必ずしも原子力発電所の即時廃止論者ではなかった。ご存じのとおり、原子力発電は放射性廃棄物の処理を含めて技術的に未解決な問題が非常に大きいので、危険が大き過ぎるとして即時廃止を主張する人たちが多い。しかし、だからといって原子力の利用をしてはいけないとは思っていなかったのだ。
それにはリスクを理解して、国や、公益企業を標榜する東京電力が適切に対応してくれるという信頼感があったのだと思う。福島第一原発の事故は政府や東京電力が言う「想定外」の事故だったかもしれないが、起こってしまったものは現実だ。「想定外」だったから対処できなかったというのは一応の理屈だが、被災者の救済という現実の問題に対処しないのは怠慢だ。
さて、みなさん。やる気になればできるはずの現実の問題にも対処できない人々に、非常にリスクの高い原子力への挑戦を許してよいだろうか。原発運用体制とか技術開発体制と、被災者支援体制は違うと思われる方もいらっしゃるだろうが、国の機関や経営陣は同じ人たちだ。同じ人たちがどこまでやるかを判断するのだ。被災者への対応はズサンでも、原子力発電所では自己に厳しく安全で信頼感のある運用が行われ、放射性廃棄物は1万年先をも見据えた管理体制がいずれ構築されるなどと想像できるだろうか。これは有権者が選択すべき問題だ。
休止している原発を再稼働したいと考えている人たちは、まず福島の被災者のことを考えるべきだと思う。自宅から避難して不安で不自由な生活をしている原発被災者への補償が自動車事故と同じレベルで良いと考えている人々の想像力など信頼できない。それで「想定外」などと言われても許せるわけがない。ちょっと想像力があれば、浜岡原発が東海大地震に被災して、西風に乗った放射能が首都圏まで飛散する姿を想像してしまう。そのとき我々は国や電力会社からどのような扱いを受けるのだろうか。それも想像できる。
クローズアップ現代によれば、賠償金の総額は5年間で6兆円と試算されるそうだ。もちろん6年目以降も賠償は続くだろう。昨年7/6の記事にも記載した通り、これは全額東京電力の負債だ。一部(特別事業計画に記載された賠償額の見積もり約1兆円のうち、原子力損害賠償支援機構からの補償金受入見込額1,200億円を控除した8,909億円)はすでに第2四半期より引当金に計上されている。しかし東京電力に想像力があれば、それでは特別事業計画に記載された「親身・親切な賠償のための5つのお約束」が果たせないことはもう分かったのではないだろうか。
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