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2012年5月26日 (土曜日)

【2011進行基準】IFRSの目線と経営の目線

IFRSは、会計基準の基礎となる概念フレームワークにおいて、顧客を満足させることが企業にキャッシュ・イン・フローをもたらす旨の記載をしていて、2011年公開草案「顧客との契約から生じる収益」では、「履行義務を充足」することで企業が提供する財・サービスの「支配」が顧客へ移転し、収益を認識することを見てきた。このように見てみると、顧客を満足させるところが企業経営と共通の基礎となっていることが分かるが、それならIFRSを経営に利用できないか、というのがこれからの趣旨だ。

 

この観点から、改めて2011年公開草案の特徴を挙げてみよう。

 

①プロセス重視(履行義務の識別)

今まで進行基準を見てきたため触れてこなかったが、この公開草案で収益の認識は次の5つのステップで行われる。

1.顧客との契約の識別

2.履行義務の識別

3.取引価格の算定

4.取引価格の履行義務への配分

5.収益の認識(履行義務の充足)

まるでERPシステムのように、顧客との取引を一連のフローとして把握することになる。

 

②企業が提供する財・サービスの(支配の)移転を描写するように収益を認識

財・サービスの支配の移転は、その財・サービスを顧客が使用または処分することができ、生み出す将来キャッシュフローを顧客が獲得できる状況になった時に実現する。進行基準は、この支配の移転が次々に起こる場合に実態を適切に描写するものとして(完了基準に優先して)採用される。支配の移転が次々と起こっているかが問題となる。

 

③進捗率の管理

進行基準を適用する場合は進捗率を信頼性を持って計測できなければならないので、実行予算と実績の管理を適切に行う必要がある(趣旨は現行の日本基準も同じ)。では完成基準を適用する場合に、進捗管理は不要だろうか。ケースバイケースだが、単に会計上の進捗率を算定できれば経営上の問題がクリアできるわけではない。むしろ、進行基準であろうが完成基準であろうが、経営上の必要性で進捗管理を行う必要がある。

 

顧客は発注したものについて、企業の提供する財・サービスに期待し、満足している限り、それを自ら進んで支配しようとする。するとIFRS上は、②の時点での顧客満足の状態が、支配の移転状況を把握する前提として重要視されやすいと思う。しかし、経営としては、引き合いがあって提案する時点から履行義務を充足するまで、各段階に応じた満足を顧客に感じてもらい続けることが目標となる。実際はIFRSにおいても、1~4のステップはほぼ受注確定までに行われ、その後は状況の変化を拾い、最後に(受注通り)履行義務が充足されたかを確認するので、顧客満足の状態が一連のフローを通して重要になる。したがって、経営の目線とIFRSの目線は意外と近い。

 

さてここからは、今まで通りソフトウェア受託開発にフォーカスして検討していきたい。

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