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2012年8月 8日 (水曜日)

【OxRep】要約 とExecutive Summary

2012/0808

正直言って、本日未明のメキシコ戦の敗戦、サムライブルーの敗退はショックだった。しかし、まだ銅メダルのチャンスと、なでしこの金メダルの可能性がある。気を取り直していこう。でも、メキシコは強かった。

 

さて、「オックスフォード・レポート」という名称にはどういう意味があるのだろうか。オックスフォード大学の教授がレポートを作成すれば、すべてこのように呼ばれるのだろうか。Googleで「"Oxford Report"」を検索してみたら、

 

最初に出てきたのは、オックスフォード大学の国際法廷の判例集のようなサイト(学術的価値の高そうな感じです)。

 

2番目に出てきたのは、オックスフォード大学のチームが「原油埋蔵量がTipping Pointを迎えた」というレポートを出版したことを紹介した記事(きっと、エネルギー政策を抜本的に見直す機会となりそうな凄いレポートだったのでしょう)。

 

そして、なんと3番目に僕の前回の記事がリストされていた。

 

前の2つがあまりに立派で恥ずかしくなったので、それ以上見るのを止めた。そしてシリーズ名は、上記のように勝手に省略して【OxRep】に切替えた。(これは8/3の出来事)

 

ということで、この名称のちゃんとした意味は分からずじまいだったが、やはりオックスフォード大学800年の歴史に重みづけられた権威があるのだろう。ちなみに作成者であるトモ・スズキ氏が所属している「Saïd Business School(サイード・ビジネス・スクール)」は、「経営学全般のほか、社会的起業、ファイナンス、会計等の科目に強い。」ほか、「2006~2007年、英国教育省の査定によると、サイード・ビジネス・スクールの「Economics& Management」コースは、英国のすべての大学、すべての学科の中で総合第1位の評価を獲得している。」のだそうだ(wikipediaから)。

 

さて、冒頭に前回の記事で取り上げた「序」があり、その次に「要約」があり、その次に英文の「Executive Summary」がある。多くの人は日本語の「要約」を読んで英文の「Executive Summary」は飛ばしたと思うが、前回の記事に「熟読する」と書いた僕は、英文も眺めてみた。すると両者に差があるのに気が付いた。どちらかが、他方の単純な「翻訳」ではないのだ。英文の方が詳しい。

 

「要約」や「Executive Summary」は、調査方法(聞取りや学術研究資料などの調査)やこのレポートの方法論の説明から始まるのだが、そこは省略して、内容を以下に大胆に概略する。

まず、「要約」には次のようなことが書いてある。

 

  • 本報告書はIFRSの日本における性急な(=コンセンサスのない)フル・アドプション・強制適用を支持しない。

(理由)

  • 多くの投資のプロや日本企業は、原則主義と公正価値で透明性と比較可能性が低下すると考えている。
  • 短期的・中期的には、国際証券市場の本質的な効率化は促進されないと考えられる。
  • 証券市場以外の日本の経済社会全体に与える影響が十分分析されていない。特に透明性と比較可能性が増進されるイメージの中で、実際には低下するという混乱がもたらす影響。
  • しかし、日本は今後も国際的な会計・財務報告の実質的な改善に一層の努力と貢献が必要。
  • そして、その努力や改善を個人から政府機関のあらゆるレベルで日本国のコンセンサスとして積極的にアピールすることが必要。

(理由)

  • 規制関連ビジネスの伸長、国際規制の政治的駆引きへ対応する必要があるから。これに対応しないと日本企業のファイナンスに支障をきたす恐れがある。

 

  • 日本は、(上記の)IFRSでの経験を活かして(他の分野の)国際規制の政治経済的な駆引きに関し、今後、政府レベル(特に内閣レベル)での組織的な対応が必要。

なんと、散々ではないか。IFRSに良いところはないのに、グローバリゼーションという津波の防波堤とするために国際貢献をしなさいということか。しかも最後はIFRS以外の分野についても日本の組織的な対応を求めている。それは、この調査の目的から外れていると思うが・・・

 

そして「Executive Summary」は次のようになっている。

 

  • 性急なフル・アドプションは透明性と比較可能性を低下させ、IFRSの目的を達成できない。
  • 日本基準をIFRSのために捨てることは、日本の成熟した経済の運営に歓迎できない多面的な影響を及ぼす。
  • しかし、我々は日本に対し、国際会計基準開発への前向きな参加を推奨する。

 

(IFRSの早急なフルアドプションに賛成しない理由)

  • 日本の学術研究ではIFRSへのアドプションにより透明性と比較可能性が低下するとされている。
  • 日本のトップ企業のCFOや政界の投資家への聞取り調査でも、経営者に見積りや会計方針の選択を行わせる原則主義の公正価値会計で、透明性と比較可能性が悪化するとされている。かつ、IFRSの冠である「高品質のグローバル基準」は、特に会計方針や注記を熟読せず財務諸表の数字のみに反応するような多くの投資家に誤解を与える。この2つが実態を誤解させて短期投資を動かし、その相場の動きがさらに会計の透明性と比較可能性を劣化させる(市場価格がB/Sに付されるため)。その結果、株式相場も経営上の意思決定も歪められる。
  • 金融より、製造業やその他の分野の日本のトップ企業が上記のようなひずみを生む可能性に強い関心を持っている。例えば、IFRSの、のれんの非償却処理や自己のれんの資産化問題。
  • IFRSのアドプションは、長く醸成されてきた日本の経営哲学に害をなしそうだ。
  • 長く親しんだ取得原価主義や保守主義からの離別にも強い関心を持っている。これらは、日本の経営を支えてきた長期投資やイノベーションの基礎を傷つける。
  • 銀行業や保険業でさえも公正価値会計の導入によってビジネスモデルが劣化させられるのではないかと関心が持たれている。
  • すでにIFRSをアドプションした企業のCFOが、IFRSの採用は資本コストを削減できず、原則主義の下で、監査コストなど規制対応コストを増やしたと認識している。

 

「投資家のために有用な会計情報を提供することが、効率的な証券市場を構築するうえで必要不可欠である」というのは良く聞かれる話だが、これをIFRS推進派(IFRSビジネスの提供者や政治的な強者)のレトリックと決め付けている。

 

どうも、僕はとんでもないものを読み始めてしまったのかもしれない。「早急な(コンセンサスの取れないうちの)」という言葉がついているものの、どうみてもIFRS導入に賛成しているように思えない。僕とは意見がかみ合わないのではないか。しかも相手は800年の歴史の重みを持つ大オックスフォード・レポートだ。もうここで読むのをやめようか。しかし、始めたばかりで止めてしまっては、最後まであきらめずに勝利を目指すなでしこJAPANや、これから気分を取り直して銅メダルを目指すサムライ・ブルー関塚JAPANに顔向けができなくなるかもしれない。ということで、気を取り直してもう暫く読み続けていこうと思う。

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