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2012年9月 1日 (土曜日)

脱線1~ルール運用の知恵、リスク管理、見積り、保守主義、重要性

2012/09/01

前回、オックスフォード・レポートを読み続けると書いたものの、だいぶ僕の熱は冷めてしまった。レポートに向かうのだが、「根拠があるのか?」という疑問に集中力を殺がれてしまう。そこでちょっと間を置くために、脱線させてもらいたい。たかが二十年ちょっとだが、会計や監査の専門家としての経験から、見積り(金融商品系のものではなく事業性のもの)や保守主義・重要性と企業経営の関係について感じていることを数回に分けて書きたいと思う。ただ、全然学問的ではないし、何か権威があるものが根拠にあるわけでもない。単に感じたことを書くだけだが、お時間のある方は気楽にお付き合い願いたい。今回は少々前振りをさせていただきたい。

 

実は、僕が最も関心を持っているのは会計処理の内容ではなく、「ルール運用の知恵」だ。たくさん細かいルールを知っている人が偉いと思われがちだが、それは偉いというより便利にしか過ぎない。当たり前だが、社会と企業のためになることをたくさん実行できる人が偉い。法律も、社内規則も、会計基準もそれをサポートするためにある。ところが、それらのルールの運用については、社会と企業のためになるよう運用されているとは限らない。そう感じることはないだろうか。

 

そう感じるときの多くは、ルールが細かすぎるときと、例外を認めない硬直的な運用がなされるときだ。だが、ルールを運用する側がそういうすべてのケースで行き過ぎているとは限らない。ルールを課されている側の無理解・未成熟というケースもある。この線引きが難しい。しかし、これを上手にこなすことこそが、「ルール運用の知恵」だ。頭の中で考えると、これは難しいことではない。ルールにはそれぞれ設定される目的があるから、その目的に照らして運用が行き過ぎかどうかを判断できればよい。但しそれは、少数の当事者とタコツボ専門家の判断ではなく、一般常識の中で行われる必要がある。例えば、法律の世界では、検察審査会や陪審員裁判にその役割を期待しているのだろう。

 

企業経営はどうだろうか。

 

企業は社会に貢献し、適切な対価を得る。企業は社会に有益な存在になることで投資額以上のキャッシュを社会から回収する。この過程で顧客や資金の出し手、規制官庁、その他と利害関係を持つ。利害関係を持つということは、そこには法律から暗黙のものに至るまでの様々な約束事ができる。まあ、ルールという固いものばかりでなく、例えば、企業イメージを企業が作って社会がそれを受入れると、企業はそのイメージに沿った行動をすることを社会から期待されるといったことも含めて。

 

企業が他社と差別化し、社会から価値を認められて存続をより確かなものにするという社会からプラスの評価を受けるときは、そういう約束事の柔らかい方の期待を満たすときが多いと思う。(法律などの固い方は遵守が義務なので、期待を外せばマイナス評価となる。) そのような柔らかい約束事ができる過程、それを維持・増進する過程で、企業と利害関係者の間にコミュニケーションが行われる。これもルール運用の知恵だ。

 

顧客とは、製品やサービスの内容やそれに対する評価が主にコミュニケーションの材料となるが、資金の出し手とは、資金の使途(計画)とか投資の進捗状況や成果が材料になる。その一部(だが、重要な部分)が財務諸表だ。

 

すると、企業と外部との関係は、約束事が細かいルール、硬直的なルールで規定されているのではなく、コミュニケーションという、より自由な相互関係という柔らかなものに依っており、この中から、利害関係者の数が多く内容的に共通する一般的な事項や、社会に対する影響の特に大きなものが法律等のルールになっているというイメージが湧く。財務諸表も、こういう事項の一つとして扱われ、様式や会計処理が決まっている。

 

このように財務諸表を見ると、(主に)資金の出し手への説明材料、資金の出し手へ約束したことを実行していることの疎明資料ということになる。だが、それは財務諸表を一面から見た姿にしか過ぎない。不思議なことに財務諸表や会計は、こちらの面から語られるばかりで、もう一つの大事な面が公の議論から見逃されている。それは、会計が経営者や管理者が企業実態を把握する道具という面だ。そんなことは当たり前、みんなが知っている暗黙の前提だよと言われそうだが、そういう扱いが重要な誤解を招いている。誤解しているのはお前だよ、と言われるかもしれないが、これは僕のブログということで、しばらく勝手に書かせていただくことをお許し願いたい。

 

  • 会計上の見積り(特に事業性のもの)
  • 保守主義
  • 重要性

 

企業活動は、基本的にはコミュニケーションという柔らかな約束事で利害関係者との関係をユニークに創造していくところに価値があるものだと思う。上記の項目はそういう範疇に含まれるもので、固いルールとは一定の距離があると僕は考えている。そして企業経営者は、リスク管理という外部から一律に律しにくい、企業独自の経営の仕組み・機能を通して、上記項目と関わることになる。

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