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2012年10月23日 (火曜日)

【製造業】個別科目の問題の概観

2012/10/23

「根拠を示す」ということは難しいが、そこが重要だ。

 

橋下大阪市長の出自を暴く週刊朝日の記事は、Twitterばかりでなくテレビ・ニュースでも取上げられた。僕はその記事を読んでいないので橋下氏のツイートからの想像だが、週刊朝日は、橋下氏の攻撃性がどこから来るのかを、その血統から探ろうとして失敗したらしい。だが、そもそも、橋下氏は40歳を超えて社会生活を営み、大阪府知事、大阪市長に当選した人なので、人格に致命的な欠陥があると考えるのは、いかがなものだろうか? それより、氏がなぜ怒るのか、その中味やパターンをじっくり検討・批判すべきではなかっただろうか。

 

週刊朝日は、血統・血脈・DNAという本人の努力ではどうしようもないところからアプローチすることで、橋下氏を人として“差別”した。週刊朝日は、同和問題に触れたことを次週号で謝罪するようだが、それはほんの一部に過ぎない。仮に同和問題に触れてなくても酷いアプローチだ。「本人の努力や責任の及ばないこと、即ち、関係のないことを根拠に、人格をなじった」という子供の悪口みたいな記事で雑誌を売った下品さを恥じ、マスコミという第4の権力にあるまじき差別行為を謝罪すべきだと思う。

 

さて、そんなことを考えていたら、前々回(10/18)の記事のタイトル「(まとめ1)IFRSは長期志向」が、ふっと頭に浮かんだ。IFRSになると、利益が出たり損失が出たり、業績がシーソーのように大きく振れやすくなる、という一般的な理解がある中で、このタイトルはちょっと常識的ではない。それにしてはあっさりとした書き振りだったような気がする。説明しきれていない、根拠が十分提示されていない、一面しかとらえてないのではないか。

 

しかし、幸いなことに「まとめ1」としているので、続きは次回以降の「まとめX」でやることにして、ここは前々回の予告通り先に進み、個別科目の問題に移りたい。まずは、もう一度個別科目の問題について概観してみたい。

 

オックスフォード・レポートの記述は、9/14の記事にコピペしてあるが、次のような整理ができると思う。

 

原価計算・・・原価の範囲が不安定、変動する

ここでは、固定資産の減損、棚卸資産の減損の扱いを取上げていきたい。開発費やのれんに関連する原価計算の問題、及び、退職給付債務の数理計算上の差異の影響については、下記でまとめて扱うことにする。なお、原価計算の問題とは、単に財務会計上の製品評価の話だけでなく、原価低減活動や製品価格決めについても影響が及ぶとされている。

 

開発費

ここでは、開発費に関する懸念とその影響について扱いたい。特に保守主義(長期的視点に立った経営の阻害)と恣意性(内部統制の弱体化)の問題、その結果、原価計算に与える影響。

 

のれん

ここでは、のれんに関する懸念とその影響について扱いたい。特に保守主義(同上)と恣意性(同上)の問題、その結果、原価計算に与える影響(のれんの場合もないとは言えない)。

 

退職給付債務の数理計算上の差異の扱い

ここでは、退職給付債務の数理計算上の差異をP/L計上するか、OCI(その他の包括利益)に含めるかが原価計算に与える影響、従業員退職給付制度(確定給付から確定拠出への移行)に与える影響について扱いたい。

 

人件費に関連する問題

ここでは、“人材”の評価ができない問題と、9/14の記事では「おまけ」とした有給休暇引当金について、記載してみたい。

人材評価ができないのはIFRSだけの問題ではないが、IFRSは、なんでも公正価値評価のイメージが強いので、それなら人材もやってみなさい、ほらできないだろう、でもそれが従業員に不利な影響を与えてリストラや賃金低下を招いているんだよ、という主張だと思う。果たしてそうだろうか。

それから有給休暇引当金については、僕は昔から「日本で本当にいるのかな?」という疑問を持っていた。この際、それを検討してみたい。

 

再評価モデル

IFRSでは、有形固定資産を取得原価で計上し減価償却する方法と、公正価値で再評価する方法の選択適用が認められている。製造業には合わないので、前者を選択すればよいだけなのだが、一応ここではリストアップしておく。

 

非上場株式の公正価値評価

公正価値評価が困難、或いは、面倒なので、非上場株式への投資の差し控えや、OCIに影響を与える持合株式や海外への投資を控えてしまう懸念があるという。これについて検討したい。

 

問題の解釈には僕の考えが入っているので、もしかしたら論点が間違っている可能性がある。もし違うとか、足りないと思われたら、或いは上記以外でもこんな問題がある、という点があればご指摘いただけるとありがたい。

 

オックスフォード・レポートでは、これらについて「UNIASプロジェクトは全てに一定の真があるものと考えるが、個々の企業によって事情が違うので、日本全体の影響について評価するのは困難である」旨記載している。確かにその通りだ。僕にももちろん日本全体の影響を評価する趣旨(及び能力)はなく、僕が代表的とか、典型的と思うケースについて記載するに過ぎない。

 

さて、それでも僕にちゃんと根拠を示せるだろうか。ちょっと心配だ。記事が遅れ遅れになるかもしれないが、ご容赦ください。

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