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2013年1月29日 (火曜日)

のれん ー 毎期規則的に減損するのはどう?(23)アップルの株価

2013/1/29

アップルの株価が急落している。一時は700ドルを超えるまで上昇していたが、今は440ドル前後だ。MSNマネーによると、2012/9期末での資本合計は176,064百万米ドル、発行済株式総数は939.21百万株だから、一株当たり純資産は、187.5米ドルとなる(アップルの決算月は9月)。700ドルまで上昇していた時は、のれんに相当する部分が500ドル以上あったが、今はその半分程度しかない。そしてつい最近、時価総額No.1の座をエクソン・モービルに明け渡したというニュースが流れた。

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アップルの株価の動きを振返ってみると、ちょうど一年前のいまごろ、今と同じ程度の株価だったが、その後上記のように上昇して9月が天井だっだ。ちなみにスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったのは、今から1年3カ月ほど前の2011/10/5、その前月9月末の株価は381ドル、10月末の株価は404ドルだ。死の直前の10/4には、iPhone 4S発売の発表が行われた。

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ほー、ジョブズ氏が亡くなって、株価が上昇した(即ちのれん相当額が増えた)ということは、「のれん=人の評価」説は消えたな。

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そう思われた方はちょっと待ってほしい。株価は短期的には業績予想で動く。いま、アップルについて言われていることは、「ジョブズ後の成長が見えない」ということであり、ジョブズ氏が残されたアップルの人々に企業価値の源泉となる能力を引継げていれば、株価はこれほど下がってはいなかっただろう。

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昨年9月のiPhone 5までは、ジョブズ氏の遺産・路線を引継いだものと見られていた(株価は天井)。だからその後が注目されたが、昨年10月に発売したiPad miniのコンセプトは、生前ジョブズ氏がネガティブだったと言われ(注)Androidの7インチ・タブレットに追随したものだ。これ以降、株価下落が始まった。さらにはサムスンやアマゾンなどの安い製品に対抗するために、中国などで価格競争を強いられているために、廉価版が開発されているなどと噂されるようになり、いま、ジョブズ氏のブランド・イメージが剥げ落ちている過程だと見ることもできる。ジョブズ氏なら、市場に追随するのではなく、新たな市場を創造するような、或いは、他社製品とは明らかに差別化できる革新的なアイディアで製品開発をしたに違いない。それができないアップルは普通の会社になってしまったと。

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確かに、革新的な製品開発は短期間にできるものではない。とはいえ、うかうかしていると、ジョブズ氏が復帰する前の、破綻寸前のイメージが蘇ってくるかもしれない。iTunesのような新しいビジネス・モデルが残されたが、これだって激変する環境の中でいつまでも新鮮さを保てるとは限らない。ジョブズ氏の遺産を守っているだけではダメなのだ。果たしてジョブズ氏は、新しい才能と、目標に向かう強い組織を育てられていただろうか。残された人々の実力・能力。それがこれから問われることになる。

 

ちなみに、僕は株式投資は素人だ。これを読んで売ったり買ったりする人はいないと思うが、念のために申し添えておく。昨年10月以来のアップルの株価急落の原因で一般的にいわれているのは、iPhone 5のスタート・ダッシュが市場の期待ほどには良くなかったこと、調査会社IDC12月のレポート(iPhone中国市場のシェア下落、タブレットのシェア下落)、それを裏付けるような部品メーカーへの部品発注減の報道、13月業績見通しが期待外れ等々の理由で下落したとされている。Microsoft2000年には現在の倍ぐらいの株価がついたが、その後それを更新できていない。さて、アップルはどうなるか。「人次第」と思いません?

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(注)2010/10/18の決算説明会の質疑応答でジョブズ氏が、Android陣営が開発している7インチ・タブレットについて「DOADead on arrival=即死)」と表現したことを根拠にしているらしい。7インチという小さな画面でも操作できるように、ユーザーが指を削る紙やすりを製品に同梱する必要がある、という趣旨のことも述べたという。このときの否定の仕方が強い印象を残した。
その後、ジョブズ氏が
iPad miniの開発を認めていたという報道や、ジョブズ氏が言を返すことは他にもたくさんあったという話もあるが、今回の件についての真相は分からない。ただ、アップルからジョブズ氏の持つ革新的なイメージが、薄れつつあることは確かなようだ。

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コメント

こんにちわ。
丁寧なご返事、ありがとうございました。新しい記事、お疲れ様です。
はみだし会計士さんの趣旨をだいぶ理解できたように思いましたので、その理解したところを書いてみたいと思います。

のれんは人の価値である。という論旨の背景に、「企業はヒト、モノ、カネでできている」、「純資産はモノとカネの価値を表している」という考えがあるのではないかな、と感じました。
(もしかしたら誤解してるかもしれませんが、買収額と純資産との差額に意味を持たせるならば、純資産に意味を持たせる必要があるだろうと感じました)

先のコメントに使用した数値を、ふたたび使用して説明してみますと、
・買収者は、対象企業の企業価値を6000と見積もった。
・売り手との交渉の結果、買収額(譲渡金額)は4000となった。
・資産、負債を調査した結果、修正後純資産(以降、時価純資産とする)は2500だった。

このときに、
6000=買収者の想定した企業価値=対象企業のヒト、モノ、カネの価値の合計
4000=買収者が支払った金額
2500=対象企業の時価純資産=モノ+カネ
3500=6000-2500=ヒトの価値
1500=4000-2500=ヒトの価値の一部=のれんとして認識

ということが、はみだし会計士さんのお話なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
このような考え方も大いにできるだろうなあと思いました。
その場合、「会社はヒト、モノ、カネでできている」「企業価値=ヒト+モノ+カネ」「時価純資産=モノ+カネ」の3つを証明(説明)する必要がありますね。感覚的には合ってるように感じますし、まったくの的外れではないだろうと思います。

で、「のれん=ヒトの価値の一部」としたときに、その資産性ありやなしや、と。資産性を認めるならば、経営者や従業員の将来稼ぐであろうキャッシュフロー、その他もろもろを資産として認めることになる。これは資産としては認められないだろうと思います。大いにお手盛りの余地がありますから。

現在、のれんを資産計上しているのは、個別決算の「関係会社株式」との整合性じゃなかろうかと思います。上記の対象会社を負債ゼロ、総資産2500、純資産2500と仮定した場合、個別決算では「関係会社株式4000」と計上され、連結BSでは「(たとえば)建物1300、機械1200、のれん1500」となる。
したがって、のれんそのものに資産性を認めるのではなく、全体として「投資」というものを資産計上している、と考えるのがいいように思いました。また、研究開発や教育費、ブランドイメージ向上のための支出などとは違い、子会社(あるいは事業)というのは他者に譲渡できるので、建物や設備等と同じく、取得原価を資産として計上してよかろうとの考えからです。
(経営者的には、設備投資も、教育投資も、すべて投資という意識で支出を行いますが、処分可能か否かといった観点で資産か費用かを分けていると思うので。概念フレームワークでは、「資産は、将来キャッシュとなるか、キャッシュを生み出すと考えられるものである」としていますが、工場や設備がキャッシュを生み出すかどうかというのは、わからないことです。経営者の希望と言っても過言ではない。だけれども資産計上しているのは、やはり処分可能かどうかといった法律的な話があるように思いました)

そのうえで、のれんを償却するか否か、という話ですが。
わたしは株式投資をやりますが、その中で「のれんの減損」というのは、その金額にもよりますが、非常に大きな出来事と考えております。
というのは、上記の数値を使って説明すると、「のれん減損」を認識すると言うのは、買収者が当初考えていた企業価値の6000どころか、支出額の4000すら回収できないという事態だからです。計画がまったくもってくるってしまっているということです。このような経営者は、なかなか信頼を取り戻すのが難しいであろう、と思うのです。
なので、のれんを定期的に償却するのではなく、残しておいてほしい。そうしないと、投資の失敗がはっきり見えないからです。償却してしまうと、毎期のれんの金額が小さくなるため、結果として減損という会計処理を適用する可能性が小さくなると思うのです。(詳しいことはわかりませんが、たぶん)

なぜ建物などは償却するのか。
上記のように経営者的には、投資とその回収ということだけを考えている。何年で回収できるか。
おそらく償却というのは税務の要請ではないかな、と。当然ながら、経営者は、支出を費用(損金)として認めてもらいたい。政府等は毎年安定的な税収入が欲しい。なので支出時に全額損金とされ、しかも損失を繰り越せるとなると、いつになったら税収入があるのやらわからぬし、所得を稼ぐ前に会社をやめてしまうかもしれない。なので、支出時に全額損金算入するのは認めない、と。税金を払う側と受ける側の妥協点、こういうことではないかと思うのです。
とすると会計的には税務と離れて、「減価」などというよくわからない理屈は考えずに、「投資」と判断したものはすべて資産計上、そして資産はすべて毎期減損テスト。これが純粋会計理論じゃないか、などと考えてみたりもしました(笑)。

以上です。今回も長くなりました。まったくの私見であり、IASBとかFASBとかが考えていることとは大きく離れているようにも思います。
失礼しました~。

トミーさん、なるほど、なるほど。

僕の意見について、僕がこんなに長々書いてきたことを、「人・物・金」ですっきり説明していただき、ありがとうございます。ご理解された通りです。

トミーさんの「投資の成否を表現してもらいたい」というご意見もよく分かりました。非常にシンプルで分かりやすいですね。あとは、決算という経過説明を定期的に行うので、期間損益という形で表現される業績、或いは、目標に対する進捗状況・実績をどのように財務諸表で表現するかだと思います。株式投資家としては、それを知りたいと思われませんか?(建物などはこの理由で減価償却されます。)

買収案件がうまくいっているかどうかを減損のみで表現すると、ある日突然どっか~んと損失が計上されますね。それで十分という人と、「儲かってたと思ったら違うじゃないか」と驚く人の両方がいると思います。償却してると、「どっか~ん」が、「どかん」ぐらいで収まるかもしれないので、驚く人を減らすことができますよ。その分、株価変動の程度が緩和されると思います。(それとも変動が大きい方が、儲ける良いチャンスになるでしょうか?)

また、「あんなに投資したのにこれだけしか儲からない」という状況を、「僅かでも黒字だからこのままでよい」と判断する経営者と、「これじゃ足りないからテコ入れが必要だ」と判断する経営者がいます。ところが、のれんを償却していると、こういう状況では赤字になりますから、前者のような経営者が減ります。これをよいとみるか、悪いとみるか。

前者のような経営者がたくさんいてよいと考える人は、のれん自体に価値があるので、その会社を売却すれば投資を回収できると考えているのだと思います。トミーさんもこの考え方に近いのかもしれません。僕も非常にブランド力が強いとか、収益に結びついていないけど凄い技術があるとか、法律上の権利に価値があるなど、一部のケースではあり得ると思います。ただ、IFRSでは、分離して売却可能なものを、のれんから取り出して別科目で処理するように求めているので(日本基準も同様)、僕が挙げたような例はのれんには含まれません。しがって、それでものれんまで回収できるというケースは、少なくなっただろうと思います。それでも残るのは、買収側の経営資源とのシナジーでその会社の事業が生きてくるようなケースですが、これは買収側の経営資源によって異なるものであり、それを売り手が勝手に見込んで、「のれんに価値がある」と思ってよいものだと思えません(FASBはそれでよいと思ってるみたいですが)。

さて、僕の方もトミーさんの熱いコメントに押されて長くなってきました。(^^;; 一段落上の経営者の話題に戻りますが、昔は前者のような感覚の方が多かったと思います。日本企業の経常利益率が低かったのは、儲からない事業を温存していたからだ、という話は、以前はよく聞きましたし、僕も若いころは、事業を儲からないからといって止めてしまうのはもったいないと思っていました。いつ儲かるようになるか分からないし、関係する従業員の方々も大変だと。

でも、少数のラッキーな例を除いて、儲からない事業がそのまま儲かる事業に変わることはほとんどないのです。特にこの低成長の時代には頼みのラッキーがさらに減ってしまいました。もう、宝くじに当たるような確率ではないでしょうか。だから何か手を打たねば。

減損損失はトミーさんもおっしゃるように、一般的に「投資の失敗」といわれ、強いネガティブイメージがあります。日本が減損会計を導入するときは、本当に経営者から評判が悪かったのです。しかし、僕は「投資の失敗」ではなく、「投資の見直し」と思っています。減損会計は、大きな戦術の変更、戦略の変更、何か手を打つタイミングをより速く認識させることに貢献するというポジティブな意味があると思っています。そう思っているのは今でも少数派でしょうけどね。(#^.^#)

減損会計でのIFRSと日本基準の差の一つに、減損テストが1段階か、2段階か、というのがあります。IFRSは1段階なので減損損失が出やすく、日本基準は2段階なので出にくいし、出るときはデカくなりやすいですね。ただ、正直に言って、減損のタイミングは“判断”なので、IFRSでも日本基準より遅くなるケースがあるでしょうし、日本基準でもIFRS並みに速いタイミングで減損することが可能だと思います。この点で重要なのは会計基準ではなく、事業の変調をいかに早く察知するか、大きな見直しが必要と考えるかという経営上の判断をいかに早く(もちろん正しく)行えるかです。そういう経営的な判断が適切に行えた結果として、減損が必要にな(ったり、ならなかったりす)るというのが、本当の正しい減損会計だと思います。だから、「早めにちょこちょこ減損損失を出している会社が良い会社」といわれるようにならないかな~と思ってます。これも妄想かも知れませんけどね。

というわけで、のれん非償却の業績管理資料を見ているのと、償却の資料を見ているのでは、判断が違ってくると思いますが、僕は、上の2種類の経営者のうち、後者の経営者が良いと思います。早めに手を打つ判断が増えるように償却を含めた業績を経営者が日ごろから見ているのが良いと思うのです。投資家としても、そういう経営者の方が安心だし、信頼できるのではないでしょうか。そして、そういう経営者が見ているのと同じベース(のれん償却)の財務情報を見たいでしょう。

このままでは4000の投資が回収できないから撤退する、或いは、1500減損したうえで、さらに2000追加投資し、6000回収できるように戦略・戦術を変更する、こういう経営判断の重要なところに会計が貢献できるといいですね。こういう経営と会計の一体感は、僕はIFRSの方が日本基準より進んでいると思います。ただし、この、のれんの非償却以外のところは、です。

こんにちわ。お返事ありがとうございます。(o^-^o)

のれんの会計処理の如何によって経営が変わるとのことですが、多額ののれんを計上しているような企業の経営者あるいはブレーンたちは、そんなことはないだろうというのがわたしの考えです。
先のコメントでも書いたとおり、あくまでも投資、それを回収できれば成功、できなければ失敗、撤退するか建てなおすか。このように考えているはずですから、指標で言えばEBITDAやフリーキャッシュフローで考えていると思います。投資計画を作成したときに使った指標で、その投資の成果も把握するはず。(うまくいかなかったとき対外的に「のれんの償却費が多額にあるため、利益が圧迫されておりますが・・・」とか「のれんの減損損失を認識したために今期は純損失となりましたが・・・」とか、言い訳に使うかもしれませんが、実態は捉えているはずです)。
というわけで、のれんというのは投資額の一部であり、すでに支出した金額ですから、そののれんの評価をどうこうしたいという考えは、経営者たちにはないはず。一時的なBS、PLの見栄えの問題に過ぎないと思います。(もし、会計処理や会計基準の違いによって経営が左右されるようなら、それは経営者失格と言って過言ではなかろうと思います。会計はあくまでも実態を表現しているだけのこと。会計結果で左右されると言うのは、実態を把握できていないということになりますよ。ボールを見ずにスコアボードを見て経営しているということです。「減損会計の適用は嫌だ」というのも、ただ隠しごとがあっただけのこと)

さて。会計理論と離れて、投資家的な観点から、のれんについて少しコメントしてみたいと思います。インサイダーである経営者と比べれば情報が圧倒的に少ない中で、企業を評価しようと言う立場から。(といいますか、会計は投資家のために存在しているのだろうと思いますが)

投資家といってもいろんなスタイルがありますが、わたしのようにざっくりとでもバリュエーションするタイプの投資家が、どう考えるか。
まずバリュエーションに使う項目としては、営業利益や経常利益、現預金、有利子負債。このあたりを使うと思います。そしてROE、ROA、ROICといった指標では、総資産、純資産、といったあたりも使いますね。
そこで、のれんをどのように扱うか。これを考えるわけです。
無視できないほどの金額ののれんを計上し、これを5年で償却するとします。この5年間は、のれん償却費の分だけ利益が小さくなりますね。そうすると、たとえばROAなんかを算出するときに、決算数値の利益と総資産をそのまま使ってよいのか、どうなのか。ということです。

5年間は利益が小さく出る。償却が終わった後の年は、利益がグンと伸びたように見える。一方で分母となる資産からのれんがどんどん無くなっているので、分母が小さくなっていく。結果として、ROAが伸びているように見える。とくに6年目のROAは大きくなる。投資先の事業から利益が出ずに、既存の事業も横ばいだったとしても、このようになる。
これをどう考えるかな?というところです。
のれんを償却していないと考えて、分子も分母も調整して計算した方がいいのかな、とか。それでいいのかな、とか考えるんですね。
このときに、「建物や機械の償却費については決算数値をそのまま受け入れて計算してるけれども、のれんについては頭をひねらないといけないのはなぜなんだろう?」と気づくわけです。減価償却費は5年経っても10年経っても、通常は買い替えたり新規投資したりしてますから、延々と発生するだろうと考えて、単に固定費として見ますからね。

「一体、のれんとはなんぞや」と。のれんの償却費って、なんの費用なんだろうか、と。

結果として、わたしの取っている戦略は、「多額ののれんを計上している企業には投資しない」ということです。わからないからです。(幸いなことに、わたし好みの成長企業で、多額ののれんを計上しているところはないので、とくに苦慮はしていないのですが(笑))
ですが、のれんの取り扱い方がわかれば、それだけ可能性も広がるだろうなと思ってます。わからないと怖い。わかれば怖くない。と、こういうわけですね。
会計基準がどうこうという話ではなく、本質がわかれば、会計基準とは別にこちらで調整計算したらいいわけですからね。

のれんは、償却しないでくれた方が分かりやすいのかな、と思ってます。分母とする総資産には投資額がそのまま載っており、分子である利益はグループ会社の利益がそのまま足し算されて載ってますから。上記のように、5年間は小さく出るけどその後は大きくなる、とか考えなくていい。償却しなければ、横ばいなら横ばいだし、悪くなるなら悪くなる。伸びるなら伸びる。償却すると、伸びてるのに伸びてないように見える。
償却するにしろしないにしろ、のれんについての情報をしっかり注記してくれたら、こちらとしては構わないのかもしれません。どんな会社をいくらで買って、元々いくらのれんがあって、今期の償却費はいくらだよ、とか。
問題があるとすれば、償却しない場合に、のれん注記が何ページにもわたる企業が出てくるだろうな、ということです(笑)。そして、いったい何年前ののれんまでこちらは考慮したらいいのだろうか、ということです。
土地ならいざしらず、投資有価証券だって毎期評価しなおす。それを、(いまのところ)よくわからない「のれん」を延々と取得原価で計上しておいてよいのか、と。のれんを株式投資の一部だとするなら、評価損益を毎期計算するべきだろうし、対象会社の固定資産を高値で買いなおしたんだ、と考えるなら、建物と同じように償却するべきだろうし。
で、もし「のれんに資産性はないんだな」ということになれば、こちらでのれんは全額減損したらいいんですが、そのときに、純資産をのれん額だけ小さくしたらいいのかな、とか。買収資金として調達した有利子負債をないものと仮定したらいいのかな、とか。
まあ、これはバリュエーションの問題なので、はみだし会計士さんのブログとは離れてしまいますが。。。

先のコメントにも書きましたが、のれんがヒトの価値を表しているのであれば、それはオンバランスしないのが今までの会計であり、今後もそれでいいように思います。

以上です。ほんとに勉強になります。感謝してます。

トミーさん、とても参考になりました。ありがとうございます。

トミーさんが投資家として書いてくださったことが、FASBの償却禁止の判断に大きく影響を与えたのですね。このブログの2012/12/23の非償却派の記事がそれについて記載したものですが、僕はこれを書きながら、「(FASBが推測したように)投資家は本当にのれんを資産とみてるのかな?」と疑問に思っていました。トミーさんのコメントで、「そういうことか!」と思いました。やはりのれんを資産としてみたわけではなく、のれんはわけが分からない、ましてやその償却費なんて邪魔だ、という感じなんでしょうね。確かに、わけの分からないものをたくさん計上している会社の株は買いたくないですね。たくさん注記があっても読み切れないですしね。

ただ困ったことに、M&Aというのはとても重要な経営手法です。いえ、単にM&Aで規模が大きくなればよいというのではありません。重要なのは、自分に欠けている技術や能力といった経営資源を、時間をかけずに補って、より顧客に魅力的な製品やサービスを提供できるようにすることです。それにはM&Aがとても有力な手段・選択肢なのです。

一投資家としては、のれんがたくさんある会社の株は買わない、ということで十分によいと思います。ただ、経営者、特に市場環境が激しい業種では、切実にM&Aを必要としているのに、それが投資家から評価されないと困ってしまいます。そして同時に、多額の投資をどう回収していくのか、という問題は、生じたのれんをどう回収するのか、という問題とほぼ同義で、重要な経営の関心事(でなければならないはず)です。

したがって、おっしゃるようなEBITDAやフリーキャッシュフロー、そしてそれらの将来予測による経営管理が、もっと一般的になっていると、僕も嬉しいです。そんな期待を込めて、例えば、2012/3/8(減価償却-異説)や2012/10/1(【製造業】減損会計への批判と投資回収計画)の記事を書きました。トミーさんは上のコメントで指標を例にして説明してくれましたね。僕は会計的な観点で説明を試みました。これらの記事では、のれんも他の固定資産や研究開発費などもひっくるめて“投資”と考えています。

ということで、トミーさんも悩まれた「のれんとはなんぞや」というのは、とても大事なのに、未だ解決が難しい問題です。そのために、のれんの減損額を純資産から控除するのが良いのか、負債利子率をどうするかなど余計な悩みが生まれるわけですね。きっと、のれんが何か分かるまでは、正しい答えは望めないでしょう。僕が主張している「のれん=人の評価」は、(いくら本人が大真面目でも、しょせん)妄想にすぎませんが、早く、この悩みに応えてくれるちゃんとした研究が出て、世に広まると良いですね。そうすればトミーさんや他の投資家も、もっと安心してのれんを持つ会社の株を買えるようになるかもしれません。そして、経営者や監査人も、仕事がやりやすくなります。

さて、またしても長くなりましたが、最後に、「会計は投資家のためにある」という話についてです。それはおっしゃる通りですが、投資家のため「だけ」ではないんです。もともと経営の道具だったものを出資者への報告に流用したという経緯があるので、実は第一義的には経営のためにあります。日本では、(制度)会計の学者さんが、会計を経営の観点から語ることが少ないので、一般に誤解されることが多いのです。しかし、企業の経理部や、監査人、税理士などの実務では、昔から「会計が経営の羅針盤になるように」と努力が重ねられています。「羅針盤」は大げさですけどね。おっしゃるようにスコアボードの方が実態に近いかも。(笑)

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