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2013年2月24日 (日曜日)

(218) TPP、自民党、そして会計基準諮問フォーラム(Accounting Standards Advisory Forum:ASAF)

2013/02/24

どうやら、今回の安倍首相の訪米で、日本もTPP交渉参加へ向けた動きとなりそうだ。23日の日経電子版は次のように伝えている。

 

日米首脳会談で環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加について、すべての関税撤廃を前提にしないと確認したことを受け、与党は今後の対応を首相に一任する方向で調整に入る。

 

僕にとっては、総選挙の自民党のこれほどの大勝は全くの予想外だったが、東日本大震災の時にさえ円高に動いた為替が円安になったり、株高になって繁華街が明るくなったなどという報道を聞くと、アベノミクスが不況から脱する“期待”を高めることに成功したことは明らかだ。公共事業予算の使い方に不安はあるものの、第3の矢である成長戦略に直結する規制緩和、その試金石であるTPPの行方には大きな期待と関心を抱いていた。みなさんも同様と思う。

 

だが、これでTPP参加が決まったわけではなさそうだ。自民党はTPP参加に反対して選挙を戦ったのだから、党内に多くの反対者がいる。もし、すんなりまとまるとすれば、嬉しい誤算だ。

 

僕は、これから暫く、自民党の動きに興味津々だ。というのは、ここに自民党が下野していた3年間に学んだことが現われてくると思うからだ。相変わらず個別の利害関係に裾を取られて、変化を拒もうと執行部の足を引っ張る人がたくさん現れるのか。それとも、本当に今の日本の置かれた危機的状況を大局から理解して、変化することで痛む利害関係者を説得する方へ向かうのか。そして説得するとすればその引き換えにまた予算を上積みしてばら蒔くのか、それとも新しい成長の機会があるからガンバレ、と励まし導くのか。

 

いずれにしても、参加しなければ変化に取り残される。参加しなければ現状を維持できると思ったら大間違い。また違った変化が良からぬ方向へ向かって起こるだろう。しかし、参加すればルール作成に加わることができる。ルールをより有利にできる可能性があるだけでなく、そこには多くの有益な情報があり、主体的に変化を先取りしやすくなるに違いない。

 

ところで、先のG20では、アベノミクスが通貨切下げ戦争の引き金を引くと非難されるかどうかが注目された。しかし、ご存じの方も多いと思うが、実はIFRSに関してもコメントされている(IASBとFASBの、特に金融商品会計基準に関するコンバージェンス・プロジェクトの遅れを懸念するもの)。世界は、オックスフォード・レポートの批判などモノともせず、相変わらず、「高品質な単一の基準の達成」をIASBとFASBに求めている。

 

一方、IASBとFASBの両審議会は、IFRSとUS-GAAPの全面的なコンバージェンスは諦めたようだ。ご存じの方も多いと思うが、IFRS財団が「会計基準諮問フォーラム(ASAF)」の創設を提案し(JICPAのHP)、現在、そのメンバーの推薦を受付けている(PWCのHP)。

 

このフォーラムは、従来のIASBとFASBが基準開発をリードする体制から、多数国が参加する体制への移行を目的としているという(IASBメンバー鶯地氏の会計・監査ジャーナル3月号の記事)。このフォーラムへ参加できるのは、ASBJ(財務会計基準機構)のような会計規準セッターや財務報告に関心を有する地域団体だが、席は12しかない(アジア・オセアニア席は3)。日本のASBJがこれに入れるかどうかは分からない。多くのアジア・オセアニアの国がIFRSをアドプションしているのに、日本はようやく十数社が任意適用の状況だから、ドキドキさせられる。最初の会議は4月に予定されているそうだから、早々にメンバーが決まるだろう。

 

さて、IFRS導入にブレーキを掛けた国民新党自見氏は、自民党に復党したい意向のようだが、果たしてどうなるか。そしてTPPはすんなり参加へ進むのか。さらにIFRS導入の動きはリスタートできるのか。一体、日本はこのフォーラムに入れるのか。単なる興味に過ぎないものから、ハラハラ・ドキドキのものまで色々あるが、暫く、目が離せない。

 

ちなみに、IFRSとUS-GAAPが全面的なコンバージェンスをしないとすれば、日本はUS-GAAPについた方が良いかも、と考える人はいらっしゃるだろうか。FASBは米国の会計基準セッターだから、そこに日本が口を出すわけにはいかないが、IASBに対しては、もちろん日本の姿勢次第だ。また、訴訟社会である米国の細かい規程は、意外と日本人好みかもしれないが、今の日本がなすべき方向には合わないと思う。僕には、無駄が多いように感じられる。

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