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2013年3月28日 (木曜日)

230.【製造業】減損資産の個別簿価修正。ん~、2連敗か?

2013/3/28

26日深夜のヨルダン戦は大変残念な思いをした。そのせいか、珍しく熱っぽく軽くだるい。

 

しかし、冷静に考えれば決して悲観すべき状況ではない。日本の勝ち点13に並ぶ可能性があるのは、現在勝ち点7で2試合を残すヨルダン。ただ、ヨルダンは昨年6月の日本戦での失点が多過ぎて、2連勝して並んでも、得失点差で日本を逆転するのは非常に困難だ。むしろ強敵なのは、勝ち点6だが3試合を残すオーストラリア、勝ち点5で3試合を残すイラクの両国だ。しかし、日本は6月にこの両国との直接対決を残しており、それを2連敗しないかぎり自力で2位以上を確保しW杯出場を決められる。

 

ではそこで2連敗したらどうなるだろうか。

 

この両国は、リーグ戦最終日(6/18)に直接当たる。勝ち点で日本を上回るためには両国とも3連勝が必須だから、両国が同時に日本の上に来ることはない。そこまでともに2連勝(日本は2連敗)したうえで、オーストラリアがこの最終戦を勝利するか引分ければ、オーストラリアと日本がW杯出場権を得る。一方、イラクが勝利すれば、イラクと日本が出場権を得る。えっ、それじゃ、日本はもう出場確定?

 

いやいや、ヨルダンは、オーストラリアとオマーンに2連勝し日本との得失点差16をひっくり返し、かつ上記の最終戦でイラクが勝利した場合のみ、日本に代わってW杯に出場できる。しかし、得失点差16はひっくり返せまい。上述したように非常に困難だ。すると・・・

 

な~んだ、日本はもう決まりじゃないか!?

 

ということで少し元気になったので、前回の続きを書くとしよう。

 

 

前回(3/26までの流れ=

僕は、減損を早めに認識し、一定の場合は戻入を行うことが経営に役立つと主張している。しかし、日本基準では事務作業が大変ということで、遅め(=確定した減損)の処理を要求し、かつ、戻入を禁止することで、事務負担を増やさせないとしている。しかし、そもそも事務負担が大きいのは、固定資産台帳(=減価償却台帳)など個別の資産ごとの簿価を修正することを日本基準が前提としているからではないのか。

 

この縛りを外す奇策が適用可能ならば、事務負担が軽減し、減損会計を経営に役立てやすくなる。そこでこの奇策として、減損損失累計額を減損案件ごとの総額で、取崩スケジュールと減損理由を管理しよう(但し、償却資産に限る)という提案をした。しかし、IFRSの規程(IAS36.63)を見ても、日本基準と似たような表現がされていて、果たしてIFRSでも奇策を採りえるのか疑問だ。

 

そこで、なぜ固定資産台帳の修正が必要と考えられているのか、その理由を拾い出してみた。

 

・減損時は事務負担が大きいが、それ以降は事務負担がない。

・除却、移動時に減損損失累計額の個別資産ごとの明細が必要。

・減損損失累計額の取崩スケジュールの計算が大変。

・減損は資産評価手続だから、個別資産ごとに評価額を持つことが自然。

・減損損失累計額は、明細不明で管理不能の危ない勘定になる可能性がある。

 

これらをひっくり返さない限り、奇策も採りえない。

 

 

=減損会計の目的と手続=

 

ある問題を解決するためには、より大きな目的に戻って考えてみるのが良い。これはこのブログを始めた時からの僕の主張だ。今回もそうしていく。

 

IAS第36号「資産の減損」の1項には、次のように目的が記されている。

 

本基準の目的は、企業が資産に回収可能価額を超える帳簿価額を付さないことを保証するための手続を定めることである。資産は、その帳簿価額が使用又は売却によって回収される金額を超過する場合には、回収可能価額を超える価額を付されていることになる。このような場合には、資産は減損しているものとされ、本基準は企業が減損損失を認識することを要求している。・・・

 

別に目新しいことは何も書いてない。目的に戻ったが何が分かる? とみなさんは言いたいかもしれない。でも、このように引いて眺めた結果、僕は次の点に着眼した。

 

償却資産の回収可能価額は、通常、個別資産ごとではなく、資産グループに対して見積りされる。それは資産グループという資金生成単位を想定しないと意味のある回収可能価額が見積もれないためだ。ならば、減損損失(累計額)も、資産グループごとにしか意味を持たないはずだ。

 

この点をサポートするような記述がIAS第36号「資産の減損」にないかと眺めていたら、104項(b)に、次のような変な規程があるのに気が付いた。

 

次に、当該単位内の各資産の帳簿価額に基づいた比例按分によって、当該単位内のその他の資産に対して配分する。IAS36.104.(b)

 

前後の規程の内容と合わせて説明すると、「当該単位」とは減損損失を認識した資金生成単位のことで、まず「のれん」を減額し、それでも減損損失が余る場合は、「のれん」以外の個別の資産に、それぞれの帳簿価額に比例するように損失額を配分せよ、ということだ。即ち、個別資産単位に減損損失(累計額)を配分せよといっている。

 

これに前々回(3/22)の記事に紹介したIAS第36号63項の、「減損損失を認識した後には、当該資産の減価償却(償却)費は、資産の改定後の帳簿価額から・・・」を合わせて読めば、日本基準と同様に、固定資産台帳の修正まで要求していると読める。この「資産の改定後の帳簿価額」とは、上記の減損損失を比例按分した後の帳簿価額をいうのだろう。

 

あれれ、これではまさに、固定資産台帳の修正だ。

 

 

ん~、原則主義と言いながら、意外にIFRSも細かい。

 

恐らく、耐用年数や償却方法の異なる各資産に減損損失を恣意的に配分することで、その後の減価償却費を操作されてしまうことを心配したのだろう。それだけIFRSがB/Sだけでなく、減価償却、即ち、適正な損益計算に関心を持っている証拠でもある。

 

しかし、これは苦しい。「のれんの規則的な減損」問題に引続き、2連敗か。

 

いやいや、そんなに簡単に負けを認めては、SAMURAI BLUE(サッカー日本代表)に顔向けができない。まだ諦めない。しかし、このような規定がある以上、IFRSでも原則はやはり固定資産台帳の修正だろう。例外的にそうしないことが認められるかどうか、そういう小さな問題になってしまう気がする。ん~、やはり2連敗か・・・。ああ、熱が・・。

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