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2013年4月 4日 (木曜日)

233.【製造業】減損の個別簿価修正要求を切崩す縦パス

2013/4/4

みなさんもご存じの通り、米大リーグレンジャーズのダルビッシュ有投手が、9回2アウトまで完全試合という離れ業をやってのけた。先月は、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司選手のハット・トリックが、プレミア・リーグでのアジア人初という快挙だったが、いずれにしても日本人の国際舞台での活躍は大変うれしい。最近は、「アベノミクス」や「クロダ(新しい日銀総裁)」などという日本語名称が、国際政治・経済の分野でよく聞かれるらしい。以前は「エコノミック・アニマル」などと言われ(懐かしい!)、企業ばかりが目立っていた日本だが、今はその他の分野が存在感を出している。そうそう、ASBJ(企業会計基準委員会)のASAF(会計基準諮問フォーラム)・メンバー入りもその一つかもしれない。

 

もちろん、日本企業にこそガンパってもらいたい。そのために「より顧客志向に」とか、「製品でなく物語・体験を売る」とか、色々一般に言われている。しかし、我々会計に携わる者ができることは、よりシンプルで、ツボを押さえた管理上の視点を経営や現場に提供すること。根源的な問題にもっと早く気付いてもらえるようにサポートすることだろうと思う。

 

果たしてゴールできるかどうかは分からないが、志はそういうことに貢献したいと思っている。ダルビッシュ投手の活躍に接して、そんなことを思った。

 

さて、僕は、減損会計は投資とその効果を長期的視点で評価できる、従来の損益管理では果しえない重要な役割を担える管理手法と思っている。投下した資本以上のキャッシュを獲得することこそ、経営の根源的なテーマだ。だが、その減損会計をより経営に役立つ実用的、機動的なものにするには、固定資産台帳を修正する手間を何とかしなければ難しい。IFRSにおいても「個別の簿価修正」が求められているので、固定資産台帳の修正に手間をかけざるを得ない。しかし、これをどうにかできないか。

 

ただ、普通に考えれば、固定資産システムに減損損失を比例配分して簿価を修正したり、或いは、逆に減損の戻入に備えて復活させる機能を組込んでしまえばよいということになる。だが、それでは手間の問題を解決することにはなっても、「管理上の視点を経営や現場に提供する」ことにはまではつながらない。もっと、減損の意味をよく考えなくては。

 

 

ということで、実は、減損の意味をちょっと考えてみると、「個別資産の簿価修正」は、本来は、不要ではないかという話をこれからしたい。(しかし、基準にあるものを無視することはできない。念のために申し添える。) これには次のようなポイントがある。

 

  1. 減損の認識単位

 

通常の事業資産の減損は資金生成単位(≒資産グループ)で認識・測定するものであり、個別資産の簿価修正はその後の損益計算のために行う。ならば、個別資産の簿価修正以外の方法で損益計算が適正にできれば、本来は問題ないはず。

 

  1. 減損はビジネス評価

 

回収可能額を算定するために、資金生成単位ごとに将来キャッシュフローを見積るが、実際には「資産が生み出す価値」というより、むしろ「資産を使って人がビジネスで生み出す価値」を見積っている。しかし、「人がビジネスで生み出す価値」は自己創設のれんであり資産計上されないので、減損の対象にできない。そこで資産計上されている事業資産をグルーピングした資金生成単位が減損の対象となっている。したがって、個別資産と減損損失の関連は、本来薄く、直接的なものではない。

 

  1. 減損後の損益計算-償却方法や耐用年数の見積りの見直し

 

減損を識別したということは、当初の投資計画がかなり下振れしたことになるので、事業の前提に重要な見込み違いや予想外の事象が発生した可能性が大きい。その結果、資産の利用方法を含めた見直しが行われ、償却方法や耐用年数が変更されることは自然。(“必要”とは言ってない。)

 

また、「簿価=回収可能価額」になるまで簿価を切り下げるという減損損失の計算上、減損後の損益は、回収可能価額の見積り通りなら、概ね、トントンになっていくはず。(これは当然のことならが、その後の追加投資によって事業を立て直し、利益を上げられるようにしようとする経営努力を否定するものではない。) このような観点から償却方法や耐用年数が変更されることも自然。(これも“必要”とは言ってない。)

このような観点での減価償却計算の見直しは、個別資産の状況に照らしたものというより、ビジネスの状況に照らしたものなので、資金生成単位(≒資産グループ)ごとの総額で考えるべきかもしれない。即ち、固定資産台帳を個別に修正すべきではないかもしれない。

 

さて、みなさんから見て上記は、頑強な個別簿価修正への要求を切崩す有効な縦パスと思えただろうか。1 が総論で、2 3 1 の要素を個別に説明した形になっている。次回は、その 2 3 について、具体的な例を示して有効性を検証してみたい。そして、3/26の記事に記載した僕の奇策の問題点が解決できるか、トライしてみたい(次々回になるかも)。

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