234.【金融緩和】ゴールを決めるのは企業
2013/4/5
新しい日銀は凄い。「量的・質的金融緩和」で、3週間も続いた調整局面を一挙に円安に引戻した。4日、円相場は、92円/ドル台から一挙に96円/ドル台(ニューヨーク市場)まで下落した。
僕は、総選挙の直後の2012/12/21の記事で、「重要なのは本当にインフレになることではなく、“インフレ期待”が実際の経済成長に繋がること。それにはチーム日本(政府・日銀・国民・企業)が、チームワーク良く、強敵の海外プレイヤーと戦おう。」みたいなことを書いた。
安倍政権がかけた号令に対し、今回、新しい日銀が応えて見せた。そして、最近の調査では、国民は1年後のインフレを信じると答えた人が多かったようで、インフレ期待が浸透してきたようだ(或いは、信じた振りをしている)。
しかし、肝心の企業が慎重だ。この1日に発表された日銀短観では、今後1年の想定為替レートを85円22銭/ドルとするなど、今一つこの動きに乗りきれていない。チーム日本のチームワークは今一つだ。
「インフレ期待」政策は、錯覚を利用して経済が上向く弾みをつけようとするものなので、(仮に錯覚と分かっていても)みんなが流れに乗ってかないと、効果が薄くなる。いや、効果が薄まるというより、副作用が先に出てきてリスクが高まる。リスクとは経済成長が実現しないままに金利が上昇し、国債償還が危うくなることであり、日本経済全体がひどい状況になる。
企業が見せた慎重さは、株高や円安が“錯覚”に過ぎないと見抜く優秀さを証明するものではあるが、今やるべきことはなんだろうか。本当に避けるべきリスクは企業の視野のもっと先、或いは、企業の視野の外側にあるようだ。しかし、政府も、日銀も、国民も、既にそれを見ている。あとは企業が変化へチャレンジするだけだ。
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