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2013年6月27日 (木曜日)

261.【製造業】最後に驚愕!~3年目に突入

2013/6/27

長い、なが~い、この製造業シリーズが漸く終了を迎える。始めたのが昨年の9月なので、9ヶ月を超えることになった。昨年11月に、製造業シリーズの子シリーズとして始めたのれんシリーズが全く想定外に手間取り、3月まで4ヶ月も要してしまった。そして、減損戻入シリーズもその後3カ月。こんなマイペースにブログを書き続けるなんて、きっとオヌシはB型だろう、と思われるかもしれないが、僕はO型だ。マイペースというより頑固なのかもしれない。そして、ふっと気付くと、今日でこのブログは3年目に突入する。

 

その間、企業会計審議会は、政権交代の影響か、動きが止まっていた。お陰で、長々と時間をかけても、状況に大した変化はない。・・・と思っていたら、そうではないことに気が付いた。実は驚愕している。

 

 

というのは、昨年オックスフォード・レポートで大々的に主張されて以降、「IFRSは製造業に合わない」という主張が全くされなくなっていたのだ。それにやっと気が付いた。今まで気付かなかった。最近出た経団連の資料や企業会計審議会資料などを見ても、それらしき文章は見当たらない。おかしいなあ、と思って、金融庁のホームページに掲載されている企業会計審議会の議事録や資料で「製造業」や「物づくり」を検索してみたが、昨年(2012年)7月の中間的論点整理、或いは、その案が検討された2012/6/14の大武委員の発言まで1年遡らないと引っかからない。

 

もしかして、もうこのテーマは時代遅れ?

だとすれば、凄い変化じゃないか!?

それに気が付かずに9ヵ月も費やしたのかっ!!

 

ちょっと、足が震えるような衝撃だ。

 

オー・マィ・ガッ! (欧米人なら、こう言うに違いない。)

ガチョ~ン!! (僕らの年代はこう言いながら腕を引いて震わす。)

とにかく、びっくりだ。(眉毛もピクピク震わせている。)

 

その一回前の2012/4/17の議事録には、上記主張に基づいた純利益重視と原則主義反対を主張する和地委員の発言がある。その前の2012/3/29の議事録にも、上記主張の佐藤委員の発言がある。2012/2/29では、経団連の提出資料に関連する原価計算の記述がある。さらに遡って、主なものだけざっと拾ってみると・・・

 

2011/2/17 議事録)

この回は海外視察の報告がメイン。正面からこの主張をしている発言はないようだ。

 

2011/12/22 議事録)

逢見委員が欧米主要国に比べて日本は製造業の比率が高いことに配慮すべきと主張。

大武委員が、包括利益は製造業に馴染まないと主張。

 

なお、討議資料(3)は前月(下記11/10)に引続き使用されている。また、参考資料Ⅲは製造業と他業種の資金調達状況を比較したものとなっているが、これは(下記の)11/10に佐藤委員からリクエストされたもの。

 

2011/11/10 議事録)

佐藤委員が、製造業の経営にプライオリティが高いのは損益アプローチ、IFRSは投資回収管理に悪影響と主張。その他、保守主義、確定決算主義(税法)などにも主張を展開。また、金融庁事務局が用意したと思われる資金調達の資料に、製造業の状況が分かり難いとクレーム。

 

討議資料(3)は日本の製造業に関するデータ(GDPシェアや雇用者数など)。

 

2011/10/17 議事録)

大武委員が、IFRSは製造業軽視、研究開発など長期的、ゴーイングコンサーンの視点が欠けている、PLを重視すべきと主張。

 

2011/8/25 議事録)

大武委員が、IFRSを強制適用すると製造業中心の日本は弱体化すると主張。

 

2011/6/30 議事録;この時からIFRS導入論の見直しが始まった。)

逢見委員、大武委員が、製造業の償却資産も時価評価させる前提でIFRSを批判。(誤解だが。)

 

 

ということで、中間的論点整理の前までは、そしてオックスフォード・レポートまでは、確かに「IFRSは製造業に合わない。だからIFRSは日本に合わない。」という主張があったのだが、その後はパタリとなくなっていた。確かに、企業会計審議会は、この後ずっと活動を休止していたので、この変化が分かり難かったかもしれない。しかし、それにしても、長々と9ヵ月もピンボケの検討を続けていたとは・・・

 

では、この主張は一体どこへ行ってしまったのだろうか?

 

いま振り返ってみると、どうやら、のれんの非償却、開発費の資産計上、当期純利益と包括利益の区分等々の個別の論点に吸収され、日本からIASBへの検討要求という形で昇華されていったように思える。IFRSが製造業に不利とか、日本に不利とか、そういう情緒的なイメージ論では島国日本から出られないが、昇華させられれば、IASBや世界の会計世論に働きかけられる。

 

 

なるほど。そういうことなら僕も理解できる。

 

減損戻入や開発費に関してはあまり感じないが、それ以外の、のれん非償却の再検討や、その他の包括利益の性質の明確化などは、僕ももっと改善が必要と感じていた。でもそれらは、製造業だけの問題ではないし、日本特有の問題でもないと思っていたから、この主張には強い違和感があったのだ。

 

それから、元IASBボード・メンバーの山田辰己氏や、現IASB議長のフーガーホースト氏の反論(1/12の記事)も、この主張が語られなくなった理由の一部かもしれない。

 

 

ということで、この9ヵ月間の僕の作業は、そして、記事を読むのに使われたみなさんの時間は、少々価値を失ってしまったかもしれない。みなさんには申し訳ないと思う。が、その反面、あれほど存在感のあった「IFRSは製造業に合わない」という主張が、いつのまにそういうことになったのか分かり難い、と企業会計審議会の議論の仕方に文句を言いたくなる。(これは完全に八つ当たりだ。)

 

ただ、実はこの9ヵ月間、僕はこの作業をかなり楽しんでいた。僕は楽しかったから良いのだが、みなさんには時間を割いて読んでいただいたのに申し訳ないと思う。とはいえ、みなさんにも一つ良いことがある。それは、もし、この主張を見かけたら「時代遅れ」と判断できることだ。もう、騙されない。(そんなことは言われなくても分かってたよ、という方には申し訳ない。)

 

 

思えば、会計士になりたての頃も、監査チームの上司や先輩にピンボケをよく指摘されたし、監査先の方々にも迷惑をかけた。慣れないことをやると、その悪い習性が這い出してくる。しかし、これからは今回を糧にして、ピンボケに注意して繰返さないようにしたい。・・・が、染みついた習性、若しくは、僕の能力の問題なので、自信をもって保証することは困難だ。

 

そんな頼りないことで申し訳ないが、3年目も引続き、お付き合いいただけるとありがたい。

 

 

なお、このシリーズでは、とりあえずのまとめを3/12の記事「225.【製造業】残っている論点は?(まとめ2)」に行った。そして、それ以降、今回までの検討結果も、この記事に反映した。よって、改めてのまとめ記事を書かないことにした。もしよろしかったら、この3/12の記事もご覧いただきたい。

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