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2013年7月25日 (木曜日)

271.【リースED】リースの識別の取っ手

2013/7/25

さて、再びリースの2013年公開草案の話題に戻ろう。その前に東アジアカップは、今夜、男子は 20:00 からオーストラリア戦、女子は 17:15 から北朝鮮戦がキック・オフされる。このブログのアクセス・カウンターは代表の試合時間中でも上がるので、サッカーに関心のない読者もいらっしゃる。しかし、両試合とも対戦先が強豪で注目度が高いと思うので、一応、告知させていただいた。

 

ということで、本題に戻る。この公開草案では、リースの会計処理は次のステップを踏むとされている。

 

 1.リース取引の識別

 2.タイプABの区別

 3.それぞれのタイプごとの会計処理の実施

 

今回は、その1番目のステップを見ていく。が、その前に一つ書いておきたいことがある。(今度はサッカーのことではないのでご安心戴きたい。) この公開草案は原則主義による典型的な書き振りで、実に抽象的な表現がされている。これをいかに現実的なイメージに落し込めるかが、理解の重要なポイントになりそうだ。それでは早速、原則主義を嫌う方が最も嫌がる書き振りの典型のような文章を見ていこう。

 

・-・-・-・

6 リースは、資産(原資産)を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約である。

 

7 契約の開始時に、企業は当該契約がリースであるか又はリースを含んだものであるのかどうかを、次の両方を評価することにより、判定しなければならない。

 

a)当該契約の履行が特定された資産の使用に依存するかどうか(第8項から第11項に記述)

 

b)当該契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転するかどうか(第12項から第19項に記述)

・-・-・-・

 

回りくどいし抽象的だ。まるで取っ手のない戸のようで、滑って開けられるか不安だが、これを理解するには自分で取っ手を彫って、そこからこじ開けていくしかない。そこで僕が取っ手にしようと思案しているのが、次の点だ。

 

A. 権利の移転

6項に「権利を…移転する契約」とあるが、権利は付与するものではないのか。それを「移転」と表現しているのはなぜか。 

 

B. 「リースを含む」

7項に「リースを含む」という表現があるが、ちょっと引っかかる。契約の中にリースの要素が隠れているのでそれを探し出せとか、一つの契約をリースとそれ以外の部分に分割させようという意図を感じる。

 

C. リース要件はなぜ2つか

7項の(a)(b)は、普通に考えれば「当該契約が、一定期間の資産の使用を許諾する内容を含むか」と書けば済むように思うが、それが(a)(b)の2つに分かれているのはなぜか。

 

D. リースの2要件はデジタルか、アナログか

7項に「次の両方を評価することにより、判定…」とあるが、「両方を満たした時に該当する」と判定するのか、それとも「両方を満たさなくても該当する場合がある」のか。或いは、それぞれをマルか、バツか、といったデジタル的に評価するのではなく、それぞれの「満たしている程度」をアナログ的に評価し、それを総合的に判定せよ、という意図か。

 

う~む、どうやら彫ると戸を開けられそうな取っ手は C のようだ。というのは、・・・

 

A については、元々あるものを移動させるという意味の「移転」という言葉が権利に対して使われるのはあり得るし、賃貸契約の場合は、契約終了時にそれがまた貸主に戻されるのだから、むしろ「付与」より「元々あるものを移動させる」移転の方が自然なのかもしれない。それに加えて、ぴ~んとくるのは、例の収益の認識規準の公開草案で使われている「支配の移転」という言い回しで、さらには、概念フレームワークの資産の定義にある「過去の事象の結果として企業が支配し」の文言だ。使用権の移転が、貸主にとっての収益認識のきっかけになり、それによって会計上の資産も誕生すると連想できる。即ち、他の規準等と一貫してますよ、ということになる。6項のそれ以外のところは、普通の賃貸契約の内容であり、あまり違和感はないと思う。

 

B の「リースを含む」という表現については、オペレーティング・リースに様々な契約形態があるので、リース取引かどうかを判定する対象を広げなければいけないというメッセージになっているように思う。現行のリース規準であれば、ファイナンス・リースを識別すればよいので、大概「リース契約書」とか「賃貸契約書」などとタイトルの付いた契約書から探せばよかったが、オペレーティング・リースの場合は、そういうものに限らない。サービスの提供とセットになっていて、資産の賃貸借があまり目立たない契約になっているかもしれない。これには確かに実務上注意が必要だが、本題である「リース取引の識別」を理解するための直接的、根本的なキー項目ではなさそうだ。

 

D については、そもそも、なぜ要件が2つあるのか、という C が理解できないと、掘下げるのが難しい。ということは、C がキーに、即ち、彫るべき取っ手になりそうだ。

 

ということで、C を掘り下げてみよう。

 

そこで改めて、上記の 7項の(a)(b)を読んでみると、どうも、(b)には違和感はない。というか、リース取引を定義している 6項と合わせて読むと、(b)があればリース取引の要件としてもう十分ではないか? では、なぜ(a)があるのか。むむむ、これだ。これこそが問題だ。だいぶ絞られてきた。

 

いよいよ核心に近づいてきたような気がする。もう少しだ。だが、長過ぎると良くないので今回はこの辺で終わりにしたい。この続きは、東アジアカップを応援してからにしたいと思う。きっと快勝して、気持ちよくこのブログにも向かえるはずだ。

 

今度こそ、柿谷ガンバレ~\(゜ロ\)(/ロ゜)

 

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