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2013年8月 6日 (火曜日)

275.【リース】リースの目的と消費税率(閑話)

2013/8/6

急に、消費税率を予定通り上げるかどうかについての報道が賑やかになった。きっかけは、安倍首相が消費増税の影響を試算するよう指示していたことが 日経新聞で7/27 に報じられたことだ(が、本来は、参議院選挙前にやって欲しかった)。その後の日経新聞を読む限り、ありとあらゆる人が「予定通り税率を上げよ」と言っている感じだが、どうも不思議だ。もし、税率を上げても税収が増えなければ、元も子もないのではないか。その影響をしっかり確認しようとする安倍首相の判断や指示に賛同する人が、なぜこんなに少ないのだろうか? 消費税を負担するみなさん、折角高い消費税を払ってもやっぱり国債の発行額は減りませんでした、なんてことになったら悲しくないですか?

 

さて、こんな出だしで面食らった方もいらっしゃると思うので、リースへ戻ろう。とはいえ、実は、僕にしてみれば、リースと消費税率アップの問題は全く無関係というわけではない。なんとなくつながっているのだ。

 

う~む、そこに触れないわけにはいくまい。やはり、寄り道させていただくことをお許し願いたい。

 

 

常々、僕は、より大きな目的を意識することを大事だと思っているが、このリースの公開草案を読むにあたっても、そういうスタンスを持とうと努力している。例えば、なぜリースをするのか、リース取引を選択する目的は何か、なぜ購入じゃないのか。

 

会計規準にそんなことが書いてある? 或いは、そんなことが書いてある会計規準が適切な規準といえる? そう思われる方も多いと思う。その通りだ。そんなことは書いてないし、会計規準はビジネス指南書ではない。しかし、なぜリースをやるかを理解せずに会計処理だけ覚えても、試験には受かるが実務はこなせない、というのが僕が感じていることだ。

 

それに、会計規準を作る人たちが、こういうことを理解してないはずはない。理解している人たちが作っているなら、規準の中にジワリと滲み出てきているはずだ。そういう規準が良い規準、というイメージも持っている。

 

 

という観点で、この公開草案に目を通してみると、(今の時点で)引っかかっていることが3つある。

 

 ・使用権(=使用を支配する権利)で因数分解を行ったこと

 ・利息法で金利コストを認識するパターン

 ・リースとサービスを区分すること

 

この中で、物理的な、或いは、権利としての資産から使用権を括りだしたことについて取り上げたい。ここでは、借手企業の無駄を排除しようとするしたたかな戦略と、それに対抗する貸手企業のプロフェッショナルなリスク管理能力を前提としているように感じる。そして以前(7/18の記事)に記載したように、この括りだしによって、従来のファイナンス・リースだけでなく、オペレーティング・リースでも借手に資産計上させることが可能になった。

 

大雑把に言って、資産価値は使用から生ずる価値と売却・処分から生じる価値があるが、この公開草案が想定しているリースの借手は、その資産を特定期間使用することで得られる価値を見極めているように思う。その資産を使う事業のライフ・サイクルを意識している感じがする。もっと長い期間使用することの価値やリスクがどうなるか、売却するときの価値とリスクはどうなるか、といった購入した場合の不確定要素を固定化し、特定期間の事業戦略に意識を集中させてる感じだ。(もちろん、その後の事業環境の見込みの変化に応じて、リース期間を延長することを否定しようというつもりはない。)

 

一方、貸手がリース料を計算するには、リース期間終了後の(他の借手を含めた)再リースや売却・処分取引から得られる将来キャッシュフローの見積りが必要になる。甘く(過大に)計算すればリスクを抱えるし、辛くし過ぎれば借手は他のリース会社と契約するだろう。

 

従来のファイナンス・リースのように、その資産の経済価値の大部分を消費できる長期のリース期間を想定するなら、借手も貸手も難しくない。借手は購入と同じ思考でよいし、貸手は信用リスクを見ればよい。しかし、この公開草案では賃貸期間が1年を超えればリースになる。中途半端な期間のリース取引には、恐らく特別なノウハウが求められる。

 

借手にとってはリース料が割高になる。しかし、それでもリースを採用するという経営判断は、期間は短くてもその事業の将来に明確な見通しを持てているか、割高なリース料をより確実に回収できるビジネス・モデルを持てなければならないだろう。その事業の将来(の顧客の変化)をより確実に予想できるノウハウが必要だ。

 

一方、貸手は中古市場があるとか、なければ自ら整備するとか、リース期間後のその資産の価値をなるべく客観的で確実に予想できたり、他のリース業者より多額のキャッシュフローを得られる工夫や仕組が必要だ。恐らく、対応できる資産の種類は限られるだろう。その道(=資産)に特化したプロとしての能力が求められる。金融機関の子会社のイメージはあまりない。その資産の使い方を熟知しているメーカーの子会社がその資産を運用するサービスと一緒にリースを提供するとか、もしかしたら処分価値を最も高められる資源回収・再生事業者の子会社が、貸手になるかもしれない。

 

 

このように考えていくと、この公開草案によって、新たにリース取引を行っていると識別される借手・貸手企業は、真剣に顧客ニーズに向き合い、将来の不確実性に備え、極力無駄を排除して事業を深く掘り起こしているイメージが膨らんでくる。ん~、素晴らしい企業たちだ。

 

まあ、これはあくまで僕の想像というか妄想レベルの話であり、果たして当たっているかどうかは分からない。でも、そんなことを考えながら、僕は公開草案を読んでいる。そんなときに消費税率アップに関する日経新聞の記事やコラムへ目を移すと、どうも、内容がアバウトに見えていけない。

 

三党合意がどうの、国際公約がどうの、市場関係者の見込みがどうのというが、いずれの関係者にとっても、消費税率が予定通り上がるかどうかより、税収が増えて(歳出も減って)、国債発行額が減らせられるかどうかの方が大事ではないか。税率を上げたい財務省の試算だけを頼りにしてよいのだろうか。安倍首相の指示をきっかけに、なぜそこへ注目させないのだろう。将来の不確実性を見極めようとするのは、無駄のない効率的な経営に繋がるのに。日経も変な新聞だな。

 

が、良く考えてみると、僕は自分の妄想との比較で“アバウト”と非難している。これでは、日経新聞も割が合わない。

 

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