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2013年8月14日 (水曜日)

278.【リースED】契約の構成部分の区別

2013/8/14

このシリーズの前回(8/9の記事)で、「以上で、リースの識別に関する規程はすべてとなった」と書いたが、会計処理をするための準備作業はまだ終わっていない。リースの識別は、「契約にリースが含まれるか否か」を判断することだったが、今回は、会計処理するために「含まれているリースを取出す作業」になる。

 

これに関する公開草案の規準の段落番号は、僅かに 20 24 までの5つだけ。楽勝と思いたいが、会計処理関係の記載にも目を配りながら慎重に進めていこうと思う。さて、規準の 20 24 は以下の構成になっている。

 

2021) リース構成部分を区分する(=取り出す)規準

22     貸手側の、リース構成部分についての対価の配分

2324) 借手側の、リース構成部分についての対価の配分

 

ということで、「リースが含まれる」と判定されたら、契約からリース構成部分を区分する基準に照らしてリース構成部分(=使用権資産)を取出す。しかし、それができない場合は、他の部分(=非リース部分、サービス部分)と一緒に会計処理を行うことになる。

 

そして、区分して会計処理を行う場合は、そのリース構成部分の取得原価がいくらであるかを算定することになる。なお、リース構成部分とは「資産を使用を支配する権利」のことだから、取得原価を算定すればその金額で資産計上されることになる。(もちろん、これらの結果、非リース部分に対応する対価金額も算定されうるが、サービスは資産計上されないので、敢えて「取得原価」を配分・算定する必要はない。)

 

う~む。良く考えてみると、これらは、実は、ありふれた作業だ。建物や構築物の最終見積書から、資本的支出と収益的支出を区分するのと意味合いは変わらない。ただ、次の2点が違う。

 

 金額情報

リース契約書やサービス契約書には、建物や構築物の最終見積書のような便利な金額情報付の明細がない(のが普通)。さて、どうやって入手するか。入手できない場合にどのような影響があるか。

 

 管理単位

建物や構築物は、実務上、耐用年数や勘定科目が異なれば、償却計算やB/S科目への集計を適正に行うために、区分して管理単位を設定する(例えば固定資産台帳へ登録する)。これは直接そう書いてあるわけではないが、間接的にそういうことになる。この点、リース(=使用権資産)もそのような直接的な記載はないが、同様のはずだ。

 

しかし、リースには有形固定資産(IAS第16号)にはない記載がある。それは、使用に当たっての独立性(他の資産に依存せずに、便益を得られる状況かどうか)で管理単位(=記帳単位)を決める(20 項)とか、時価が分かり(=価格が観察可能)対価の配分が可能な単位を管理単位とする(23 項)とされていることだ。これは何を意味するか。有形固定資産となにか違うのか。

 

 

まず、①について考えてみよう。これに関連して 24 項が気になるので、転記する。

 

24 価格が観察可能であるのは、それが貸手又は類似の供給者のいずれかが同様のリース、財又はサービス構成部分について単独ベースで課す価格である場合である。

 

リース契約書やサービス契約書には最終見積書のような金額情報付の明細がない、と書いたが、この 24 項を見ると、必要な金額情報は、貸手(或いは、競合させた他の貸手候補者)から入手できると想定されているようだ。

 

例えば、特殊用途の自動車を3年間だけ使用したいとき、純粋な賃貸契約だけのケースと賃貸契約にメンテナンス・サービスも加えたケースのどちらが良いか検討するために、複数の貸手候補者から両方のケースの見積もりを取る。検討の結果、メンテナンス付の契約の方が良いと意思決定し、契約を締結したとすると、この契約にリースが識別され、自動車の賃貸部分のみをリース構成単位として、メンテナンス部分から区分することになる。その区分に必要な「観察可能な価格」は、意思決定時に入手した賃貸契約だけのケースの見積り資料として入手されていることになる。

 

しかし、すべての「リースが含まれる契約」について、こううまく事が運ぶとは限らない。例えば、代替案が「3年と5年のどちらが良いか」という観点で設定された場合、メンテナンス込か抜きか、という場合分けは行われないかもしれないし、面倒だから期間3年の条件についてはメンテナンス抜きのケースを入れなかったが、結局、3年で決まってしまった、などということもあるだろう。

 

それなら、あらゆるケースについて「サービス抜き価格、或いは、賃貸のみの価格を必ず提示してくれ」という依頼を貸主候補者へ行えばよい、ということになる。

 

う~ん、貸主候補者が快く受けてくれれば良いが・・・。

 

複雑な案件などでは、営業秘密で提示できない、手間がかかり過ぎるなどと言われることもあるかもしれない。その場合は、リース構成要素を区分できないため、メンテナンス分も含めて使用権資産の取得価額とすることになる(23 bⅲ)。そのため、より大きな金額の使用権資産が資産計上される。

 

「資産が増えるならいいじゃないか」と喜ぶ前に、使用権資産の減価償却やリース負債の利息費用の認識で、P/Lにどのような違いが出てくるか、確認しておく必要があるだろう。

 

また、監査人には悩みの種になりそうだ。「あっちの会社では同じような価格が分かったのに、なぜこっちの会社では分らないのだろう」といったことが起こるのではないか。やはり、リース構成単位に観察可能な価格がある場合とない場合で、B/SやP/Lにどのような影響があるか、しっかり理解しておく必要がある。

 

これについては、会計処理を検討する際に、改めて取り上げることにしたい。

 

 

次に②だが、これは意外と奥が深い。償却単位(=管理単位)については、減損戻入シリーズ(例えば 4/19の記事など)で色々検討したが、やはりIFRSは、減価償却やB/Sの表示を適正に行うという目的に沿っていれば、その会社の事情を反映した柔軟で幅の広い実務を受入れそうな“気がする”。しかし、これを書き始めると長くなりそうだし、減損戻入シリーズと重複するので、今回は簡単に2点について記載する。

 

リース構成単位を決める“独立性”の規準は、有形固定資産(IAS第16号)に同様の表現はないが、リース固有の規準ではないと思う。

 

リース構成単位を決める“独立性”の規準は、この公開草案には次のように記載されている。

 

20 ・・・企業は、次の両方の要件に該当する場合には、資産を使用する権利を独立のリース構成部分と考えなければならない。

 

(a) 借手が、当該資産単独又は借手が容易に利用可能な他の資源との組合せのいずれかにより、当該資産の使用により便益を受けることができる。容易に利用可能な資源とは、別個に(貸手又は他の供給者により)販売又はリースされている財又はサービス、あるいは借手がすでに(貸手から又は他の取引又は事象により)入手している資源である。

 

(b) 原資産が、当該契約の中の他の原資産に依存しておらず、高い相関もない。

 

僕はこれを簡単に「他の資産に依存せずに、便益を得られる状況かどうか」と書いてきたわけだが、これは有形固定資産を固定資産台帳へ登録する際に、みなさんが気を付けていることと同じだと思う。特に (a) については、癖のある書き方になっているが、これは収益認識の公開草案の収益の認識単位と表現を合わせているためで、特に高度な、或いは、特別な内容を含んでいるというわけではないと思う。

 

 

1つの契約から複数のリース構成単位(=使用権資産)を識別する可能性がある。

 

一つの契約に複数のリース(=それぞれに、使用に当たって独立性があり、かつ、便益を享受できる状況にある)が含まれていれば、それらを区分し、それぞれ独立したリース構成単位(=使用権資産)として扱う。もしかしたら、一つの契約にリース期間や耐用年数が複数あるようなケースもないとはいえない。

 

ちなみに、この公開草案では、「リース期間=耐用年数」ではない。使用権資産の償却(タイプA)は、リース期間と耐用年数の短い方で行うとされている(48 項)。

 

「1契約、1リース」ではないし、「リースだからリース期間で償却」ではないので、リース構成単位を区分する際に注意が必要だ。

 

 

さて、これで会計処理の準備ができた、と書きたいところだが、もう一つ「リース期間」について内容を確認してからにしたい。また、このシリーズの前回(8/9の記事)で、庸車取引や外注加工取引がリースを含むと判定されるかどうかを今回検討すると予告していたが、この「リース期間」が重要ポイントになりそうな気がするので、それを済ませてから、或いは、それに合わせて、ということにさせていただきたい。

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