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2013年8月21日 (水曜日)

280.【リースED】リース期間を決定する

2013/9/9「重大な経済的インセンティブ」についての推測が誤っていたので、大変申し訳ないが、訂正箇所を棒線で示し、赤字で記載を追加した。

 

2013/8/21

僕の関心は、前回(8/19の記事)記載したように、時間で期間が決まるサッカー・タイプのリース期間が原則だが、発注量等で実質的に期間が設定される野球タイプのリース期間がありえるか、という点にある。しかし、今回はそこへ行く前に、「リース期間を決めなければいけない」という、実際にこの公開草案でやってみるとかなりの会社が戸惑うのではないかと思われる点に注意を向けたい。

 

前回の後半に記載した付録Aのリース期間の定義と同じような文章が、規準案の 25 項にある。但し、こちらは、下記のように「企業は~しなければならない」と、企業に対する強制規定となっている。

 

25 企業は、リース期間を、リースの解約不能期間に次の両方を加えた期間として決定しなければならない。

 

(a) リースを延長するオプションの対象期間(借手が当該オプションを行使する重大な経済的インセンティブを有している場合)

 

(b) リースを解約するオプションの対象期間(借手が当該オプションを行使しない重大な経済的インセンティブを有している場合)

 

恐らくみなさんは「重大な経済的インセンティブ」に関心が向かったと思う。これの有無を判断する方法は、付録Bの「適用指針」B5 項に記載があるが、「どの程度を重大と判断するか」については記載がないので、上記に引用した部分の文脈で判断するしかないだろうと思う。即ち、経済的インセンティブを総合的に判断した結果、オプション行使の可能性が高いか低いか(=延長又は解約する確率が 50% を超えるほどか、或いは、超えない程度か)のイメージではないだろうか。もしかしたら、高・中・低と分けて、中の場合は期間の一部を含めるなどという考え方もあるかもしれない。

詳しくは結論の根拠のBC140項やBC171項などに記載があるが、前回の公開草案では毎期リース期間を見直すとしていたが、作成者の手間がかかり過ぎるために、「重大な経済的インセンティブ」の有無に変化があった場合だけに、見直すことにした。この結果、「確率が50%を超える」ではなく、「合理的に保証された」や「合理的に確実」レベルまでハードルが上ったとされている。以上は毎期の決算時の処理だが、新規リースに対してリース期間を決定する際も、日本基準でいうところの、予想に「合理的な根拠」(=重大な経済的インセンティブの判断)が必要ということ。

 

「リース期間を決めなければならない」とされているが、これは有形固定資産の経済的耐用年数、自主耐用年数を決めるのと同じで、事業戦略、製品戦略と言った先行きの見通しを持っていないと決めるのは難しいことがあると思う。これについては、減損戻入シリーズなどでくどくど書いた(例えば4/29の記事など)ので繰返さないが、税法の耐用年数に頼ってきた日本企業は、苦手な会社が多いと思う。

 

現行のリース会計基準のファイナンス・リースでは、取敢えずリース会社が税法の耐用年数の75%程度のリース期間の契約書を持ってくるので、会計上もそのままそれをリース期間とすることができる。しかし、この公開草案では、延長する可能性が高ければもっと長いリース期間を、逆に中途解約する可能性が高ければもっと短いリース期間を会計上設定する必要がある。法定耐用年数4年の乗用車に20万キロ乗るつもりなら(例えば、過去がそういう実績で4年を超えて使用しており、それを変更する必要もないなど合理的な根拠があれば)、会計上のリース期間を延長することになるだろう。(本来は、リース契約上のリース期間をその合理的な予想期間に設定することが自然と思う。但し、あまり短過ぎたり長過ぎたりすると、税務上不利な扱いをされることもある。)

 

そしてこの公開草案にいうリースは、現行基準のファイナンス・リースだけでなく、オペレーティング・リースも含むことを改めて思い出していただきたい。みなさんの会社では「先のことは分からないから、取敢えずレンタルにする」ということはないだろうか。このような場合でも、レンタル期間が1年を超える見込みで、その見込みに合理的根拠があれば、「リース」として扱うことになるため、リース期間を決める必要がある。

 

それともう一つ。日本のリース会計基準では、独特の重要性の基準があり、それに満たないファイナンス・リースは、資産計上を要さないなどの簡便的な処理が認められる。特に、リース適用指針の 35項(3)の「企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引 」は、ご存知の方が多いと思う。しかし、この公開草案の結論の根拠(BC91)には、企業の事業内容に照らして重要かどうか、という判断は企業によってばらつくとして、「・・・原資産が企業の営業にとって中心的なものなのかどうかに基づく会計処理の区別は提案していない。」(BC92)としていることも注意が必要だ。したがって、従来資産計上処理の対象から除外していたもの、例えば、営業回り用の車両や事務用のコピー機にまでリース期間を決定してやる必要があるかもしれない。

 

しかし、リース用の(有形固定資産と異なる)重要性の社内基準を定めることを一切否定しているわけでもないような気もする。但し、日本基準のように、形式的にリース契約1件単位で重要性を測るのでは、8/14の記事にある「契約の構成部分の区別」に書いた管理単位の考え方と矛盾するため、従来の社内基準は見直しが必要になると思う。そして、この公開草案の基本的な発想は、有形固定資産と共通なので、両者の重要性の基準はかけ離れたものにはならないはず。

 

 

さて、それではいよいよ、野球タイプのリース期間はありえるか、という問題に移りたい。が、大変申し訳ないが、次回とさせていただきたい。

 

今回このテーマに先んじて「リース期間を決定する」を取上げたのは、リース期間は会社が主体的に見積るもの、というイメージを持っていただきたかったからだ。現行の日本基準では、税法の法定耐用年数やリース会社との合意(=契約)で決まってくるもの、という受動的なイメージがあると思うが、これを変えて欲しかった。野球の試合時間は、ゲームの参加者の戦略・戦術で変わってくる。サッカーの試合時間のようにサッカー協会やリーグ組織に決められるものではない。リース期間にも、ちょっと、そんなところがある。

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