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2013年8月29日 (木曜日)

282.【リースED】リース期間とサッカーの試合時間

2013/8/30 赤文字部分の表現を若干変更しました。

 

2013/8/29

今回は、前回(8/27の記事)記載した通り、この公開草案が野球タイプのリース期間を含めているかどうかについて、焦点を当てていきたい。野球タイプのリース期間等(=発注量等の数量で実質的に定められたリース期間や解約不能期間)を含めていないと、この基準の潜脱行為を容認することになりかねない。

 

リース期間は、「会社が決めるもの」であり、「解約不能期間±オプション対象期間」であることは、既に書いた(8/21の記事)。また、リースの定義(6項)には、「一定期間a period of time)」という、リース期間が「時間」であることを示す言葉が使用されている一方で、リース期間の定義(付録A)には、単に「期間period)」とあるだけだった(8/19の記事)。

 

ということで、今回は、野球タイプのリース期間等の扱いを確かめるため、「付録B-適用指針」の「リース期間」の B2項や B5項の記述を深掘りして行こうと思う。

 

では、まずB2項を転記する。

 

B2  企業は、リース期間を決定する際にリースの解約不能期間を決定しなければならない。リースの解約不能期間の長さを評価する際に、企業は、第6 項における契約の定義を適用して、契約が強制可能である期間を決定しなければならない。リースは、借手と貸手の双方がそれぞれリースを他方の承諾なしに重大ではないペナルティで解約する権利を有する場合には、もはや強制可能ではない。

 

新しい知識としては、次の点が挙げられると思う。

 

リースの解約不能期間の長さを評価する際に、企業は、第6 項における契約の定義を適用する。

 

双方が・・・他方の承諾なしに重大ではないペナルティで解約する権利を有する場合には、もはや強制可能ではない。

 

いずれも、解約不能期間に関するものだが、最初の方は、リースの定義に合うような取引内容に関する解約不能期間を決定するのであって、リース以外の取り決めは関係ないという意味だ。これは当たり前のことだが、一つ問題がある。「第6項の契約の定義を適用する」というのはショックだ。6項とは、例のサッカー・タイプの「一定期間a period of time)」が書いてある規定だ。もしかして、意外にあっけなく結論が出たのか。即ち、リース期間・解約不能期間は時間で決まるサッカータイプのみであり、野球タイプのリース期間・解約不能期間は、この公開草案に含まれないことになるのか? しかし、それでは、潜脱行為が容認されてしまうではないか?

 

動揺しているが、ちょっと落ち着くために、後の方の意味を考えてみよう。リースでは、借主が一定期間資産を使用する権利を支配する。支配しているのだから、その期間、借主は、貸主に対して契約を継続させる強制力を持っている。或いは、賃貸契約のように貸主の側が、解約を申し入れてから一定期間継続を継続させる強制力を持つ。このような状況を背景にして、上記の後の方の文章がある。即ち、両者とも強制力を持たなくなる時点で、リース期間は終了する。これ以降はもはやリース期間ではない。・・・こちらは問題ないと思う。

 

では、もう一度、最初の方の問題へ戻って、やっかいな 6項を見てみよう。

 

6  リースは、資産(原資産)を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約である。

 

主語は「リース」だから、この「一定期間」とは、リース期間のことに他ならない。リース期間は、この 6項を適用することで最終的に「一定期間a period of time)」になる。即ち、サッカー・タイプの、「時間」で決まる期間にならざるえない。これで、野球タイプのリース期間は否定された。ん~、万事休すか?

 

が、しかし、解約不能期間についてまで、「時間」とは書いてない。例えば、解約不能期間やオプション対象期間までは野球タイプで、最終的にリース期間を決めるときに、「時間」となっていれば良いではないか。

 

ん~、だが、「リース期間  解約不能期間 ± オプション対象期間」だから、左辺が時間なら右辺も時間か。そう、そう考えるのが自然だ。それでは、もはや絶体絶命か!?

 

だが、しかし、・・・。最後に「オプション対象期間」について考えてみよう。これも本当に時間なのだろうか。「往生際が悪い」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、可能性は試してみるものだ。

 

「オプション対象期間」について詳しく書いているのは、適用指針の B5項だ。B5項は長いので転記はしないが、これを読むと、いわゆるリース契約書には書いてない、一般的な経済事象、経営上の必要性の変化等々が例示され、それらを総合的に考慮してオプション行使・不行使に係る重大な経済的インセンティブの有無を評価するとしている。要するに、“状況証拠”で、オプションが行使されるかどうか評価せよと書いてある。

 

なるほど。

 

「オプション対象期間」は、通常、契約書に書いてある。何年とか、何か月、何日といった「時間」だ。しかし、その「時間」がどれぐらいになるかについては、契約書から離れて、関連するすべての“状況証拠”から判断する。“状況証拠”は、経済事象や経営上の必要性であって、「時間」ではない。だとすれば、この“状況証拠”のところに、野球タイプの発注量等の数量による条件や、生産能力、販売計画があってもよいわけだ。それらが最終的に「時間」に換算され、「リース期間  解約不能期間 ± オプション対象期間」の計算に繋がればよい。

 

ということは、実質的に、野球タイプのリース期間は、この公開草案の対象になっていると考えて良い。したがって、潜脱行為を許容することはなさそう。これが僕の今回の結論だ。

 

 

ところで、昨夜、僕の地元チームの清水エスパルスは、鹿島アントラーズに4-3で逆転勝ちした。開始早々、1分と6分に、次々にゴールを決められ、しかもその後も、自陣ゴール前に張付いたまま、アントラーズの猛攻をしのぐばかりの状況が続いた。15分を過ぎたころだろうか、あまりの劣勢に、地元テレビ局のアナウンサーが「もう1点入れられたら、試合は終わってしまう」と、弱音を吐いた。

 

僕は、「ゲーム時間は90分と決まっているのに」と苦笑した。もしかして、このアナウンサーは解約オプションでも持っていて、強制的に試合を終わらせられるのだろうか?

 

しかし、よく考えてみれば、確かにもう1点とられたら、僕はチャンネルを他に変えるかもしれない。そう、視聴者は解約オプションを持っている。もし、そのオプションを行使されたら、テレビ局にとっては試合が終わったも同然だ。アナウンサーはそれを心配していたのだ。

 

それでも視聴者の関心を惹き続ける努力をするのがアナウンサーの仕事だから、こんな弱音は褒めらない。と思いつつ、なるほど、サッカーの試合も思わぬ終わり方があるのだなあ、と感心した。

 

その後、エスパルスは、10番を背負う河合選手や新戦力のラドンチッチ選手、途中出場の高木選手などの活躍で、前半のうちに2ゴールをあげて同点に追いつき、さらに後半開始早々に逆転に成功したものの、PKを献上し同点に追いつかれた。しかし、試合終了間際に、高木選手が今夜のハットトリックとなる劇的な決勝ゴールをあげ、上述のスコアになった。テレビ局は放送時間を延長して、試合終了後も冷めやらぬ興奮を伝えたが、ある意味これは、サッカーの試合時間が伸びたようなものだ。

 

サッカーの試合については、終了オプションを視聴者が持ち、延長オプションはテレビ局が持っていた。Jリーグのルール・ブック上は90分と書いてあるのだろうが、見方を変えると、それは形式的なものであって、興行面から見た経済実態とは言えないのかもしれない。

 

 

今回、リース期間はサッカー・タイプ、と結論を出した。しかし、その経済実態を評価しリース期間を決めるためには、このゲームと同様、契約書以外のことや、時間以外の野球タイプの要素を含め、色々考慮する必要がありそうだ。

 

 

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