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2013年9月 6日 (金曜日)

285.【リースED】リースを分類する理由はP/Lにあり

2014/5/7

2014年3月のIASBとFASBの合同会議で明らかにされた“暫定決定”では、下記の内容は提案取下げの対象となっています。詳細は 5/6の記事をご覧ください。

 

2013/9/6

前回までは、取引の中からリースを識別するプロセスを見てきた。今回は、次のステップ「リースの分類」へ進み、まずは全体像をイメージできるようにしたい。それには、何故分類が必要となるのか、分類を行う理由を理解することが重要と思う。

 

この公開草案では、リースを識別すると、それをAタイプとBタイプに分類しなければならない。しかし、基準案の「リースの分類」のセクション(28項~35項)には、何の目的で分類するのかについて、それらしき記述がない。ただどうやら、不動産タイプと、そうでないものへ分類したいということは分かる(29項では、原資産が不動産ではない場合は原則としてAタイプに分類し、30項では、原資産が不動産の場合は原則としてBタイプに分類するとされている)。では、なぜ不動産タイプとその他に分類したいのか?

 

規準案に書いてないことは、結論の根拠(BC***)に当たるしかない。見てみよう。すると、結論の根拠の「リースの分類」セクションの冒頭、BC119に次のような記載がある。

 

BC50 項からBC63 項で述べたとおり、両審議会は、企業は、原資産に組み込まれた経済的便益についての借手の予想される消費に関する分類の原則を、原資産の性質(すなわち、不動産なのか不動産以外の資産なのか)基づいて適用すべきだと決定した。

 

どうやら、詳しいことはBC50BC63にあるらしいが、借手の経済的便益の消費に関係するらしい。経済的便益の消費といえば、6/4の記事で紹介した公開草案「減価償却及び償却の許容される方法の明確化」が思い起こされる。減価償却方法の選択は、経済的便益の予想消費パターンによって行われるべきという内容だった。

 

すると、リースの分類は、B/SではなくP/Lのために行うものか。購入した固定資産なら、減価償却を行うことで、取得原価を耐用年数に配分する。リースの場合は、同様に使用権資産の取得原価を減価償却し、さらに、利息費用を各期へ配分する。この減価償却費と利息費用の合計額を適切に各期へ配分するために、リースを分類するということかもしれない。

 

この観点から、結論の根拠を眺めて見ると、BC39に次のような記述を見つけることができた。

 

しかし、寄せられたフィードバックのすべてを考慮し、また、リースが非常に多様である(原資産を借手に原資産の経済的耐用年数のほぼ全期間にわたり提供するものから、原資産を借手に原資産の経済的耐用年数のうちごくわずかについて提供するものまで広範囲にわたる)ことから、両審議会は、使用権資産を他の非金融資産と整合的に償却することは、すべてのリースの性質を最も適切に反映するわけではないと結論を下した。同時に、両審議会は、すべてのリースに組み込まれたさまざまな経済的実態を捕捉しようとする単一のアプローチは、実務上不可能であることにも気付いた(BC36 項(b)で説明している)。

 

要するに、「分類しないで、すべてのリースへ同じ会計処理(=他の非金融資産と整合的に償却する方法)を適用することを検討したが、それではすべてのリースの性質を適切に表現できないし、また、同じ会計処理は返って実務的な困難を伴う」ということだ。なるほど、これで、分類の目的がP/Lの要請によるものであることがはっきりした。

 

P/Lの要請とは、次の2つのパターンの費用計上方法を用意せよ、ということだ。

 

A. 逓減的な費用配分(=他の非金融資産と整合的に減価償却+利息法的な利息費用の認識)

B. 均等額の費用配分(=固定的なリース料の支払いが、消費パターンに合っている)

 

Aは、従来のファイナンス・リースのように、使用権資産を購入するためにリースという資金調達手段を利用したと、経済実態を捉えるケース。リース期間が長めの取引がイメージされる。

 

それに対してBは、不動産賃貸や機器のレンタルのように、原資産の耐用年数に対して短いリース期間が設定されていて、経年による技術的・経済的陳腐化、貨幣の時間的価値の影響をあまり受けないようなケースがイメージされる。典型は土地のリースで、土地は使用によって価値が減価しないので消費パターンは一定だ。したがって費用も一定額が計上される方法が適切になる。

 

確かに、リースは取引実態の幅が広い。経済実態をP/Lへ反映するために、このような2つぐらいのパターンへ分類することは必要なのだ。

 

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