286.【番外編】成長戦略の議論はどこへ?
2013/9/8
東京の2020年オリンピック招致決定、おめでとうございます。素晴らしいプレゼンテーションでした。だが7年後も、日本がオリンピック開催に相応しい国でいられるかどうかは、日本経済の成長(と原発政策の成否)にかかっている。
参議院選挙が終わって早くも50日が経過するが、その間、アベノミクスの成長戦略の話は、あまりマスコミに取り上げられていない。例えば、Googleで「アベノミクス+成長戦略」で検索しても、最近の記事はほとんど出てこない。しかし、みなさんが本当に気になっているのは、このことではないだろうか。僕は、このまま成長戦略がしぼんでしまいそうで心配だ。
マスコミの多くは、何か事件が起こったり、政府が何か発表したりしなければ取上げない。受動的だ。なにが大事かを決める意思・能力に欠け、社会的議論のテーマの決定を他人任せにしている。事件が起こらなくても、政府が何も言わなくても、今重要なことがあるはずだ。むしろ、政府が言わないことにこそ、重要なことがあるに違いない。
昨年11月以来の円安・株高については、海外投資家の都合と期待でそうなっただけで、実績として日本経済が成長力を高めたわけでもないし、日本企業が競争力を高めたわけでもない(7/14の記事)。まだ何も安心できない。
この50日間に取上げられた消費増税についても、以前(8/6、8/12、9/2の記事)も書いた通り、マスコミは的の外れた後ろ向きの問題設定をして、議論をおかしくしているように思う。我々消費者・納税者にとっては、消費税率アップはコスト・アップ型のインフレと同じだ。支出だけが増えていく。インフレが起これば経済が活性化する、即ち、収入が増えるという主張もあるが、僕はそれを素直に信じていない。やはり、それとは別に収入を増やす手、即ち、成長を目指すことを考えることが必要と思う。
日本の国家財政を救うのも、主役は増税ではなく経済成長だ。年収の2倍以上の借金を返済するのに、収入を増やす手を考えず、ひたすら節約を続けて耐えられるだろうか。しかも、節約できない固定的な支出がたくさんあって、それが毎年増加する状況で。年金制度を維持できるかどうかも、年金資産の運用収益が重要だ。成長のない経済で収益性の高い運用は困難だ。年金資産は減少局面(=保険料収入より年金支出の方が大きい)に入っているから、なるべく運用資産の大きいうちに、早く、良い運用が行える環境を整備する必要がある。即ち、早く経済の成長力を高めなければならない。
6月に閣議決定された成長戦略に満足している人はあまりいないと思う。もっと大胆な規制緩和が必要だ。少子高齢化社会を生き抜くハードルは高い。今のまま既得権者と官僚をおぶって、それを飛び越える余裕は、我々にはないと思う。
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