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2013年9月13日 (金曜日)

288.【リースED】消費の原則と、“重大ではない”=“ささいな”

2014/5/7

2014年3月のIASBとFASBの合同会議で明らかにされた“暫定決定”では、下記の内容は変更若しくは提案取下げの対象となっています。詳細は 5/6の記事をご覧ください。

 

2013/9/13

今年は温度計を購入し、室内環境の一部を見える化した。この数日は、最高気温が30℃を下回るようになるとともに、外出しても涼しく、秋の兆しを感じられるようになった。といっても、暑いことは暑い。さて、今は秋だろうか、それともまだ夏だろうか。

 

Wikipediaの“夏”を見ると、「日本においては、6月・7月・8月の3か月を夏であるとすることが一般的である。」とされている。なるほど、季節は暦で決まるのだ。これは便利だが、実態を表しているとは言い難い。なぜなら、残暑の厳しさが毎年違うのに、暦は一定だ。だが、“夏”か“秋”かは、形式的に8月か、9月かで決まる。

 

この公開草案のタイプAとタイプBも、こんなふうに分かりやすく境界が定まっても良いのだが、会計は経済実態の表現であるから、形式的な基準では相応しくない。2つのタイプの本質に根差すような境界の見極めがなされているに違いない。そこで、なるべくシンプルで、両者の本質が分かりやすいように、前回(9/10の記事)は分類方法を表形式・比較形式で提示した。一応、そのメインである29項、30項をおさらいをしておこう。

 

まず、原資産が不動産以外か、不動産かに着目し、不動産以外なら原則タイプA(=資金調達手段としての性格が強いリース)、不動産ならタイプB(=大雑把に言って、一時的なレンタル)に分類する。

 

しかし、従来のファイナンス・リースとオペレーティング・リースを区分するときの着眼点である、リース期間と経済耐用年数、リース料総額の現在価値と原資産の公正価値という2つの関係を利用して、次の例外規定がある。原資産が不動産以外であれば(原則タイプAだが)、いずれかが“重大ではない”関係であればタイプBと分類され、原資産が不動産の場合は(原則タイプBだが)、いずれかが“大部分”とか“ほぼ全額”の関係であればタイプAと分類される。

 

“大部分”とか“ほぼ全額”というのはイメージしやすいが、原資産が不動産以外の場合の例外を判定する“重大(或いは、重大ではない)”は、分かり難い。なんだろう。

 

しかし、これが、分からなかった。リース期間を決定する際の「重大な経済的インセンティブを有する」は、かなり確実性の高い、日本基準でいえば「合理的な根拠がある」のレベルだ。無理やり数値で表現すれば7割・8割・9割といったところか。それと同じように“重大”を理解すると、例えば“重大”なリース期間は、経済的耐用年数の、少なくとも7割以上のイメージだが、IASBは4割でも“重大”(正確には「重大ではないとはいえない」と記述されている)とする例を示している(BC125)。

 

両者(タイプA・タイプB)を区別する重要な規準である“重大”(或いは“重大ではない”)の意味が理解できなかったということは、まだ両者の本質の理解が足りないということだ。ということで、今回は、追加の検討を行うことになる。きっと、それを考える鍵は、結論の根拠にあるに違いない。

 

 

そこで、その目次を眺めていると・・・。なんと「リースを分類すべきかどうか及びその方法の決定」(BC40~)などという、ドンピシャの見出しがある。「先に読めよ」と言われそうだが、もちろん、ここも目は通していた。しかし、良く理解できていなかったことを認めざるを得ない。その原因となった点について、これから読もうという人のために、少しアドバイスさせてもらいたい。「単一のリース費用を表示すること」という表現は、タイプB(=原則不動産)の会計処理を指している。一方、「使用権資産の償却とリース負債に係る利息とを別個に表示する」は、タイプAの会計処理だ。また、「消費の原則」は、減価償却方法の公開草案(6/4の記事)に記載されていた「消費パターンを反映するように償却方法を決定する」という表現と、リース費用について同じように使われている。即ち、原資産の経済便益の消費パターン(正確には「消費する水準」)を考慮してリース費用の計上方法を決めよう、即ち、分類方法を決めようとしている。さて、これで大分、読みやすくなったはずだ。

 

ということで、読んでみると、早速、BC42に核心を突く記述を見つけた。これは、まさに原資産の消費パターン(下記では「消費する水準」)を考慮してタイプA、タイプBの分類を決めようという「消費の原則」について記述している。

 

両審議会の結論としては、単一のリース費用の方が適切な情報を提供することになるリースは、借手が原資産の使用についてだけ支払を行い、原資産自体に組み込まれた経済的便益のうち重大ではない量だけを消費すると見込まれるリースである。したがって、両審議会は、異なるリースを区別するために使用される要因は、原資産に組み込まれた経済的便益を借手が消費する水準であると決定した。

 

さらに読み進めると、タイプBに関して、次のような記載もある(BC44)。これは“重大”の意味を理解するうえで、興味深い。

 

資産の価値又は用役潜在能力の減少が予想されていない場合(すなわち、借手が原資産に組み込まれた経済的便益のうち重大ではない部分しか消費しないと見込まれる場合)・・・このリターン又は料金は、リース期間にわたり均等又は比較的均等となると見込まれる。

 

興味深いのは、タイプBでは、「資産の価値又は用役潜在能力の減少が予想されない=重大な消費がない」とされていることだ。また、次のようにも書いている。

 

借手が原資産を「借用」し、それをリース期間中に使用して、貸手に当該使用の対価として均等(又は比較的均等)なリース料を支払い・・・、原資産を貸手に開始日時点とほぼ同じ価値又は用役潜在能力で返還する・・・。

 

ここでは、タイプBは「借手は、原資産を、借りたときとほぼ同じ価値で(=ほとんど消費せずに)返還する」といっている。

 

これらから判断すると、“重大ではない”=“僅か”じゃないか? 「“重大”は、7割・8割・9割を意味する」、そして“重大ではない”は、「重大よりは小さい影響度・比率」というイメージとあまりにかけ離れた説明となっている。むしろ、“重大ではない”とは「1-“重大”=“僅か”」の“僅か”と理解すべきなのだ!

 

ここで英語の原文に戻って、“重大ではない(insignificant)”の意味を確認してみよう。Webilo(研究社 新英和中辞典)では、次のように記載されている。

 

【形容詞】

1 取るに足らない,つまらない,ささいな.

用例               

an insignificant person (身分の低い)つまらない人.

2 〈語句・身ぶりなど〉(ほとんど)意味のない.

 

やはりそうか。例えば、insignificantを“ささいな”と訳すと、即ち、“重大ではない”を“ささいな”に置き換えると、原資産が不動産以外のケースをタイプB(一時的なレンタル)に分類する29項の例外条件は次のようになる。

 

(a) リース期間が、原資産の経済的耐用年数全体のうちささいな部分である。

(b) リース料総額の現在価値が、開始日現在の原資産の公正価値に比べてささいである。

 

う~ん、だいぶイメージが変わった。リース期間が1年を超えるリースでは、不動産以外の原資産がタイプBに分類される可能性は、思っていたよりささいである。あまりないと考えた方が良さそうだ。そうなる理由は、「消費の原則」こそが、タイプAとタイプBを分類する境界・本質であり、かなり厳密に適用されているためだ。

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