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2013年9月19日 (木曜日)

290.【リースED】会計処理の概要

2014/5/7

2014年3月のIASBとFASBの合同会議で明らかにされた“暫定決定”では、下記の内容は変更若しくは提案取下げの対象となっています。詳細は 5/6の記事をご覧ください。

 

2013/9/19

このシリーズをご覧のみなさんは、既に借主(=顧客)の会計処理についてかなりイメージができていらっしゃると思う。短期リースは従来の発生主義による費用計上が選択可能で、1年を超えるリースは、使用権資産とリース負債をB/Sに計上する。P/Lには、タイプAについては償却費と利息費用が逓減的に(=先に行くほど計上額が減少する)、タイプBについてはそれらを合算した単一のリース費用が概ね定額で計上される。

 

では、貸主は? 減損は? 使用する割引率は? 表示科目や注記は?

 

といったところが気になっていると思う。それとも、もうリースは厭きた、と思われているだろうか。そういえば、昨年の収益認識の公開草案では進行基準しか取上げなかったのに、今回は最初から細かくやっている。おかげでリースを始めて、もう2カ月半が経過した。

 

北半球の猛暑、豪雨、竜巻、山火事。そしてシリア化学兵器使用疑惑による緊張。これらも、同時期に始まって、もう落着こうとしている。そうそう、あまちゃんも、半沢直樹も最終回が近づいている。終わりが見えないのは、アベノミクスの成長戦略の議論と福島第一原発の汚染水、日中韓の緊張ぐらいか。そしてこの「リースED」シリーズ。

 

ということで、ちゃっちゃと話を進め、今月中には終わりたい。

 

 

さて、それでは貸主の会計処理について、簡単に借主と対比してみよう。それには次のような表があると便利だ。概ね、対になっているが、そうでない部分が浮き上がってくる。なかでも茶の太文字の2か所が注目のような気がするが、いかがだろうか。だが、具体的には、次回以降としたい。

 

                                                                                       
 

 

 
 

 

 
 

借主

 
 

貸主

 
 

B/S

 
 

資産

 
 

使用権資産

 
 

(タイプA)
    リース資産(=リース債権+残存資産
1
    一定の場合は評価を見直し、差額は純損益。
    割引の巻戻しは毎期実施。

 

(タイプBの規定はない)

 
 

 

 
 

負債

 
 

リース負債

 

一定の場合は評価を見直す。原則相手勘定は使用権資産。割引の巻戻しは毎期実施。

 

 

 
 

 

 

  (該当なし)

 
 

P/L

 
 

タイプA

 
 

使用権資産の償却

 

割引の巻戻し(金利費用)

 
 

貸主の事業モデルを適切に反映する方法

 

割引の巻戻し(金利収益)

 
 

 

 
 

タイプB

 
 

単一のリース費用

 

 

 
 

定額ベース又は別の規則的方法

 
 

減損

 
 

 

 
 

他のIFRS(資産の減損)の規程による

 

 

 
 

他のIFRS(金融資産の減損、資産の減損)の規程による

 
 

割引率

 
 

 

 
 

貸主が借主に課す利率

 
 

同左

 
 

 

 
 

見直し

 

 

 
 

一定の場合のみ

 
 

同左

 
 

=参考==

 
 

====

 
 

========

 
 

========

 
 

リース期間

 
 

見直し

 
 

一定の場合のみ

 
 

同左

 
 

分類

 
 

見直し

 
 

しない

 
 

同左

 

 

1 貸主には、原資産をリース期間終了後に取戻す権利が残存しているので、それに相当する資産。

 

上記以外にも、なにを使用権資産に含めるか、とか、リース負債に含まれる項目にどういうものがあるかなど、色々規定があるが、このブログでは触れないと思う。また、詳細な注記やB/Sの表示方法の選択など規定もあるが、これらについても触れないと思う。公開草案が確定したら、取上げるかもしれない。

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IFRS個別基準」カテゴリの記事

コメント

はじめまして、会計学の初心者です。

貸手における「割引の巻戻し(金利収益)」についてよく分からないですが、ご教授していただけませんでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

nnzzさん、はじめまして。質問をありがとうございます。そうですね、これ分かりにくいですね。

「割引の巻戻し」というのは、「割引いて減額したものを、元へ戻していくこと」です。“巻戻し”というのは、割引を取り消していくようなイメージですね。

例えば、5年後に100万円の収入が得られる債権(割引現在価値を80万円とする)があるとします。今は80万円でB/Sに計上されますが、回収期日直前の決算では100万円に戻されますね。回収期間(=割引期間)が短くなるにつれて、債権の現在価値が段々上がって、最終的に100万円に戻ります(現在価値が増える分は、受取利息が発生したと考えます)。これが割引の巻戻しです。

また、次のように考えるのもよいと思います。5年後の100万円は、実は元本80万円と利息20万円であると。今後5年間複利で受取利息が発生する(=利息は元本に加えていく)と、最終的には元利合わせて100万円の債権となります。これも、いったん80万円に割引いたものを、元に戻していくこと(=巻戻し)なので、上と同じことです。

リース債権の場合は、この例のような一括回収の返済条件ではなく分割返済なので、その分計算が複雑ですが、“割引の巻戻し”の原理は同じです。

こんな説明で良いでしょうか?
2013/9/10の記事「287.【リースED】リースの分類方法⇒訂正あり!」も参考にしていただけるとありがたいです。

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