« 294.【リースED】ゴルフの反省とこのシリーズのまとめ | トップページ | 296.【CF DP'13】「概念フレームワークのディスカッション・ペーパー」シリーズ開始 »

2013年10月 3日 (木曜日)

295.「結論の根拠」にガッテン

2013/10/3

昨夜のNHK「ためしてガッテン」のテーマは、レビー小体型認知症だった。認知症といえば、アルツハイマー型が有名だが、レビー小体型認知症は、最近知られるようになったもので、認知症の5人に一人は、実は、こちらではないかといわれているそうだ。アルツハイマー型は、記憶をつかさどる海馬が委縮していくのに対し、レビー小体型は、脳内にレビー小体(一部のパーキンソン病の原因物質と同じ)というゴミのようなタンパク質が溜まり、これが幻視を見させるのだという。

 

例えば、番組で紹介されていた患者の方の一人は、暗闇で部屋中に人影が見えたり、食卓に箸を持った子供が現われたりするそうで、ご家族は、深夜に大声で起こされたり、「(怖いから)トイレに一緒に行ってくれ」と頼まれたり、誰もいないところへ向かって話しかけたりする姿を目撃することになる。

 

患者のご家族、医師などから見ると、アルツハイマー型の妄想などと同じような症状に見えるらしいが、患者にすれば実際にはっきり見えている点が異なる。まさに、認知に問題がある。

 

 ん~、認知か。会計でいえば“認識”だなあ。

 

などと思いながらこの番組を見たのは、きっと日本で僕だけだろう。いや、そうでもないか。あと10人ぐらいはいるかもしれない。

 

認知・認識は、その後の人の行動を決めるきっかけとなる。暗闇の部屋に一杯人影があれば、大声を上げるし、トイレのドアを開けたら、中に知らない人がいてこちらを見ていれば、そのまま入る気にはなれない。周囲はおかしいと思っても、患者の方にすれば当然の反応なのだ。

 

同様に、ある件の売上が上がれば、「おお、あの問題は解決して、お客様にもご納得いただけたのだな」と安心するし、仕入が計上されれば、それを使おうと当てにするだろう。会計でも、取引が認識されると、その後の(他)人の行動に大きな影響を与える。だが、その売上や仕入が、もし間違っていたら?

 

幻視の場合は、患者ご本人が大変怖い思いをして、周囲が異常と思うような行動をとる。その結果、家族の信頼関係に重大な傷をつけかねず、ご本人も、ご家族も、辛い思いをされる。会計の場合は、それを見た人が実態を誤解して誤った対応をすることで、問題を複雑にする。例えば、売掛金が滞留してお客様に催促したら、「あの問題が解決するまでは払わない」と態度を硬化させてしまったとか、原材料の欠品で製造ラインが止まり、多額の仕掛品の品質劣化を生じたなど。

 

改めて、認知・認識は大事だな、と思った。しかし、認知症は病気だし、望まなくてもなるときにはなってしまう。会計上の間違いも、人のやることだから“絶対間違わない”ということはない。(なかには、わざとやる人もいるが。)

 

 どうすれば認識を間違えないだろうか。まあ、今まで何度も繰り返してきた問いだな。答えはない。

 

そんなことを考えながら、見ていた。

 

番組は、早く正しい病名が与えられれば、まず家族が安心する(病気だと思えば信頼関係に傷を付けずに済む)、症状を緩和させる治療もでき、本人も落ち着く。だから、この新しいタイプの認知症の特徴を頭に入れておき、正しいところで診察を受けましょう、と進み、最後に、幻視が起こってしまった時の、ご家族やご本人の対処方法の紹介に入った。そこで、上記の暗闇で人影を見る方は、次のようなことを言われていた。

 

 「人が見えたら、触りに行く。触れないと分かると人影が大人数でもパッと消える。」

 

なるほど。「見えているのに触れない」という矛盾を突き付けると、ようやく脳が理解して、幻視を消すのか。勇気がいるが、これは面白い。「人が見えるなら、手で触れるはず」というのは当然のことだが、いざ、そういう場面に出くわしたら、なかなか実行できない。しかし、病気が原因と分かっているからできるのだろう。

 

さて、会計ならどうなるか。本質を理解して、その本質を利用した思考実験をしてみる、ということだろうか。例えば、売上なら、顧客が満足してない売上はNGだ。果たして顧客は満足しているだろうか、と頭に浮かべれば、まだやるべきことが残っていると気付くかもしれない。仕入も、仕入れたものは当然使われると思えば、検収があがっているか、現場の報告を確認するかもしれない。

 

 そうか、大事なのは本質を理解することだ。本質を理解していれば、矛盾を感じとることができる。

 やはり、会計基準は、本質を大事にする原則主義だな。細則主義で形式ばかりを追っていたらダメだ。

 

そんなことを思ったが、実際にはIFRSでも基準本体は、手続き面の記述が多く、本質云々は書いてなかったりする。例えば、リースの公開草案では、タイプAやタイプBがなんであるかの記述はなかった。むしろ、本質を知りたいのであれば、「結論の根拠」を読んだ方が良い。そこには、何故そういう規定にしたのかが書いてある。日本基準でいえば、「結論の背景」がそれに当たる。基準本体より分量が多いこともあるので、読むのは大変だが、結局、“理解の効率”でいえば、基準本体を上回る。

 

ということで、ためしてガッテンの「気づいて!新型認知症 見分け方&対策大公開」を見て、僕は「結論の根拠が大事」にガッテンした。さすがに、このポイントでガッテンしたのは、日本で僕一人だろう。いや、あと2~3人はいるだろうか。単に“変わり者”というに過ぎないが。

 

« 294.【リースED】ゴルフの反省とこのシリーズのまとめ | トップページ | 296.【CF DP'13】「概念フレームワークのディスカッション・ペーパー」シリーズ開始 »

IFRS全般(適正開示の枠組み、フレームワーク・・・)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/577176/58310162

この記事へのトラックバック一覧です: 295.「結論の根拠」にガッテン:

« 294.【リースED】ゴルフの反省とこのシリーズのまとめ | トップページ | 296.【CF DP'13】「概念フレームワークのディスカッション・ペーパー」シリーズ開始 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ