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2013年11月27日 (水曜日)

314.CF DP-15)会計上の不確実性~次回から目的適合性へ

2013/11/27

どうもIASBは、IFRSの品質や自らの役割を方向転換をしようとしている気がする。それがこの不確実性の扱いに表出してきたのではないだろうか。例えば・・・

 

1.「IFRSは高品質」は大丈夫か?

 

現行の概念フレームワークは「将来の経済的便益の蓋然性」というタイトルを付けた文章(4.40)で、次のように言っている。

 

蓋然性の概念は、ある項目に関連する将来の経済的便益が企業に流入すること又は企業から流出することについての不確実性の程度に言及するために、認識規準において用いられている。この概念は、企業が活動する環境を特徴づける不確実性と一致する。

 

IASBは“経営上の不確実性”と“会計上の不確実性”の強い結びつきを絶とうとしている。経営の難しい部分を会計から切り離してしまえば、会計規準はその分シンプルになるし、開発も容易になるに違いない。原則主義を貫くために、それが必要と考えたのだろうか。

 

だが、これによって経営における会計の役割が、そしてその会計を司るIASBの役割が縮小されることになる気がする。それは「経営実態を映す鏡である会計」の品質に悪影響を与えるのではないか?

 

また、現行の概念フレームワークには、「資産の定義に該当し、認識規準をクリア(=信頼性をもって測定できる+一定の蓋然性がある)」すれば資産計上することとしているが、このディスカッション・ペーパーでは、これから蓋然性の基準を除去して、個別基準ごとに定めることが提案されている。個別規準を開発する際の自由度は高まるが、同時に個別規準間のばらつきを防いだり是正することが行いにくくなる。すると、IFRSの統一感が薄れていく気がする。すると経営だけでなく、一般の財務情報利用者にも良い影響はなさそうだ。

 

IASBが何をもってIFRSを“高品質”と言っていたのか、僕は良く知らない。しかし、僕が「IFRSは高品質」という言葉にイメージしていたのは、この個別規準を貫く横串がしっかりしている点が大きかったように思う。IASBにとっては仕事がやりやすくなるかもしれないが、この提案が実行されたら、“高品質”の格付けは下がるのではないか?

 

 

2.個別規準において燻る異論を鎮め、議論を決着をさせたいという意図は良いが・・・

 

例えば、のれんの資産性や償却・非償却問題、研究開発費の資産性、デリバティブの資産・負債認識に関する議論など、まだまだ異論が燻る色々な問題がある。このディスカッション・ペーパーには、これらの議論に決着を図ろうとするIASBの積極的な意図を感じる。それは良いと思う。しかし、その方法が、「目的適合性のあるなしは、IASBに判断させてくれ」、即ち、「IASBにもっと権威をくれ」ということでは、本当の解決にならない。

 

特に、下記の状況では、IASBに権威付けする以前に、もっと一般の議論を盛り上げることの方が重要と思う。

 

・IASBが「信頼性をもって測定ができるかできないか」については既に企業から取上げている状況(=個別規準の中で決めている)で、さらに「重要性」の判断も企業から取上げる提案をしている。これは、作成者にとって限界的なところ(=コストをかけてもあまり価値のないところ)の手間を増やすことになるように思う。

 

・市場価格要素の変動による測定値の不安定性(これは利益額の変動を増幅させる)を財務諸表の利用者が良く理解していないと作成者である企業が不安を感じているのに、IASBがそれを改善できていない(これは前回11/25の記事の純利益と包括利益の問題のこと)。これは、IASBが思っているより重要な問題ではないかと思う。

 

上記の1と2を合わせると、IFRSの品質は下がるのに、IASBにはより大きな権威を与えることにならないか? IASBにそのつもりはなくても、結果はそうなる気がする。

 

 

同じことを何度も繰り返し書いているように思われる方が多いと思う。特に前回との重複箇所は多い。僕もそう思っているのだが、それは、僕の頭の出来が良くないので、まだ考えがまとまらずにいるからだ。でも、突破口は「目的適合性」をもっと深掘りすることにあるような気がする(これもすでに書いたかも)。ということで、次回は、そこへ向かいたい。

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