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2013年12月19日 (木曜日)

319.DP-CF19)会計上の不確実性~ある件の監査人側のミーティング

2013/12/19

売上の実態があるのかないのか、会計処理はどのように修正されるべきか。現在であれば、内部統制報告書制度や内部統制監査制度があるし、このブログでも基準の検討段階で話題にした「監査における不正リスク対応基準」もある(2012/10/20の記事)。したがって、これから記載する経緯・顛末は、現在のみなさんの感覚とは少々違うかもしれないが、ご容赦願いたい。また、繰返しになるが、脚色についてもご了解願いたい。

 

それでは、前回(12/17の記事)の続きへ進もう。まず、監査人側の4人(主任、パートナーA、B、僕)のミーティングはどうだったか。

 

最初に主任が説明を行った。前回記載したような契約書の回収条件や取引内容が異常さ、それに対する会社の説明、業績に与えるインパクト、経営環境等々。次に、細かい点への質問がパートナーA、Bから寄せられる・・・と僕は予想していた。しかし、そうならなかった。なんと、この会社と最初からずっと付き合ってきたパートナーBが口火を切って、「これはおかしい。売上取消だ。」と言ったのだ。続いて、僕の上にサインしていたパートナーAもこれに同調した。

 

僕は、もし売上に実態があれば、売上をそのままにし、貸倒引当金を追加計上することも考えられるので、売上に実態があるかどうかについてもっと突っ込むべきという主張をしたが、退けられた。そして結論としては、次のような方針で会社とのミーティングに臨むことになった。

 

 ・とりあえず、売上は否定する。

 ・その後は、相手先からの入金に応じてその都度売上計上する(現金主義?)。

 

みなさんは、もしかしたら「随分ラフだな」と思われたかもしれない。しかし、パートナーBも会社のこと(製品とその特長、経営者の性格や会社の体質等)を良く知っていたし、前回の記事でみなさんも感じられたかもしれないが、この件は、取引自体も経営環境も不正の特徴を色々備えていた。前回の記事の①のケースに該当し貸倒引当金を追加計上する方が正しいという可能性があっても、②の売上を取消す修正をした方が、会社にとっても投資家や債権者といった利害関係者にとっても、財務状況を理解するうえで害が少ないと判断された。加えて、正確に事実関係を把握し、その上、回収不能見込み額を見積って貸倒引当金を計上していては、決算発表や四半期報告書の提出の遅れにつながる可能性があるなど、反って弊害があると考えられた。その代りに、経営者が、投資家や債権者から業績改善の厳しい要求を受け続けることになったとしても。

 

「それにしても、現金主義で売上計上することになったら、それはそれで会計基準違反ではないか?」と思われた方もいるかもしれない。そういう方は鋭い。そう、当たり前だが現金主義は発生主義ではない。しかも十分に重要性のある取引だ。もしこの取引に実態があって、「入金の都度売上計上」が現金主義なら、我々は会計基準違反の処理を会社に提案することになる。②の可能性が高いと考えているとはいえ、これも確かに問題だ。

 

ということで、この点については、会計上の不確実性の本質に絡む重要な問題として、あとからもう一度取上げることになる。次回は、これを受けた会社とのミーティングから。

 

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