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2014年2月24日 (月曜日)

340.【番外編】アベノミクス vs.リコノミクス

2014/2/24

WSJ2/19の記事によれば、内閣官房参与の本田悦朗氏は、「日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだ」と、アベノミクスの背後にある目標を語ったという。(「ナショナリスト本田悦朗氏がアベノミクスで目指す目標」無料記事)

 

本田氏といえば、昨夏、デフレ脱却のためには消費税率を一挙に上げるのではなく、毎年1%ずつにするのが良いと主張していた安倍晋三首相の側近だ。その側近の発言としては率直過ぎる内容だが、20日、本田氏はWSJに「あまりにもバランスを欠いた記事だ」と抗議し、記者団には発言を否定したという(「本田参与、米紙に抗議」無料記事)。ちなみにWSJは、23日に上記の記事を書いた記者を、WSJ日本版編集長の小野由美子氏が直接インタビューした記事を掲載し、暗に、この記者がおかしな人ではないことを示した(【現地記者に聞く】WSJ中国通コラムニストが語る日中関係 無料記事)。

 

軍隊を強化するために経済を強くするというのでは、明治時代の「富国強兵」と同じだ。何やらきな臭いし、進歩もない。それより、中国が不良債権問題の破裂を防ぐか(リコノミクス)、日本が経済再生に成功するか(アベノミクス)の競争ではないか、と僕は考えていた。

 

この競争は、恐らく日本に分がある。日本のバブル崩壊を考えても、過去の世界経済史を考えても、いったん発生したバブルを混乱なく納めるのは至難の業だからだ。ただ、日本に不利な面もある。それは、中国バブルが崩壊すると、日本経済にも大きな悪影響があるので、経済再生も、その前の改革も、難しくなる可能性がある。つまり、アベノミクスには、中国バブルが崩壊する前に、後戻りできないところまで改革を進めておかなければならないという期限がある。

 

中国については、昨年末あたりから、中国の企業債務、地方政府の債務が経済規模に比べて大き過ぎるという記事が目立ち始め、今年に入っては、みなさんもご存じのように、シャドー・バンキングが綻び始めた。景況感を示す経済指標(PMIなど)も、今年に入って悪化が目立つ。景気が悪化すれば、借金の返済が滞る。もしかしたら、中国は景気浮揚策として、また大規模な投資を始めるかもしれない。さもなくば・・・。投資主導経済から消費主導経済へというリコノミクス改革は、ますます難しい局面に差掛ってきたようだ。

 

日本はというと、ロイターの下記の記事がちょうど良い。昨年10月から12月の第4四半期のGDP統計が期待外れというニュースが流れて以降、目立ち始めた論調だ。

 

コラム:ぐらつくアベノミクス「3本の矢」 無料記事

 

どうやら、アベノミクスの第3の矢は、国の予算編成に合わせて年に1回だけ検討されるらしい。つまり、チャンスは年に1回しかないようなのだ。「期限があるのに、そんな悠長なことで良いのか?」と僕は思うが、みなさんはどう感じられるだろうか。勇ましいことを言っても、政治家は官僚の仕事のペースさえも変えられない。第3の矢は、的に当てられないどころか、放つこともできないかもしれない。

 

当たり前のことだが、企業は自らの力で前途を切り開くしかない。政治や政府に期待を持ったのは間違いだったかもしれない。税金も、たくさん払っても無駄になるから、最小で済むように考えた方が良い。法人税率引き下げは賛成だし、消費税率引き上げには反対だ。そして、巨額の国債は、民間の力で景気を良くして返済していこう。(今回はちょっと反動的な記事になった。)

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