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2014年2月25日 (火曜日)

341.DP-CF31)会計上の不確実性~自己創設の「のれん、無形資産」

2014/2/25

ソチ・オリンピックも、終わってみればあっという間だった。その中に、長い競技人生がギュッと凝縮された数々のドラマがあった。スポーツは記録や得点も大事だが、プロセスを楽しめるのが良いと改めて感じた。

 

さて、前々回(2/18 の記事)に示した着眼点に従って、前回(2/20 の記事)は、進行基準売掛金について考えてみた。すると今回は、のれん関連(自己創設のれんと自己創設無形資産)がテーマになる。これで話が完結できれば、この「会計上の不確実性」というテーマは、目出度く今回が最終回になる。が、はたして・・・

 

 

前々回は、IFRS3号「企業結合」の規程を参考に、次の2点が心配だとした。

 

・果たして両者(自己創設の、のれんと無形資産)は簡単に区別できるか。IFRS3では、識別可能なもの(大雑把に、「分離可能なもの、法的権利に起因する他の一般企業より有利なもの・状況」)が無形資産として認識・計上される。

 

・認識された資産は公正価値による測定が想像される。しかし、重要性(開示によってコストを上回る便益を得られるかどうか)の判断を企業が行えないのは適切か。

 

この2点を心配した理由を記載しよう。

 

M&Aの際は、(理想的には)これらの評価作業(認識・測定)を買収調査で行い、買収価格を決める際の参考にすることができる。ただ実際には、調査対象や方法・期間の制約があって、買収前に十分な調査を行うことは難しい。しかし、事後的であっても、買収後のシナジー効果を最大限発揮するための事業計画の策定に当たって、或いはその精緻化や実行に当たって、必要になる作業だろうと思う。財務諸表に計上するために調整作業が追加されるかもしれないが、基本的には企業自身もメリットを感じられる作業が多いと思う(現実には行ってない会社が多いと思うが、買収を成功させる確率を高めるには必要と思う。また、日本基準も既に同様の内容で改定がされている)。

 

しかし、自己創設の場合も、これらの識別・評価作業が必要だろうか。もし必要でない作業を、財務諸表を作成するためだけに行うとすれば、重要性の問題が発生する。しかし、このディスカッション・ペーパーにおいては、IASBはそれを企業に判断させないスタンスだ。規準で指定したものすべてについて、これらの作業が強制されることになる。

 

また企業買収時には「後で慌てないように」という意識が強く働き、なるべく第三者的に、即ち、客観的に対象を評価することが多いと思うが、自己創設の場合はどうだろうか。業績に問題のある事業を立て直そうというなら、手間をかけてやるかもしれない。しかしそんな限定はない。すべての事業が対象だ。僕は、会計のためだけに行われる評価作業を信用しない。そこに“経営に役立つからやる”という動機がなければ、たとえ最初は良くても、やがては形骸化し、或いは、悪用され、社内外の財務諸表利用者に損害を与えると思う。単にコストどころの問題ではない。

 

 

ただ、心配だけではない。実は、若干、期待もある。

 

このような作業は企業が自分の姿を客観視する良いきっかけになる可能性があると思う。経営者、事業責任者、部門責任者、そして一般の社員。それぞれのレベルで、もっと自分の組織を客観的かつ定量的イメージで捉えられるよう、評価する機会があった方が良いと思う。

 

例えば、下記の記事は大変参考になる(但し長い)。

 

日本のDRAM、「安すぎる」と非難され、やがて「高すぎて」売れなくなる
(日経
BP 2/20 西村吉雄氏 全10ページ ID登録が必要)

 

8ページ目に、それまでの強みだった高品質(だけど高コスト)の物づくりが、韓国のメーカーに負けた理由が書いてある。主観的な分析しかなされない成功体験とは怖いものだ。

 

鎖国のときは栄え、開国したら衰退 市場のグローバル化で精彩を失った日本のパソコン

(日経BP 2/6 西村吉雄氏 全6ページ ID登録が必要)

 

こちらは、摺合せ技術とモジュール化技術の話だ。どちらが良い悪いではなく、ケース・バイ・ケースの使い分けが必要だ。それには、顧客が欲しがるものと自社の得意分野(や苦手分野)の距離を客観的に測り、それを埋める戦略を立案できることが必要だ。

 

顧客(他社、他者)からみて、自分の会社がどう映っているのか。具体的に、どこにどれぐらいの価値があるのか。これは人でも難しいが、組織でも難しい。しかし、重要なことだ。その分析にもっとコストをかけてもよいのではないか。というか、それが必要なケースが意外と多いのではないだろうか。

 

とはいっても、ん~、会計規準で解決できる話ではない。経営上の必要性を感じて試行錯誤を続けていく、そんな話だ。一定のパターンがあって、常にそうすれば良いなどと思った瞬間から、顧客の感覚とずれていく。会計規準に書き込めないところに真髄がある。

 

ややっ、もしかしてその真髄とは経営上の不確実性とかなり重なるものではないか。そしてそれは会計上の不確実性とも・・・

 

 

ということで、今回は中途半端な感じで終了する。このシリーズはまだ続くが、大丈夫、オリンピックも終わってみればあっという間だった。みなさんにはご辛抱いただき、もう少しお付き合い願いたい。

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