343.企業会計基準委員会(1/27、2/7)、クリミア半島(余談)
2014/3/3
今日はひな祭りだが、ご存じのようにウクライナはキナ臭い状況になっている。ひな壇に行儀よく納まっていると大怪我をしそうな感じだ。
さて今回は、1/27、1/7 に開催された企業会計基準委員会(ASBJ)の webcast を視聴したので(いずれの日もIFRSに関連しそうなところのみ視聴)、その報告を簡単にしよう。ポイントは次の2点だ。
・1/27の日経の朝刊に報道されたのれんの非償却化について
この時点では、未だ、そのような話は聞いていないということだった。2/7 については、視聴した範囲では具体的な言及はなかった。また、日本版IFRSの検討を行っている作業部会の報告では、2/7 はのれんの償却に関する検討が時間切れでできなかったそうだ(時間切れ? ん~、何かあったのだろうか)。
・IASBのリース会計基準の開発状況
このブログでも取上げたリースの2013公開草案(以下 ED)には、600ものコメントが寄せられ、IASB(とFASB)では、大幅な変更が検討されているようだ。方向性としては、従来のオペレーティング・リースの会計処理(いわゆる賃貸借処理)を適用できる範囲が広がるようなので、根本的な方針変更と考えてよさそうだ。詳細は、また別の機会としたい。
ところで、余談だが、話をウクライナに戻させていただきたい。
2/22 にヤヌコビッチ氏が大統領を解任され逃亡したのも、あまりに急展開で驚きだったが、2/27 に南部のクリミア半島で武装したロシア系住民(もしかしてロシア軍?)が議会など主要施設を制圧したというのはもっと驚きだった。すでに幹線道路の検問まで実施しているという。これは、あまりにタイミングが良いし、なんてスムーズなんだろう。3/1 にはロシア上院が軍事介入を承認している。
同じ黒海沿岸でクリミア半島の東南東方向にあるソチでは、オリンピックが 2/23 まで開催されていたが、その裏で綿密な“リスク管理計画”が練られていたのかもしれない。
クリミア半島の住民、即ち、クリミア共和国(ウクライナに属する自治共和国)の住民の6割はロシア語を話すロシア系住民という。次に多いのはウクライナ系で2割程度。このクリミアの地は、15 世紀にタタール人(モンゴル系・イスラム教徒)の国となり、オスマン帝国を後ろ盾としてロシアやウクライナへ侵略・略奪(奴隷狩り)を繰返したようだ。しかし、オスマン帝国が帝政ロシアに敗れると一転してロシアに併合され、それ以降のロシア系・ウクライナ系住民の大量移住と、タタール人への迫害で、今やクリミア・タタール人の人口はわずか十数パーセント程度だという。モンゴル帝国以前も、色々な民族が入替り立代り征服していたので、とても複雑な歴史を持つ土地だ。(以上、Wikipedia のクリミアやタタール関係の数項目を参考にして記載した。)
欧米は、ウクライナを分断させてはいけないと言っているが、ロシアは分割したいらしい。最も重要なのは住民の意思だが、上述の通り、ロシア系、ウクライナ系、クリミア・タタール人が入り乱れており、それぞれ他の民族に対して複雑な、或いは、厳しい感情を持っている。多数派のロシア系に他の民族が従うとは思えない。もともとクリミア・タタール人は民族意識が強く、クリミアを「第二のチェチェン」と称するような状況もあるらしい。では内戦か。或いは、クリミア共和国国内やウクライナ国内に留まらず、NATOやロシアを巻き込む戦争になるのか。ウクライナがこれからどうなるか予断を許さない。
これに比べると、東アジア情勢は単純に思えてくる。とはいえ、日本と大陸・半島の間にも、2度の元寇、豊臣秀吉の朝鮮出兵、それから明治以降の戦争がある。もし、ウクライナが3者の共通の利益を探し出すことに成功し、迫害や暴力なしにクリミアを納められたら、日中韓にも道があると思えるような気がする。そう考えると、遠くユーラシア大陸の反対側の出来事も、関心を持ってみられるし、上手く納まって欲しいと願う気持ちも強くなるように思う。
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