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2014年5月30日 (金曜日)

366.CF-DP49)純損益とOCI~リサイクリングの3アプローチ(IASB)

2014/5/30

収益認識規準は、予告通り IFRS15として 5/28 に公表された。早く日本語で見たい。

 

キプロス戦は、ご存じのとおり 1:0で SAMURAI BLUE が勝利した。僕はバック・スタンドで観戦、応援したが、気になったのは本田選手。鹿児島キャンプがハードだったそうだが、パスやシュートの精度など、精彩を欠いたように感じだ。但し、老眼には5階席は遠すぎる。他の選手と見間違えている可能性がある。(そろそろ老眼鏡が必要か?) 一方、長友選手はポジション的に見分けがつきやすい。1:1は頼りになる。さすがだ。しかし、セリエAでは長友選手に対して相手ディフェンスは2人で対応することが多いが、キプロスはそういう感じではなかった。それでも長友選手を得点に絡ませなかったから、キプロスの守備の固さは想像以上と感じた。それから、大久保選手にはスタンドが盛り上がる。愛されてるなあ、と思った。

 

 

さて、本題に入るとしよう。

 

このディスカッション・ペーパー『「財務報告に関する概念フレームワーク」の見直し』(以下、DPと記載する)では、純損益とOCIの区分を行うために、リサイクリングの考え方の整理を大変重視している旨、このシリーズの前回(5/22 の記事)に記載した。今回は、そのIASBの整理を紹介させていただきたい。

 

IASBは、12A2B という3つのアプローチを、橋渡し項目、ミスマッチのある再測定、一時的な再測定という3種類の会計事象をOCIに計上し、リサイクリング対象とするかどうかという観点で説明している。この関係を図にすると以下のようになる。

 

                               
 

アプローチ

 
 

OCI として扱う項目

 
 

リサイクリング対象項目

 
 

特徴等

 
 

 1

 
 

 ------------------

 
 

一切、リサイクリングしない。

 
 

リサイクリングを否定するアプローチ。純利益の表示を否定する考え方と親和性がある。

 
 

 2A

 
 

橋渡し項目

 

ミスマッチのある再測定

 
 

橋渡し項目

 

ミスマッチのある再測定

 
 

このアプローチの特徴は、OCIに計上したものはすべてリサイクリングして最終的には純利益に計上するとしている点。逆にいえば、リサイクリングすべき項目のみをOCIに計上する。

 
 

 2B

 
 

橋渡し項目

 

ミスマッチのある再測定

 

 

 

一時的な再測定

 
 

橋渡し項目

 

ミスマッチのある再測定

 

 

 

一時的な再測定の"一部"

 
 

このアプローチの特徴は、リサイクリングしない項目(=一時的な再測定)もOCIに計上する点。その分、OCI項目の範囲は広い。一時的な再測定に該当するか否か、及び、該当する場合にリサイクリングの対象とするか否かの判断をするために、IASBの裁量を広げることになり、利用者や作成者などにとっては複雑性が増す。

 

 

(アプローチ1 について)

 

このアプローチは、IASBの予備的見解と両立しない。即ち、IASBは、このアプローチを採用しないとしている。恐らく、IASBのこの意見に同意するとのコメントをもらいたくて、DPに記載したと思われる。それだけ、純利益やリサイクリングを否定する意見が有力ということだろう。

 

参考までに、このアプローチをサポートする意見を紹介しておく。

 

  1. リサイクリングをなくすと複雑性が減少する。例えば、リサイクリングは当期に係る収益及び費用を不明瞭にする場合がある。

 

  1. 収益及び費用のすべての項目が包括利益計算書に1 回だけ認識されるので、財務諸表の理解可能性が高まる可能性がある。

 

  1. 組替調整額は収益又は費用の定義を満たさない場合がある。

 

  1. 純損益が利益操作の影響を受けにくくなる。

 

D の“利益操作”は、主に“利益の平準化”(英語ではスムージングというらしい)を想定したものと思われる。例えば、純利益を増やしたいときに、OCIに評価益を計上していた投資株式を売却するような益出し取引を指す。

 

(アプローチ2A2B について)

 

これらを採用した場合は、純利益の表示も必然になる。

 

橋渡し項目やミスマッチのある再測定については内容が明確であり、IASBはその内容に従って個別規準を開発する。しかし、一時的な再測定については、輪郭がぼやけているので、IASBが各個別規準の開発時に判断することになる。

 

 

純利益を表示することに目的適合性があればあるほど、リサイクリングを行う意味も高まる。では、純利益の目的適合性とはなんだろうか。IASBは、純利益を「企業が自らの経済的資源に対して得たリターンに関する主要な指標」と考えているようだ。具体的には、純資産利益率(ROA)とか、(ネットの資産という意味で)純資産利益率(ROE)として利用できるような純利益を表示したいということだろう。これらの指標は、企業が将来どれほどのリターンを稼ぐかを予測するのに役立つ。

 

逆にいえば、こういう目的にそぐわない項目をOCIへ追い出したい、また、OCIからリサイクリングすることで、純利益の目的適合性が高まるようにしたいということでもある。しかし、まあ、これだけでは漠然とした話だ。こうなると“橋渡し項目”、“ミスマッチのある再測定”、“一時的な再測定”とは何ぞや、ということになるが、それは次回に譲りたい。

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