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2014年7月10日 (木曜日)

375.CF-DP58)純損益とOCI~一時的な再測定“OCIに計上される有価証券の公正価値の変動”の後半の前半

2014/7/14 (またしても)訂正です。赤字部分をご覧ください。

 

2014/7/10

前回(7/2 の記事)は、連日の訂正でお恥ずかしい限りだ。ちょっと難しくなるとミスばかりで大変申し訳ない。7/2 放送のためしてガッテン(NHK)で、らっきょうが美味いというので、早速、早採りのらっきょう(=エシャロット)を生で食べているが、確かに美味い。しかし、副作用もある。下の話で恐縮だが(食べ過ぎると)大量のおならが出る。しかも、スーツのズボンが破けたようなしっかりとした音がする。幸い臭いはほんのりだが、恥ずかしい。それぐらいの恥ずかしい気持ちだ。申し訳ない。

 

さて、今日のテーマは「有価証券関連損益の純損益とOCIの区別」であり、前回(7/2 の記事)記載した通り、IFRS9号の 2012 年公開草案(以下、IFRS9.2012ED と記載)をベースに検討する。但し、これも前回記載した通り、このDP(“ディスカッション・ペーパー「財務報告に関する概念フレームワークの見直し」”)は、この公開草案ではなく現行のIFRS9号をベースにしている。

 

まずは、前回の復習を。

 

前回は、IFRS9.2012ED に提案されている分類方法、測定規準、P/Lの表示区分を表形式に記載した。その結果、

 

 純損益を通じて公正価値の変動を認識するもの

 

 純損益を通じて償却原価で測定するもの

 

 OCIを通じて公正価値の変動を認識するもの

 

の3種類にまとめられることが確認できた。これは一見、日本基準の売買有価証券、満期保有目的債券、その他有価証券の分類に似ているようだが、実際に分類してみると、以下のように、全く異なるものになりそうだと記載した。

 

・分類方法にビジネス・モデルが加わったので、満期保有目的債券は非常に限定される。

 

・日本基準では、消去法的に“その他有価証券”へ分類される有価証券が多いが、IFRSにおいて消去法で残るのは①であり、①が多くなることが予想される。

 

そして、さらにもう一点、純損益とOCIの区分に関連する大事なことがある、これにはリサイクリング禁止の問題も絡んでくると記載して、今回へ繰越した。

 

ここでもう一点確認しておこう。これも何度か記載したが(例えば 6/19 の記事など)、今回このテーマを検討するためにとても重要な「このDPにおけるIASBの純損益についての考え方」だ。簡単に要約する。

 

純損益は、“資産が生み出すリターンを示す主要な指標”であり、財務情報の読み手の予測可能性を高めるものでなければならない。

 

ん、あまり簡単ではなかった?

 

本当はもっと簡単に「純損益は企業業績」と書きたいが、IASBがこういう表現を否定している(5/21 の記事)ので、どうしてもまどろっこしくなってしまう。だが、IASBの主張も取入れつつ、もう少し工夫してみよう。

 

企業業績は、財務諸表全体から読み解くものだが、最も重要なのは純利益である。

 

どうだろうか。

 

 

というわけで、ようやく前置きが終え、今回の本題に入る。前回末尾に記載した“残るもう一点の問題”とは、僕が感じた次のような疑問だ。

 

損益がOCIに計上される有価証券(上記③)は、企業にとって価値があるのか?

(しかも、企業の意思で指定する部分については、リサイクリングが禁止されている!!)

 

即ち、「企業は有価証券を③に分類するだろうか?」という疑問だ。

 

ちょっと説明を加えると、このDPにおけるIASBの考え方では、純損益に計上された評価損益や売却損益は、その有価証券の保有や売却などが企業業績に寄与し得ることを示している。逆にいえば、OCIに計上され、リサイクリングも禁止されている③の有価証券(企業が指定する部分)は、企業業績へ寄与する機会を奪われている。こんな有価証券を企業が持とうとするだろうか?

 

そんな資産の存在意義を株主にどう説明するか? いや、説明以前に③の有価証券も、減損損失は純損益に計上される。リスクのみが業績として表現される資産だ。そんな危ないものを積極的に持とうとしないのではないか。

⇒この赤字・斜体部分の記載は間違い。③のように、その公正価値変動がOCIに計上されようとも、公正価値で測定されるものに減損は適用されない。減損は原価主義のもの(金融商品の場合は“償却原価”)へ適用される。

 

では、IFRS9.2012ED において、どのような有価証券が③に分類されるのか見てみよう。参考までに、現行のIFRS9号についても併記する。

 

 (③ OCIを通じて公正価値の変動を認識するもの)

 

______現行IFRS9号______  ______IFRS9.2012ED______ 

A. 資本性金融商品(株式等)で企業が指定...A. 同左

 したもの5.7.5

 (リサイクリングは禁止されている)   

 (IAS39-AG56

 

       ――――――           B. 商品性の観点から②に該当しない負債性

....................... 金融商品(債券等)で企業が指定したもの

.......................(リサイクリングは禁止されている)   

.......................(4.1.2A

 

       ――――――           C. 商品性の観点からは②に該当するが、

....................... ビジネス・モデルの観点から②に該当しな

....................... い負債性金融商品の一部(企業の指定では

....................... なく強制。リサイクリングされる。)

 

非常に簡単に書いた(つもりだ)が、もっと大雑把に全体像をグッとつかむには、“企業が指定したもの”に着目するのがよいかもしれない。A B は、負債性であろうが資本性であろうが、“企業が指定した金融商品”の損益がOCIへ認識される。要するに、企業が望めばそうなるし、望まなければそうならない。そして、これらはリサイクリングが禁止されている。これらの資産は業績に寄与する機会が奪われている。

 

結局、OCIへの認識が強制されるのは、C に該当する場合のみだが、C について記載されたガイダンス(IFRS9.2012ED-B4.1.4A~)を見てみると、上記③ への分類が強制されるビジネス・モデルである“契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方の目的で管理するビジネス・モデル”も、あまり一般的でない特殊な状況が想定されている(契約上のキャッシュ・フローを回収するだけの金融商品を対象に、支出時期が想定されている設備投資資金枠の管理や金融機関の流動性リスク管理が行われる場合など)。なお、「利息収入を回収することが有利なうちは債券を保有するが、値上がりして売却した方が得になれば売却する」という運用管理や、日常的な資金繰り管理は、基本的にキャッシュ・フロー収入を最大化する目的がメイン(契約上のキャッシュ・フローの回収は付随的な目的)ということで、③ではなく①に分類される(IFRS9.2012ED-B4.1.5)。

 

すると、やはり、企業が指定しない限り、③はあまりお目にかからないことになる。すると増々疑問が深まる。果たして、“業績に寄与しない資産”への分類を企業が指定するだろうか?

 

 

こんな疑問を感じていたところに、次の記事が目に入った。みなさんも、ご覧になった方が多いかもしれない。

 

「商社3社、前期純利益2204億円減 国際会計基準」7/1 日経電子版有料記事)

 

商社3社は、もともと米国基準で財務諸表を作成していたが、2014/3 期についてIFRSで作成したところ、純利益が大幅に減少したという。その大きな理由の一つが「有価証券の売却益を純利益に反映しない」ことだと報じている。(A の資本性金融商品の指定による)上記③に該当する有価証券の売却が多額だったということだ。記事では「持合い株などの売却を進めていた」となっている。すると、これらの会社は上記③の“業績に寄与しない資産”への指定を行っていたことになる。

 

そういえば、日本基準のその他有価証券は、時価評価による差損益について“資本直入”というP/Lを通さず直接資本の部にチャージする会計処理を行うが、こうなった理由は「有価証券の評価損益が、企業業績に影響するのはおかしいから」だった。ただ、日本基準では売却損益は純損益に計上される(資本直入部分は振戻され、売却損益を構成する)ので、その他有価証券が業績に影響を与えられない資産ということはない。売却すれば業績が変動する。しかし、IFRSではリサイクリングが禁止されているので、売却しても純損益に影響を与えられない。日本基準のその他有価証券とIFRSの上記③を比べると、“会計処理”及び“資産としての意味”が、重要な点で相違すると僕は思う。

 

商社3社は「持合い株などを上記③に指定していた」というストーリーで、2014/3 期をIFRSで開示したが、これらの会社は米国基準からIFRSへの移行なので、普通の日本企業が経験するであろう日本基準からIFRSへの移行とは事情が異なり、その詳細は僕にはわからない。しかし、IFRS移行前に検討が必要な、次のような重要な問題点を投げかけてくれたと思う。

 

その他有価証券は、我社の事業とどういう関係があるのだろう。

 

資本提携のように、お互いの強みでそれぞれの事業価値を向上させて、Win-Winの関係になろうというなら、その株式の評価損益を純損益に反映させることは、より経済実態に忠実な業績の開示となりうる。また、取引保証金を提供する代わりに相手の株式等を取得し営業関係の継続を期待する、という程度でも、その営業関係が相手の業績や自らの業績に寄与するのだから、それらの評価損益を純損益に反映させる意味があるかもしれない。

 

しかし、そのような株式等の評価損益を純損益に反映させたくない、ということもあるかもしれない。特に個別企業の業績ではなく、マクロ経済要因で相場が大きく変動する場合は困ってしまう。それを嫌って、上記③に予め指定しておくという選択肢はあるが、その代り、“業績に寄与しない資産”を持つことになる。そういうものを持ち続ける意味があるのか、株主等にどう説明するのか、考えざるえないだろう。

 

また、株主総会の議事進行を安定させるためにお互いに株を持ち合おうというなら、これは業績には関係ない話だ。③に指定すればよい。但し、会社法の企業統治制度の趣旨に反する行為と非難されるかもしれないから、その覚悟と準備が必要だ。

 

それと、もう一つ。以上の結果、僕は、①の純損益を通して公正価値の変動を認識する金融商品への分類が増えると思うが、しっかりキャッシュ・フローを稼げる管理体制になっているかどうか、なっていないなら、そういう資産を持たない選択肢も検討した方が良いと思う。多分、片手間や中途半端な管理体制はリスキーだと思う。

 

 

ちょっと横道に逸れてしまった。冒頭述べたように、今日のテーマは「有価証券関連損益の純損益とOCIの区別」なのだから。問題は、なぜ、企業が指定する A B のパターンはリサイクリングが禁止され、強制分類される C は逆にリサイクリングが要求されるのか。これが、“純損益とOCIの区別”に関係するはずだ。

 

えっ、これから本題というのでは、長文過ぎる?

 

そっ、それもそうだ。それでは、今回は、有価証券の公正価値の変動の“後半”というタイトルにするつもりだったが、“後半の前半”へ変更することにして、続きは次回に繰越したい。

 

 

ところで、この記事が公開されるのは、オランダとアルゼンチンが準決勝を戦っている時間帯だが、昨日は、ネイマールとチアゴ・シウバという攻守の中心選手を欠いたブラジルが、ドイツに記録的な大敗を喫した。ドイツの勝利には納得だが、大味な、残念な内容の準決勝になった。

 

この原因の一端を作ったのは、コロンビアのスニガ選手だ。ネイマール選手に負傷を負わせたこの選手は、「悪意はなかった」と弁明しているし(MEGABRASIL 7/5)、FIFA による追加の処分もない(NHK 7/8)が、どうだろうか。この MEGABRASIL にも写真が掲載されているが、この選手がしたことは、“キックの鬼”と呼ばれてアニメの主人公にもなった昭和のキックボクサー、沢村忠氏の必殺技で、いわゆる“真空とび膝蹴り”だ。決して偶然決まる技ではない、と僕は見ている。どうやら、FIFA は沢村忠氏を知らないらしい。

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