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2014年7月22日 (火曜日)

377.【第三の矢】ASBJ が日本版 IFRS の公開草案公表へ

2014/7/22

FIFAのW杯とその余韻に浸っていたら、ASBJの日本版IFRSの議論が終わってしまったらしい。近日中に公開草案が公表されるとのこと。ASBJのホームページで公表されている Webcast でフォローし、このブログでみなさんに紹介するつもりだったが、タイムリーに視聴できていない。そこで、以下の記事を紹介することで代えたい。(閲覧するには、日経の ID をお持ちでない方はその登録が必要かもしれないが、無料だと思う。)

 

「日本版IFRS」作業部会での議論終了、8項目の質問付きで公開草案へIT pro 7/18

 

ASBJは、この公開草案で“のれん”と“当期純利益とリサイクリング”に絞って、IFRSの修正を提案するようだが、本当はもっといろいろ注文を付けたかったに違いない。しかし、2点のみに絞ったのは、細かいことに目を奪われて(=細かい注文を一杯羅列することで)、IFRSが欠陥品のように受取られることを避け、各企業や投資家などに、もっと大きな流れに注意を払ってもらいたいと考えてのことではないかと推察する。細かいところで日本に合う・合わないの議論より、「日本がIFRS開発へ関与を強めていけるような議論が大事」との判断があったように感じる。もしそうなら(多分そうだと思うが)、前向きな考え方だと思う。

 

 

そういえば、アベノミックスの“今年の第三の矢”には、面白い記述があった。ご存じの方が多いと思うが、首相官邸ホームページに掲載されている“「日本再興戦略」改訂 2014”(6/24付)の P32 P78 の2か所にIFRSが出てくる。前者はベンチャー支援(大企業によるM&Aなどの促進)に関連させてのものだが、後者は、そのものズバリの“IFRS任意適用企業の拡大促進”(「新たに講ずべき具体的施策」の一項目)だ。さらに、それに先立つ 5/23 付の自民党・日本経済再生本部の「日本再生ビジョン」の P42 では、強制適用についても触れられている。

 

「日本再興戦略」改訂2014の概要”を参考にまとめると、そもそも“第三の矢”は、次のようなものであるようだ。

 

・企業(財・サービス市場;農協をも含む企業の統治改革)

 

・労働者(労働市場;女性・働き方・外国人)

 

・投資家(資本市場;スチュワードシップ・コードの導入、GPIF 統治改革、成長資金)

 

といった経済学に出てくる主要プレーヤーに関する国際的な改革の流れを、遅ればせながら(そしてやんわりと)日本に取込もうとしているように見える(但し、主要プレーヤーとしては政府と消費者が抜けている。“政府改革”、例えば地方分権などがあると良かったが・・・)。加えて、個別の産業政策が掲げられている。そういう全体の流れを考えれば、会計規準の国際化として“IFRSの普及”が取上げられたのは、当然のことかもしれない。

 

 

それにしても、“日本の「稼ぐ力」を取り戻す”(上記“概要”の一番目の見出し)ために、“国際的な流れを取込むこと”がメインになった意味を考えさせられる。脳科学者の中野信子氏が「日本人には、新規探索性が強い遺伝子を持つ人が少ない」旨の発言を、NHKの番組でされていた気がする(「英雄たちの選択」の、確か北条正子の回だと思う)。きっと、変化を起こしたり望んだりせず、“現状維持”を求める人が日本人には多いのだろう。何を隠そう、僕もその一人だ。

 

しかし、現実は、「“現状維持”では現状維持できない」。

 

外部・内部の環境が変われば無理な話。台湾や韓国に加え、巨大な中国の台頭、米国プレゼンスの相対的低下といった大きな外部変化があり、かつ、内部的にも少子高齢化を迎えるなかで、日本が「今のままが良い」と言い張っても、子供の戯言にしか聞こえない。誰も耳を傾けてくれない。

 

現実を認識すれば、環境変化への対応が必要だと、即ち、戦略性をもって自ら変化する必要があると、新規探索性の弱い僕でも理解できる。もはや、遺伝子は関係ない。現実に乗り越えるべき問題があるのだから、対処しなければならない。もちろん、企業にしても同様だ。

 

“第三の矢”を見る限り、どうやら政治レベルでは、あの自見大臣の会見があった 2011/6 以前に巻き戻されつつあるようだ。加えて、上記の“概要”の冒頭の囲みには、次のような記載もある。

 

企業経営者や国民一人一人に、具体的な行動を促していく。

 

実際には、新規探索性の遺伝子が乏しくても、我々の祖先は数多くの困難を乗り越え、第二次世界大戦以外は、その対応に成功してきた。そして今でも、世界からイノベーティブと評価されている日本企業は多いらしい(2013/10/7 REUTERS2014/1/14 Gigazin(Forbes))。だが、失われた20年から脱するために、改めてその挑戦が必要となっている。大事なのは、自らの長所・短所を理解し、現実を受入れる覚悟だ。海外の良いものを採り入れるのに躊躇しているときではない。どうやら、“第三の矢”の狙いはどこか遠くではなく、我々一人ひとりの意識と行動へ向けられているようだ。

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