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2014年7月29日 (火曜日)

380.CF-DP61)純損益とOCI~ASBJペーパーとFASBペーパー

2014/7/29

みなさんもご存じのように、新しいサッカー日本代表の監督にメキシコ人のハビエル アギーレ氏が決定した。

 

サッカー日本代表新監督にアギーレ氏決定 NHK 7/24

 

ブラジルで日本が敗退したあと、ザッケローニ前監督の「日本選手のスピードと技術を生かした攻撃的スタイル」を否定する意見を多く目にしたが、JFA(日本サッカー協会)としては否定ではなく継承し、加えて、強豪相手にも踏ん張れるよう戦術の幅を広げられることを期待しているとのこと。ネットの情報では、アギーレ新監督は、“堅守速攻”で闘争心溢れるスタイルのチームを作って実績を残してきた人のようで、確かに期待できそうだ。

 

ところで、この数週間、“ポゼッション”vs.“堅守速攻”みたいな二項対立の解説や議論を多く見た気がするが、僕は、疑問を感じていた。単純な2項対立ではなく、それらを要素とするバランスの問題ではないかと思ったからだ。

 

例えば、スペインといえば“ポゼッション”の代表だが、スペインだって前からプレッシャーをかける守備が基本にあって、あっという間にゴールを奪うことがしばしばあるし、メキシコだってゴール・キーパーから攻撃を始めれば、時間かけて相手ゴールに迫る。同様に、日本もオランダやベルギー戦では、前線からのプレッシャーでボールを奪い、ゴール前でワン・タッチ・パスを素早く繋いでゴールを決めていた。

 

一つのパターンに固執せず、「相手や状況に合わせた臨機応変な戦い」ができる。これこそ、JFA が求めている日本代表の理想の姿なのだろう。そのためにザッケローニ監督の成果の上に、アギーレ監督のこれからの仕事が積上がることが期待されている。僕は、状況を冷静に認識する落ち着き、メンタルの強さが大事と思うので、アギーレ監督の“闘争心溢れるチーム作り”に期待したい。(僕は、落ち着きやメンタルの強さは、健全な闘争心から生まれると思っている。)

 

 

さて、ここまで純損益とOCIについて、まさに両者が二項対立するものとして、それらを区分する一線を探してきた。その材料として、IASBのディスカッション・ペーパー「財務報告に関する概念フレームワークの見直し」(以下単に“DP”と記載する)を見てきたが、このDP以外にも、ASAF(IFRS財団会計基準アドバイザリー・フォーラム)で披露された2つのペーパーがある。

 

ASBJペーパー;「純損益/その他の包括利益及び測定」

 

2013/12 のASAF会議へ提出され、そこで議論された。その内容は、2013/12/12 の企業会計基準委員会で報告され、ASBJのホームページに“審議資料(3)”として掲示されている。

 

FASBペーパー;「財務業績計算書での表示の改訂モデル:測定に対して生じる可能性のある含意」

 

2014/3 のASAF会議で議論される予定であるとして、2/24 の企業会計基準委員会で FASB(米国財務会計審議会)のペーパーが紹介されている。その内容はASBJのホームページに同日の審議資料“審議 (1)-2”として掲示されている。

 

このシリーズを始めた 4/29 の記事で予告した通り、上記2つを紹介して、この“純損益とOCI”シリーズを締めくくりたい。但し、それは次回以降となる。

 

 

でも、ちょっとさわりだけ紹介すると・・・

 

いずれも、ペーパーは開示されていないようで、僕は直接読んではいないが、開示されている審議資料から分かる範囲で紹介したい。現時点ではざっと視線を流した程度に過ぎないが、印象としては、ASBJは理論的にエレガント、FASBの方は利用者の観点からユニークな視点を提供しているようだ。

 

このDPの、なんとなく窮屈な議論に比べると、両者の主張は自由だ。IASBは既存のIFRSを無視できないので、窮屈にならざるえないのかもしれないが、それゆえに壁を越えられないでいるような気がする。二項対立している純損益とOCIは明確に異なるはずなのに、境界線をうまく表現できていない感じだ。一方、ASBJは二項対立というより、OCIを純損益に至るプロセスの一部と考えているようで、それゆえ、リサイクリングの必要性がすっと理解できる主張だ。FASBはさらに自由で、純損益とOCIに拘泥せず、他の区分損益(営業利益?)へ目を向けさせようとしている。

 

なお、ASBJペーパーについて、直ぐ知りたいとか、より正確・適切に知りたい方は、ASBJの前委員長の西川郁生氏が“季刊 会計基準”の 2013/12 号に、背景説明を含め4ページのコンパクトな文章を寄せている。ASBJのホームページにも、下記の場所に掲載されているので、ご覧いただきたい。

 

HOME > 『季刊 会計基準』>『季刊 会計基準』Pick Up 

(このページにある 43 号の“Chairman's Voice”をクリック)

 

 

 

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