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2014年8月28日 (木曜日)

389.【内部統制】緊急COSOセミナー Chairman Bob来日!

2014/8/27

トレッドウェイ委員会組織委員会チェアマンRobert B. Hirth(ロバート・ハース)氏と、プロティビティLLC最高経営責任者兼社長 公認会計士 神林比洋雄氏が、緊急セミナーを開催したので行ってみた。

 

興味を惹かれたのは、次の2点。

 

1.2つのフレームワークは併存する。

 

COSOキューブといえば、1992年に公表され、J-SOXでもお馴染みとなった内部統制と、2004年に公表されたリスク・マネジメント(Enterprise Risk Management:ERM)の2種類がある。ERMは内部統制の進化版で、いずれは内部統制がERMへ移行するのかと思っていたが、そうではない。両者は併存するのだそうだ。(ちなみに、これらは2013年に改訂された。その概要は、269. 2013/7/20 の記事。米国上場企業は、今年の1215日までに改定後のフレームワークを適用するようプレッシャーを受けている。)

 

なぜか? その理由はたいしたことない(と僕は判断した)が、両者の関係を説明したところは面白い。これに関する英語の資料(COSO Thought Paper 2014/2/10)は既に公表されているが、その翻訳を神林氏が鋭意作業中とのこと。

 

このCOSO Thought Paperのタイトルは、次のようになっている。規制対応ではなく、経営改善への効果が期待できそうだ。面白そうではないですか!

 

Improving Organizational Performance and Governance: How the COSO Frameworks Can Help

 

そこからキーワードになりそうなところを拾ってみると・・・

 

ERMは目的の設定をも含むが、内部統制はリスクの軽減まで。

ERMは戦略レベル、内部統制は戦術レベル。

ERMはリスクだけでなく、機会もコントロール。

 

2.実は、金商法(J-SOX)より会社法の方が進んでる!

 

ご存じのとおり、J-SOXは、1992年のCOSOの内部統制のフレームワークをベースにしている(「一部ERMを先取りした」との主張もあるが)。しかし、ガバナンス改革元年と謳われた今年の会社法の改正は、既に2013年版の内部統制やERMのフレームワークを意識した内容、或いは、直接意識はしていないかもしれないが、これらがフィットしやすい内容になっているらしい。2013年のCOSO改正は、企業を取り巻く近年の環境変化を反映させたものだから、アベノミクスの成長戦略の一環としての会社法改正と相性が良いのは、言われて見れば、なるほどなあ、と想像できる。

 

 

COSO 2013 を勉強しても、現行のJ-SOXには役立たないかもしれない。しかし、規制対応ではなく、会社を良くする目的であるならば、参考になるアイディアは色々ありそうだ。

 

例えば、会社の業績を立て直したいと思う場合、戦術レベルで一生懸命改善しても効果は限られる。即ち、J-SOXで業績を立て直すのは困難だろう。やはり、J-SOXの範囲を超えたところにある、機会のコントロールや戦略レベルの発想を変えて改善していかなければ、大きな効果は期待できないことが多いように思う。

 

そういえば、IFRSでも戦略やビジネス・モデルの内容が、会計処理の前提として意識される場面が目立つようになってきた。統合報告もビジネス・モデルが前提だ。金融庁が(或いは、動きの鈍い企業会計審議会が)J-SOXを当面変えないとしても、内部統制のより上位概念を勉強して理解しておくことは重要かもしれない。

 

 

最後に、Chairman Bobの講演から印象的な言葉を一つ。記憶なので、凡そこんな感じということだが。

 

Hey Bob, is there a Magic 17 Principles Control Checklist?

I said "NO!".

Because only experts in the company can achieve the goal.

 

恐らく、こんな感じ。

 

ちょっとボブ、これがあれば17の原則はOKという魔法のチェックリストはないの?

そう言われた私は(大声で)「ないっ」と言った。

なぜなら、それを達成できるのは各企業のエキスパートだけだからだ。

 

ということで、「魔法のチェックリストがありますよ」と言って近づいてくる監査法人やコンサルタントがいたら、要注意。各企業の自主的、自発的なアイディアと判断・行動こそが最も重要だ。

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