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2014年8月29日 (金曜日)

390.CF-DP64)純損益とOCI~まとめ~FVTOCIリサイクリング禁止への違和感

2014/8/29

みなさんお待ちかね?のサッカー日本代表メンバーが、昨日、発表された。アギーレ新監督になってどのようにメンバーが変化しただろうか。新生アギーレ・ジャパンの先行きを占う重要な要素だ。しかし、それを書くスペースも能力も、ない。それでも書いておきたいのは、とても残念な事実。僕の贔屓チームである清水エスパルスからは、今回も選出されなかったことだ・・・スロベニアの代表に選出されたノバコビッチ選手を除いては。だから、ノバコビッチ選手。せめて、あなただけでもがんばってきてください。

 

 

さて、このシリーズの前回(388-8/26の記事)は、災害時の避難情報を出す自治体の体制についての考察から、実態を把握する機能は余計な目的を持たせずシンプルに設計した方が良い、それは会計も同じ、会計規準も同じと記載した。今回は、IASBのディスカッション・ペーパー「財務報告に関する概念フレームワークの見直し」(以下“DP”と記載)における純損益とOCIの区分において、それを検証していく。

 

 

もしかしたら、みなさんは「このシリーズの過去の記事から、IASBが複雑なことを言っているのはわかるが、オヌシが何を言いたのか良く分からん。」と思われているかもしれない。まず、そこを整理したい。

 

現行のIFRSの概念フレームワークでは、一般財務報告の目的として次の2点が挙げられており、かつ、その基本的な質的特性として、やはり、次の2つが挙げられている。(なるべく平易になるようオリジナルの表現をかなり変えている。)

 

(一般財務報告の目的)

・事業から得らえる将来キャッシュ・フローの予測に利用できること及び過去の予測を実績値によって確認できること(予測価値と確認価値)

 

・上記を通じた、事業が効率的で効果的に運営されているかの評価(経営者の受託責任の評価)

 

(有用な財務報告の基本的な質的特性)

 

・(上記目的との)適合性・関連性を持つこと。

 

・(経済実態の)忠実な表現を行うこと。

 

上記の目的を達成するには、財務報告がこれらの特性を備えていなければならないということだが、このDPの純損益とOCIの区分の議論において、「これら以外の異質な要素が混入しているのではないか」という疑問が、沸いてきたのだ。まるで、災害の発生可能性の判断に、市の財政の問題を介入させるように。それを説明したい。

 

 

これについては以前からモヤモヤしていたのだが、実は、384-8/8の記事にコメントしてくれたAさんとのやり取り(同ページの下部で見られる)が整理のきっかけとなった。したがって、このやり取りを読まれた方は、「ああ、あれのことね」と思われたかもしれない。そう、日本基準の“その他有価証券”みたいなもので、IFRS9では“OCIを通じて公正価値の変動を測定する金融商品”とされている、いわゆる“FVTOCI”に企業が指定した資本性金融商品のことだ。(FVTOCI: Fair Value Through Other Comprehensive Income

 

このFVTOCIへ指定されたものは、現行のIFRS9及び2012年公開草案において次のような扱いになっている。

 

・取得時に企業がFVTOCIへ指定する。

・評価損益や売却損益(=公正価値の変動)はOCIへ計上する。

・売却時等の認識を中止する場合でもリサイクリングしない。

(但し、配当は純損益で認識する。IFRS9-5.7.6

 

よって、この取扱となる資産は、取得から売却まで(配当以外は)一貫して純損益に計上されない。純損益は企業の財務業績を表す指標として最も重要なものなのに、FVTOCIへ指定されたものは、純損益との関係を遮断されている。そこに疑問が生じる。FVTOCIについても、売却時にリサイクリングし、純損益へ振替えすべきではないかと。即ち、FVTOCIへ指定されたものであっても、損益が確定したのだから、売却損益は財務業績へ反映させるべきだと。

 

IASBが、これを否定し売却時にもリサイクリングを禁ずる理由は、書いてあるが、はっきり明示されてなくて分かりにくい。よって憶測になるが、次のようなものと思われる。

 

・リサイクリングを許容すると、FVTOCI指定が業績平準化という好ましくない行為につながる。例えば、業績が悪い時にいわゆる含み益のあるものを売却するなど、業績の実態の印象を歪める行為を可能にする(≒粉飾?)。

 

・このような行為のために資産を保有することは、資産を効率的・効果的に活用すべき経営者の受託責任に反する。即ち、決算対策として行われる売却取引は、資産から得られるキャッシュ・フローの最大化やその他の合理的範囲と考えられる事業目的とは相容れない。

 

・安定株主作りなど株主総会対策のための株式持合いは、企業のガバナンス機能を低下させたり、株式の流動性が乏しくなって株価が歪むなど資本市場の効率性を阻害するものであり、かつ、このような持合い株式がしばしば上記の決算対策・業績平準化に利用されてきた。

 

要するに、法律で禁じられてないので現実にありえてしまう取引だが、社会的にも、投資家にも、更には企業自身にとっても好ましくないので、これを会計規準によって抑制しよう、或いは、やっても会計上意味のないものにしようとしているのではないかと思われる。

 

 

「ん~、なるほど。そういうことなら良いではないか。」 そう思われる方もいらっしゃると思う。確かにそう。このリサイクリングの禁止には、良い意図と実際の効果があると思う。

 

しかし、上記の一般財務報告の目的に、「好ましくない取引の抑制」はない。余計な目的をFVTOCIへ持ち込んだのではないか、と僕は疑っている。その結果、弊害も生じているのではないか? 何か違和感を感じる。エスパルスの残念な事実は受け入れられるが、これはどうだろうか。そのあたりは次回へ繰越したい。

 

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